JSFM副会長/CFC理事/ひがしやま動物病院 院長 東山 哲先生、JSFM実行委員・三鷹獣医科グループ 猫内科部長 佐藤 愛実先生に登壇いただき、猫が健康で幸せである状態、更にその状態によって飼い主も幸せである、猫と飼い主にとってWell-Beingな社会とは何か、をトークセッションでお話いただきました。また、ゼノアックとしても猫のWell-Being実現のために、バイオ医薬品の開発に力を入れるとともに、最近では猫の腎性貧血の新薬研究に取り組んだ背景についてもご説明いただいております。
以下、イベントでのコメントを抜粋して記載しておりますので、ぜひ貴媒体でのご掲載にお役立ていただけますと幸いでございます。
■「世界猫の日特別企画」サイト(#HugQ内)
■主催者挨拶
ゼノアック 事業開発部・内山 晋です。弊社、日本全薬工業株式会社の紹介をさせていただきます。主に動物用医薬品の研究・販売・製造を一貫して行っている企業であり、主な販売として、動物病院や畜産の診療所、畜産関係の方々を対象とした事業を展開しています。また、企業ブランドとして「ゼノアック」(「Zen=社名の全薬」、「Noah=ノアの箱舟」、「Active=活動的」、「Acquire=獲得する」、「Quality=品質」)という企業ブランドを掲げ、より多くの方々に価値を提供すべく日々活動にあたっています。
具体的な事業の取り組みとしては、産業動物からコンパニオンアニマルの領域に対して、市場のニーズに沿った商品やサービスを提供できるよう研究開発を行っており、動物病院を始めとしたお客様方にサービスを提供できるように独自の製品ラインナップを展開し、販売に従事しています。研究から商品の提供まで一貫して提供できることを強みとしています。
研究開発体制としては、福島県郡山市に研究施設を設け、実際の動物病院のコンパニオンアニマルの領域や、大動物と言われるプロダクションアニマルの領域の製品を研究・製造・販売して皆様のお手元に商品をお届けすることができるよう展開をしています。その中で、今回掲げている「ゼノアック」のアプローチとしてはグローバル展開、商品展開としては、①がんの領域②アレルギー③感染症④腎臓疾患を重点領域に掲げて展開をしています。
■トークセッション
トークセッションでは、CA販売戦略部 CAテクニカルサービスT 獣医師の福井 俊吾がファシリテーターとして登壇し、JSFM副会長/CFC理事/ひがしやま動物病院 院長 東山 哲先生、JSFM実行委員・三鷹獣医科グループ 猫内科部長 佐藤 愛実先生をお迎えし、猫の健康や、疾患、予防・治療法に関するトークセッションを行いました。
① 猫の来院率が少ない背景について
(福井)
先生方にまずお聞きしたいのは、猫の予防・来院件数が進まないのは何が原因なのかというテーマです。臨床の現場から見て、どこに原因があるとお考えでしょうか。
(東山先生)
犬の場合は、飼い主が毎年1回予防注射をしないといけない狂犬病予防法があるのが来院の一番の理由になっているかと思います。また、犬は散歩でノミが付いたり、蚊に刺されてフィラリア症にかかったりすることがあり、予防が必要ということで来院回数が多くなるのに対し、猫は病気にならないと行かない、ということが多いのはないでしょうか。
(佐藤先生)
病気にならないと病院に行かないということもありますが、更に飼い主がちょっとおかしいと感じたとしても、それでも尚、行かないことが多いです。猫は病院が嫌いと思い込みがあったり、もしくは一回病院に連れて行った時に猫が嫌がり、飼い主も嫌な思いをして辞めてしまう方が多いことが、原因かと思います。
② キャットフレンドリーの考え方について
(福井)
猫は飼い主が動物病院に連れて行くまでにハードルがありますが、その距離を縮めていくためにどういったポイントがあるのでしょうか。ねこ医学会やキャットフレンドリーについてご紹介いただけますか。
(東山先生)
キャットフレンドリーという概念は10年程前に海外のねこ医学会で、猫の体、心理、猫の飼い主のことまでよく知ることで、猫にも良い医療を提供することができるのではないかという考えのもと立ち上げられたプログラムです。その中で、キャットフレンドリークリニックという世界標準を作り、それに満たす病院をゴールド・シルバー・ブロンズと認定し、飼い主から猫の診療・猫のストレスに配慮していることが分かりやすくするためのプログラムがあります。国内のねこ医学会でも正しく理解いただき、取得していただけるようにお手伝いをしています。
(福井)
