環境に応じた生産手順、コオロギの品質定義、原材料の製造加工手順の計画を自動で生成する事より、早期に養殖プラントの立ち上げ生産を開始する事が可能となります。また、自動化装置などが無い状態での生産手順にも対応しているため、幅広いプラント養殖ニーズへの対応が可能となります。
- 従来の課題 「不十分な生産体制と品質管理とトレーサビリティ」
東南アジアを始め世界中で取り組まれているコオロギの生産養殖は、集落や個人の経験や習慣の中で育て方が伝えられ生産者ごとに品質が安定しておらず、収穫ベースの取引の為記録方式も標準化されていない為、生産記録や評価方法は生産者任せにとどまっています。
生産物の評価は収穫時の収量計測など少ないタイミングと指標での実施に限定され、どのような「養殖環境」でどのような「餌」で育てられたか、どのような「収穫・仕分け・加工処理」されたかは不明のまま市場に流通していることが一般的でした。
- 当社事業においてシステム化に取り組んだ理由と必要性
当社は、コオロギを元とした原材料メーカーとして、お客様に安心してご利用いただける素材として品質管理に取り組んでいます。
現在、冷凍した姿見・乾燥した姿見、乾燥した姿見を粉砕したパウダー、冷凍した姿見をすりつぶしたペースト形式で提供しております。これらを使用して、食品・畜産・水産などでご利用いただけるようにお客様の目的や用途に応じて配合、ご提供しております。
その際、お客さまに喜んでいただける用途、形状、成分ベースの品質にお応えするため、またお客様での加工工程を少なくするためには、詳細な工程管理の明確化と、数値による管理が必要でした。
しかしながら、コオロギの生産には卵の管理、養殖期間中の記録管理、原材料加工方法の管理、餌をはじめとする養殖資材の管理など、全体を通して関係性のある記録情報が複雑かつ高次元に絡み合うため、生産者個人の経験則や感性に依存した生産方法では、どの工程で発生した問題なのかを特定するのが非常に困難でした。
そこで当社はITやAIを用いたシステム開発に取り組みました。
- コオロギ養殖レシピ生成自動化システムVer1.0
我々としては安全でおいしく食べられるコオロギをテーマに取り組んでおりますので、一般的に行われていた生産養殖方法を抜本的に見直し、生産手順の計画・管理・評価、生産設備の管理、評価、原材料化工程の管理・評価など、品質の評価管理を可能にするために、日常的に行っている手順を見える化してプロセスを定め、生産養殖の工程から製造加工の工程を一貫してシステム化する事に成功しました。
プロセス管理をクラウド化させる事で、離れた拠点での生産管理や複雑な比較評価などにも対応、最適な生産計画をシステムで立案する事で、多くの管理工数を省き、作業工程の効率化や自動化を実現します。
4つの特徴を下に列挙します。
◆特徴1.生産プラントの拠点環境差をIoTによるモニタリングで定量的な品質を確保
コオロギは環境変異に敏感な生き物の為、プラントやフロアごとでの温度や湿度など環境変異で成長速度や生存率に影響してきます。日常的なお世話のタイミングで効率よく環境をモニタリングすることで変異に素早く気づき問題への対処が可能になります。
◆特徴2.生産プラントのフロア拡張や拠点増加も容易
生産管理においては、養殖コンテナにまつわる拠点情報、フロア情報、設備情報などリソースを一元管理するため、生産計画によるフロア・資材の使用計画を自動的に行う為、リソースに合わせた最適な運用設計が可能です。拠点やフロアの増強時には、リソース情報を追加する事で自動的に生産体制や計画の構築が可能になります。
◆特徴3.生産養殖の管理体制の無駄を省きコストと時間を圧倒的に低減
生産品質を高めるために日常的なお世話の頻度が増えますが、作業者が使用する器具や資材などすべてをID管理する事で、作業者のスキルへの依存率が低くなり、多くの方が安心して労働に取り組めるプラントになります。同時にクラウドにより作業状況を管理する事で適切に作業に取り組むことが出来るため効率よく無駄のない管理体制を実現します。
◆特徴4.需要の増減に合わせて生産体制の停止や撤退も容易
養殖用の卵の状況から管理している為、生産状況に応じて生産開始のタイミングを調整する事が可能です。また、繁殖率の高いコオロギの特性を生かす事で、需要に合わせた生産ラインの運用が可能となり、必要に応じてラインの停止・復旧、撤退が容易です。 これからの時代では必要な時に必要な場所で育てることが大事になります。コオロギ養殖とその機能性を維持した当システムは単位時間あたりの栄養成分生産力が高いため、目的を果たしたらユニットを閉じることも可能。従来の重たく、硬直的なサプライチェーンにはないメリットになります。
