【九州で初の事例】生活保護業務をDX化しています

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 直方市では、「行政事務・行政サービスのペーパーレス化(電子化)の推進に関する行動方針」を策定するなど、市役所一丸となってDXの推進に取り組んでいます。対面や紙面での運用が長く続いている生活保護業務においても、支援が必要な方に対してきめ細かなケースワークが行き届くよう、業務の効率化や負担の軽減を目指し、DXの推進に取り組んでいます。

【4つの取組】
 取り組み1 申請時の預貯金調査を電子化
 生活保護の申請を新規に受け付けた場合、決定に向けて様々な調査が必要となります。その一つに預貯金に関する調査があり、これまでは紙面の調査書を金融機関に発送し回答を得るまでに2~4週間を要していました。令和5年度から北日本コンピューターサービス株式会社が提供する財産調査ユニット(PiMS)を導入(※1)し、預貯金調査を電子化することで、封入、発送作業を減少することができました(下表参照)。また、金融機関から回答を得るまでに要する時間が1週間程に短縮され、迅速な行政判断に繋げることができるようになりました。
金融機関における電子照会への対応の波を捉え、いち早く電子照会化に取り組んでいます。生活保護業務において同サービスを利用しているのは全国で10団体、九州では本市が初の事例です。 また、厚生労働省の「生活保護業務デジタル化による効率化手法開発・検証事業補助金」の採択を受けることができたため、電子化の課題と効果を検証しながら補助金を活用して本事業を実施しています。
※1 併せて、SocioFuture株式会社の提供する預貯金等照会システム(DAIS)と株式会社NTTデータの提供するpipitLINQを導入しました。

実績(令和3年度)

導入後の見込み

見込まれる効果

業務従事時間

1,518時間

1,350時間

▲168時間

通信費

1,040,000円

870,000円

▲170,000円

紙使用量

30,360枚

25,310枚

▲5,050枚

 取り組み2 デジタル法令通知集の活用
 生活保護業務に携わる職員は、法令等によって定められたルールに則り保護費の算定業務や利用者に対する支援業務を行います。これまでは総計3,722ページに及ぶ生活保護手帳・生活保護手帳別冊問答集・生活保護関係法令通知集に加え、その他の関係資料を用いて、関係法令や関係通知を確認しており、苦労していました。とりわけ、新しく生活保護業務に携わることになった職員はどの資料に何が掲載されているかを探し出すのに多くの時間と労力が掛かっていました。

令和5年から検索に要する時間を効率化できるよう、ブラウザで検索、確認することができるサービス(TECHO合同会社が提供するデジタル法令通知集(TECHO))を導入しました。パソコンからだけでなく、外出先にてスマートフォンでもキーワードで検索することができ、すぐに根拠となる法令や通知を検索することができるようになりました。
同業界においては、生活保護手帳の電子版やAI検索を活用したサービスがリリースされるなどデジタル化が進んでいますが、現段階で、同サービスを利用しているのは全国で4団体、九州では本市が初の事例です。検索に時間を割くのではなく、他の業務や生活に困っている方からの相談、利用者への支援等本来の業務をよりいっそう手厚く実施することに取り組んでいます。

 取り組み3 マイナンバー情報連携サーバの活用
 生活保護費は最低生活費と月々の収入との対比により算定されます。ケースワーカーは生活保護受給者から申告される毎月の収入を基に算定業務を行います。特に、年金額が改定された場合、年金を受給している生活保護受給者から年金額改定はがきを提出してもらい、それぞれの年金額を基に保護費の算定を変更する必要があります。中には、はがきが家の中で行方不明になってしまう方もいて、ケースワーカーが一緒に探すようなこともありました。このような業務負担を減らすために、情報連携サーバより抽出したデータを活用しています。令和4年度は、年金を受給している生活保護受給者の保護費の算定変更のために約1,500件の処理を行い、データの活用により作業時間を短縮しました。結果、課全体で前年度比25.6時間の業務時間を削減しました。今後も引き続き、ケースワーカーの業務負担を軽減し、支援が必要な生活保護受給者に対するきめ細かなケースワークの実現に繋げます。

 取り組み4 電子申請の積極的利用
 直方市では、「市役所に足を運ばなくても受けることのできる行政サービス提供の実現」に向けて、行政手続きをオンライン化する取り組みを推進しています。主に株式会社グラファーが提供する「Graffer スマート申請」ツールを使用し、多くの手続きがスマートフォンやパソコンから申請できます。保護・援護課においても、令和5年4月から診療依頼書と受給証明書についての発行申し込みがオンラインで申請できるようになりました。市民生活の向上のため、今後も各種申請のオンライン化を展開していきます。

【補助金に関する問い合わせ先】
 厚生労働省 社会・援護局保護課経理係
TEL: 03-5253-1111(代)(内線2825)

【財産調査ユニット(PiMS)に関するお問い合わせ先】
 北日本コンピューターサービス株式会社福岡営業所
 TEL: 092-432-9777
 e-mail:pims-mrkt@kitacom.co.jp

【デジタル法令通知集(TECHO)に関するお問い合わせ先】
 TECHO合同会社
 e-mail:info@techo.co.jp

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