近隣の病院とキャットフレンドリーを意識している動物病院の違いはどういったところがあるでしょうか。
(佐藤先生)
必ずしもキャットフレンドリーを取得している病院ではないといけない訳ではなく、猫専門の診療時間を作っているところやSNSでのアピールがある病院、電話で相談した際に猫に向き合っていることが分かる病院が良いのではないでしょうか。
(福井)
来院前に電話で相談してもいいのでしょうか。
(東山先生)
キャットフレンドリーな病院としてはもちろんウェルカムです。実は猫が一番通院でストレスを感じるのはキャリーに入る時点なので、キャリーの選び方やキャリーの慣れさせ方、キャリーへの入れ方なども電話で相談してください。
(福井)
猫を飼い始めた方はどのように正しい情報収集をすれば良いでしょうか。
(佐藤先生)
飼い主だけで病院に行くことも可能になっており、飼い方や年代ごとに気を付けるべきことを説明もらえます。幸せに暮らしていけるように計画を立てていくことを心掛けるのが良いと思います。
③ 慢性腎臓病の早期発見の重要性について
(福井)
猫の死因の上位には腎臓病、特に慢性腎臓病がありますが、慢性腎臓病に対して気を付けるべきことは何でしょうか。
(東山先生)
慢性腎臓病は色々な原因が重なり、腎機能が落ちて発症してしまうものであるため、若いうちから気を付ける必要があります。年代ごとの健康診断でひっかかってしまった場合は更に詳しい検査をして、腎臓病の治療戦略を練る必要があります。
(佐藤先生)
尿石症に関しては水分をできるだけとることで防ぐことができます。定期健診で早期発見をできるようにすることが重要だと思います。
(東山先生)
動物医薬業界の動きとして、猫の慢性腎臓病の治療薬の研究が進んでいると聞いていますが、ゼノアックさんでもそうした動きはあるのですか。
(福井)
弊社でもバイオ創薬に注力し、猫の腎性貧血治療薬の研究を終えてこの夏に承認がおりた製品があります。猫のWell-beingにもさらに貢献できるようになります。
④ 猫のWell-beingを進めていくうえで大切なこと、
それによって飼い主にももたらされるWell-beingとは
(福井)
猫のWell-beingと猫を動物病院に連れていくことは切っても切れない関係だとお話を伺って感じましたが、先生方が考える「猫のWell-being」を教えてください。さらに猫のWell-beingと飼い主のWell-beingの関係についても教えてください。
(佐藤先生)
猫のWell-beingは健康寿命を延ばすことが獣医師の役割として大切と思いますが、それだけでなく家でどれだけニーズを満たされた楽しい生活をできるか、ただ病院に行くだけでなく、快適な病院に快適に連れて行くことで精神面に負担がないかが重要かと思います。
飼い主のWell-beingについては、病気の発見が遅れて猫が辛い思いをしないよう、猫を大切にすることで飼い主のWell-beingも高めていけるのではないでしょうか。
(東山先生)
飼い主は猫のすべてを理解しているわけではないため、インターネットだけでなく一匹一匹に合わせた猫の飼育方法や治療のご提案ができればと思います。動物病院と良い関係を築けるように、探して・付き合って、猫・飼い主・動物病院のスタッフとしてもWell-beingになるのではないでしょうか。
■ゼノアックについて
ゼノアックは、日本で唯一の研究/開発/製造/販売/物流をワンストップで行う、動物用医薬品国内シェアNo.1の動物医薬品メーカー。研究開発から製造・仕入・輸出入・販売までを一貫して行っている。対象とする事業領域は、産業動物(牛・豚・鶏)とコンパニオンアニマル(犬・猫)で、豊富な知識と経験をもつ営業員がお客様と直接コミュニケーションを取りながら、お客様の抱える課題を解決するために最適な製品やサービスをご提供している。創業から77年間、「動物の価値を高めつながるすべての人の幸福に貢献する」という企業理念のもと、世界情勢によらず、動物や動物に関わる全ての人々の幸せのために安定生産に努めている。
■企業情報
・会社名 : 日本全薬工業株式会社(ゼノアック)
・所在地 : 福島県郡山市安積町笹川字平ノ上1番地の1
・設立 : 1946年5月
・代表者 : 代表取締役社長 福井寿一
・事業内容 : 動物用医薬品及び医療機器等の研究開発・製造・輸出入・販売、バイオ原薬受託製造
・販売先 : 小動物病院、家畜診療所、畜産関係団体、畜産農家・畜産企業、小動物病院販売代理店、
海外販売代理店
公式サイト : https://www.zenoaq.com/