- システム化に伴うBugMoの事業体制の強化
生産のシステム化に伴い当社事業体制も下記のとおり3つの事業領域に編成、体制の強化をいたしました。
これにより各部門領域が有機的にかつシステマチックに連携することが可能になり、
研究開発や、商品/サービスのご提供といった社会実装までの精度とスピードが向上いたします。
1)生産養殖部門
2)製造加工部門
3)品質管理部門
- システムの今後の展開について
生産環境のデジタル化に伴い様々な生産情報、手順情報、評価情報、加工情報をモニタリング、集計、分析したり、体系化したデータとして様々な事業者の方にご活用いただけるデータ基盤やブロックチェーンとしての価値を高めて行きたいと考えています。また、当システムを利用することで国内外問わず輸送・貿易情報と連携した新しいサプライチェーンの形を目指していきたいと思います。
- 目指す事業領域と今後の展開
◆事業領域
・食用(タンパク質、旨み原料、機能性食)
・畜産、水産の機能性飼料
・農業資材(バイオスティミュラント)
・コオロギを介したアップサイクルご支援
など、直接間接問わずコオロギを通して人が嬉しいアプリケーション開発に取り組んでまいります。
◆今後の展開
・コオロギ養殖レシピ自動生産システムの運用の中で改善を繰り返し、商用コオロギを年間1,000トンの生産を計画しています。
・コオロギ生産に取り組んでみたい事業者様のプラント運営のサポートをさせていただきます。
- 株式会社BugMo メンバーコメント
株式会社BugMo 松居佑典
気候変動や自然災害、政治的背景により、現代社会では安定した品質で安定した量の食料や素材原料を調達することが益々困難になっています。また、生まれてから収穫・加工まで数ヶ月から数年かかる畜産や水産にあってはその期間における動物の健康維持やその餌の安定的な調達が必要であり、畜産飼料などのサプライチェーンの変動により畜産/水産の生産者は大きな影響を受けます。すぐに立ち上げ・生産を開始できるコオロギ養殖は、私たち人にとっても、動物にとっても「必要な栄養や食を必要な時に調達できる」レジリエンスの高いフードシステムの構築が可能になると考えております。
株式会社BugMo 相良昌寛
従来の動物由来の食糧生産システムは、多くのコストや立ち上げ時間がかかることから、稼働を始めてから長期的に稼働し続けなければなりませんでした。これらは、たとえSDGsを謳った生産システムであったとしても既存産業と市場の奪い合いをするだけであり、結果として新たな食品ロスを生み出してしまう可能性があります。しかし、私たちがご提案する生産システムは、「必要な場所で即座に立ち上げ、不必要になったら即撤退することが可能である」という従来の食糧生産の概念を覆す画期的なものです。これは、コオロギの特徴と弊社技術を最大限生かしてこそ可能な供給システムであり、世界各地でサプライチェーンの崩壊が起きている現代だからこそジャストフィットするシステムであります。私たちビジネスに共感してくださる多くの皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。
- 株式会社BugMoについて
2018年創業。誰もが⾃分の健康や⼈⽣を⾃分でデザインできるよう、
昆虫由来のアプリケーションの量産システムを構築中。
コンセプトは「生きるためのおいしさ」
【直近のリリース】
2023/1/30『BugMo食用コオロギ「UMAぱうだー」を利用した、残渣や製造施設の「アップサイクル開発パッケージ」提供を開始』
https://prtimes.jp/main/action.php?run=html&page=releasedetail&company_id=39322&release_id=6&owner=1
『【2023年版】BugMoの重点取り組み内容紹介!』
https://note.com/bugmo_2018/n/n0a6d78399334
【会社概要】
社名:株式会社BugMo
本社所在地:京都府京都市上京区甲斐守町97 西陣産業創造會舘2階
代表取締役:松居 佑典
事業内容:食用昆虫の研究開発・製造・販売、 食糧問題・環境問題解決のためのプロジェクト企画
設立: 2018年5月
HP:https://bugmo.jp/