【シャボン玉石けん】産学官で開発した環境配慮型「石けん系消火剤」ウクライナへの建物・森林火災の消火活動物資支援を実施

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 シャボン玉石けん株式会社(福岡県北九州市/代表取締役社長 森田隼人)は、ウクライナ国内における建物や森林火災の消火活動支援として、北九州市消防局や北九州市立大学、シャボン玉石けん等の産官学連携で開発した「石けん系消火剤」の物資支援を行うことを決定し、約300トンの消火水に利用可能な石けん系消火剤150個を発送いたしました。

出発式には、石けん系消火剤の開発メンバーである北九州市立大学副学長の上江洲一也様と、長年「石けん系消火剤」を取材されており、今回の物資支援にもご協力いただいたノンフィクション作家の山根一眞様にもご出席いただきました。

▲写真左より

・北九州市消防局長 本脇 尉勝 様

・北九州市長 武内 和久 様

・シャボン玉石けん株式会社 代表取締役社長 森田 隼人

・ノンフィクション作家 山根 一眞 様

・北九州市立大学 副学長 上江洲 一也 様

また、物資支援に関して、在ウクライナ日本国大使館 特命全権大使 松田邦紀様、駐日ウクライナ大使館 特命全権大使 コルスンスキー・ セルギー様、ウクライナ国家非常事態庁副長官(デジタル担当)ローマン・プリムシュ様より御礼のメッセージを頂戴しました。

▲在ウクライナ日本国大使館 特命全権大使 松田 邦紀 様

▲駐日ウクライナ大使館 特命全権大使 コルスンスキー・ セルギー様

▲ウクライナ国家非常事態庁 副長官(デジタル担当) ローマン・プリムシュ様

【支援について】

■支援物資:石けん系消火剤150個(水に希釈して使用するため、約300トンの消火水に利用可能)

■支援先:ウクライナ国家非常事態庁

■輸送:8月17日にシャボン玉石けんから出荷し、門司港からポーランドまで船便で輸送。ポーランドからウクライナまで陸送。10月末頃納品予定

■支援物資について:

・北九州市消防局や北九州市立大学、シャボン玉石けん等の産官学連携で開発した世界初の石けん系消火剤

・建物用火災や森林火災などに使用

・水だけの消火と比較すると少ない水量で効率的に消火できる

・人体や環境にやさしい環境配慮型の消火剤。PFOS(有機フッ素加合物)も不使用

※PFOS(有機フッ素加合物)とは

撥水・撥油性、熱・化学的安定性等の特徴があり、半導体用反射防止剤・レジスト、金属メッキ処理剤、泡消火薬剤などに使われてきました。一方、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があり、環境や食物連鎖を通じて人の健康や動植物の生息・生育に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

【物資支援の目的・背景】

シャボン玉石けんは消火剤事業も行っており、ノンフィクション作家で石けん系消火剤について長年取材されているほか、石けん系消火剤の研究・開発も行う石けんリサーチセンターのスーパーバイザーも務めていただいている山根一眞様のご紹介で、在ウクライナ日本国大使館に物資支援に関して相談し、ウクライナ国家非常事態庁とオンラインで打ち合わせを実施しました。その後、消火性能等の評価をしていただき、同庁から支援の希望を受け、建物火災や森林火災の消火活動のための石けん系消火剤の物資支援を決定しました。

【石けん系消火剤について】

1995年に発生した阪神淡路大震災での教訓を活かし、北九州市消防局・北九州市立大学・シャボン玉石けんの産学官連携で、少水量で素早く消火でき、環境への負荷も非常に少ない「石けん系消火剤」を開発しました。

現在、北九州市をはじめ全国の自治体で採用されているほか、石けん系消火剤の開発は、第五回産学官連携功労者表彰で、北九州市立大学国際環境工学部、北九州市消防局とともに「少水量型消火剤の開発と新たな消火技術の構築」の功績で総務大臣賞を受賞しました。

環境にやさしい特長をもつ石けん系消火剤は、一般建物火災だけでなく、森林火災・泥炭火災用消火剤としても開発し、森林火災や泥炭火災が多いインドネシア等で普及活動に取り組んでおり、「第7回グッドライフアワード 環境大臣賞」も受賞しています。

▲一般建物火災

▲森林・泥炭火災

【山根一眞さまコメント】

ノンフィクション作家

石けんリサーチセンター・スーパーバイザー

山根 一眞(やまねかずま) 様

2023年8月17日の午前中、シャボン玉石けんが開発製造した「石けん系消火剤」のウクライナへの人道支援への「出発式」が、北九州市庁舎で開催されました。私が、「では、出発!」と掛け声をかけ、20リットル入消火剤タンク150本を搭載したトラックは門司港に向かいました。10月中には船便のポーランド経由でウクライナの国家非常事態庁の消防チームに届く予定です。

 「石けん系消火剤」は2006年に開発に成功しましたが、私は当時からその取材を続け、ミイラ取りがミイラになった感じでそのチームの一員となりました。今年の3月末、北九州市消防局、北九州市立大学、シャボン玉石けんとの会合で、「これをウクライナに人道支援として贈りたい」と提案したところ全員一致で賛同、その経費をシャボン玉石けんが「担います」と言ってくれたのです。

私は、在ウクライナ日本国大使館の松田邦紀大使にその意向を伝えたところ、即、ウクライナ非常事態庁に申し出てくれて支援が決まりました。日本大使館の大変な努力により、最初のウクライナとの会議(6月6日)からわずか2か月余で「出発式」にこぎつけることができたのです。

ウクライナでは理不尽なロシア攻撃で多くの国民が命を失っている、ミサイルやドローン、砲撃による火災も多発している。それらのニュース映像を見て、私たちにできることなどないという無念さを味わっていました。しかし、そうか、シャボン玉石けんの「エコ消火剤」があるじゃないかと思いました。戦争当事国の支援は国のレベルで行うしかないと思い込んでいましたが、シャボン玉石けんという中小企業でもできる貢献があったのです。松田邦紀大使は、「こういうケースは少なく、大使を超えて一日本人として大きな誇りを覚えている」とメッセージを寄せてくれました。

北九州市の「市の花」とウクライナの「国の花」は、どちらも“ひまわり”です。北九州市とウクライナのご縁を末永く大事にしていきたいですし、ウクライナに一日も早く平和な日が戻ることを祈っています。

北九州市で誕生した石けん系消火剤によって、ウクライナで一人でも失わずにすむ命が救われることになれば、これほどの喜びはありません。戦争当事国への応援を軍事・兵器支援ではない形で実現できたことは、今後の日本のウクライナ支援の望ましい形として広く理解されることを期待しています。

(写真・出発式での筆者)

【出発式の様子】

2023年8月17日に開催した物資支援出発式の様子やメッセージを下記QRコードより動画でご覧いただけます。

URL) https://youtu.be/j4VwEt22qTk

提供)山根一眞 YAMANE’S NEWS ROOM

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