(抄訳)2023年4月‐9月期シンガポール製造業景況感:1年ぶりに好転、景況感の改善の予測が悪化を上回る

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以下は、シンガポール経済開発庁(EDB)英文公式発表の原文の一部を抄訳したものです。

2023年4月‐9月期景況感(1月‐3月期比)

製造業の景況感*1は、中国における「ゼロコロナ」政策解除による経済活動の再開に伴い、需要の回復と在庫レベルの正常化が今後6カ月の経営改善をもたらすことへの期待から、業況改善の予測が悪化の予測を上回った。ただし、サプライチェーンの課題は緩和されたものの、事業コストは上昇しているため、業況が改善すると予測した企業が12%であるのに対し、悪化の予測は10%となった。2023年4月から9月までの正味加重残高指数は、2023年第1四半期(1~3月)と比較してプラス2%となり、1年ぶりに悪化から反転し、改善傾向を示した。

業種別は以下の通り:

・製造業では輸送エンジニアリングが引き続き最も楽観的で、プラス50%となった。航空旅客輸送の強い需要回復に伴い、機体のメンテナンス・修理・オーバーホール (MRO) の需要の拡大が予測される航空宇宙分野の牽引による。海洋・オフショア分野も、世界の石油・ガス業界およびオフショア再生可能エネルギー市場からの受注増加を予測している。

・エレクトロニクスはプラス7%となった。主に、今後の需要の拡大によって半導体の末端市場での余剰在庫が解消するとの期待によるものである。

・化学はプラス4%となった。特殊化学品・その他の化成品・石油化学分野では、中国の経済活動の正常化に伴い、今後半年間で需要が徐々に回復すると慎重ながらも楽観視している。

・一般製造業はマイナス16%となった。食品・飲料・タバコ・印刷・その他の分野での原材料と営業コストの上昇が懸念される。

・精密エンジニアリングはマイナス25%となり、今後半年間は業績の低迷が続くと予測している。機械・システム分野では、米国による先端チップやチップ機器の対中輸出規制、短期的なマクロ経済の逆風が半導体関連機器の受注を圧迫すると懸念される。

4月‐6月期生産高予測(1月‐3月期比)

エレクトロニクスと化学を除く全ての部門が2023年第1四半期比で増産を予測しており、全体ではプラス1%、3四半期振りの増産予測となった。

業種別は以下の通り:

・輸送エンジニアリングはプラス37%となった。海洋・オフショア分野では船舶修理、オフショア改造、および石油・ガス田設備の需要が、航空宇宙分野では航空旅客機の利用が好調なことから、エンジン修理の需要が高まると予測している。

・精密エンジニアリングはプラス28%となった。機械・システムでは受注残を消化するための半導体フロントエンド機器の増産を、精密モジュール・電子部品は自動車や医療機器業界の需要に応えるためのプラスチック精密部品の増産を見込んでいる。半導体の需要回復を見込んだボンディングワイヤの増産も予測される。

・バイオメディカルはプラス5%となった。医療技術分野では、輸出需要を満たすための医療機器の増産を、医薬品分野では医薬品原薬の増産を見込んでいる。

・エレクトロニクスはマイナス8%となった。半導体の継続的な在庫縮小や、コンピュータ周辺機器・データストレージ、その他の電子モジュール・電子部品など、電子製品の需要減退に伴い生産高は徐々に減少すると予測している。

・化学はマイナス12%となった。特殊化学品やその他の化成品は、中国の産業活動の緩やかな回復による増産を見込んでいる。特に農薬や鉱物油に配合される添加剤の大幅な増産が予測される。一方、石油化学は6月期が定期保守期間にあたるため、減産を予測している。

*1: 調査対象417社の内、90%が回答。指数は、直前四半期の実際の業績と比較した向こう半年の業況対する回答、「改善する」「変わらない」「悪化する」の加重割合の差で、プラスは改善傾向、マイナスは悪化傾向を示す。

英文リリースはこちらからダウンロードしていただけます:https://www.edb.gov.sg/en/about-edb/media-releases-publications/business-expectations.html

シンガポール経済開発庁(EDB)とは                                                                                                  

EDBは1961年に設立された貿易産業省傘下の政府機関で、シンガポールの産業育成、投資誘致を担っています。「外資系企業誘致のワンストップセンター」として、海外20カ所以上に事務所を持ち、外国企業に投資先としてのシンガポールの情報を提供するだけでなく、世界の経済、技術、市場動向を把握することで、シンガポールで競争力を持ちえる産業や分野を育成するための経済戦略を立案しています。日本には、東京に事務所を構え、日本企業のシンガポール投資をサポートしています。

                                                                                              

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