100m離れた空間でアンテナ特性の測定が可能な、モジュール型2ポートVNAシステムME7869Aを販売開始

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アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、最大100m離れたAUT[※1] のSパラメータ[※2] 測定を長尺のRF同軸ケーブル無しで可能にする、モジュール型2ポートVNA[※3]システムME7869Aを開発し、販売を開始しました。

ME7869Aは、43.5GHzまでの周波数に対応し、従来のベンチトップVNAによる構成からモジュール型2ポートVNAシステムへコンセプトを刷新することで、測定安定性の向上や、システム設置にかかる作業工数の削減など、アンテナ開発における測定効率改善に貢献します。

  • 開発の背景

衛星や航空宇宙、自動車業界などにおけるさまざまな開発現場では、例えば航空機内に設置された被測定物を外部から測定するなど、遠隔での試験ニーズが増加しています。

従来のベンチトップVNAを用いて、離れたところにあるAUTのSパラメータ測定を行う場合、長尺のRF同軸ケーブルでVNAとAUTをつなぐ必要がありました。しかし、長尺のRF同軸ケーブルを用いると、測定信号の減衰によるダイナミックレンジ不足や、同軸ケーブルのわずかな動きによる位相や振幅の変化で、測定が不安定になるという課題があり、新たな測定方法が求められていました。その課題を解決するため、2台のモジュールVNAを直接AUTに接続して測定が行えるME7869Aの開発に至りました。

  • 製品概要

ME7869Aには、上限周波数を8 GHz、20 GHz、43.5 GHzとする3つのモデルがあります。各モデルともPCと制御モジュール(MN25132A)、2台の小型モジュールVNA(MS46131A)で構成されており、新たに開発したMN25132Aが、MS46131Aへの電力供給および、PCと2台のMS46131A間の制御を行います。

ME7869Aは、アンリツ独自の同期技術PhaseLync™を採用し、2台のMS46131Aを100m離れた距離で位相同期させることができます。PhaseLync™の採用により、従来のベンチトップVNAによる測定で必須だった長尺RF同軸ケーブルが不要になりました。また、PCとMN25132A、および、MN25132Aと2台のMS46131Aをつなぐ制御線と電力線を一つのシースケーブルにまとめたことでシステム全体がシンプルになり、システム設置の手間を省くことができます。

  • 製品の特長

・最大100m離れたAUTに直接接続可能
PhaseLync™により、離れたVNAモジュールを位相同期するため、長尺RF同軸ケーブルが不要になり、Sパラメータ測定のダイナミックレンジと測定安定性が向上します。

・システム設置にかかる作業工数が削減
制御ケーブルはMS46131Aへ電力を供給する機能も併せ持つため、システム構成がシンプルになり、システム設置にかかる作業工数が削減します。

・制御ケーブルは長さの調整が可能
制御ケーブルは、用途に応じて長さを変えることができ、2台のMS46131Aともに同じ長さ、あるいは異なる長さに設定できます。

3つのモデルを用意
用途に応じて、8 GHz、20 GHz、43.5 GHz の3つのモデルがあります。

  • 対象市場

・衛星・航空宇宙、自動車

・材料測定
 材料の反射/透過Sパラメータの測定

  • 用語解説

[※1] AUT

Antenna Under Testの略。被試験アンテナのこと。アンテナ等の被測定物を指す。

[※2] Sパラメータ

高周波における回路特性を示すパラメータ。通常2端子のコンポーネントの反射特性と伝送特性をS11(順方向反射)、S21(順方向伝送)、S12(逆方向伝送)、S22(逆方向反射)で表す。

[※3] VNA

ベクトル ネットワーク アナライザのこと。被測定物(DUT)の特性を、Sパラメータを測定することによって評価する測定器。ベンチトップVNAは、据え置き型で高い測定精度、豊富な試験性能を備えた高価なVNA。

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