モザンビーク・マラウイ直撃:記録的サイクロン、数百万人の子どもがコレラの危険に【プレスリリース】

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サイクロン「フレディ」により浸水した、ケリマネ近郊の自宅前に立つ家族。母親は、雨による寒さと空腹を訴える子どもたちを避難所へ連れて行くか考えている。(モザンビーク、2023年3月11日撮影) © UNICEF_UN0800714_Zunigaサイクロン「フレディ」により浸水した、ケリマネ近郊の自宅前に立つ家族。母親は、雨による寒さと空腹を訴える子どもたちを避難所へ連れて行くか考えている。(モザンビーク、2023年3月11日撮影) © UNICEF_UN0800714_Zuniga

【2023年3月19日 ナイロビ(ケニア)/ヨハネスブルグ(南アフリカ)/ニューヨーク発】

約1カ月の間に2度もアフリカ大陸へ上陸し、被害をもたらしたサイクロン(熱帯低気圧)「フレディ」の余波で、マラウイとモザンビークの両国でコレラ患者が増加する可能性があり、数百万人の子どもが危険にさらされています。

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サイクロンがもたらした破壊と洪水により、両国の子どもと家族の脆弱性はさらに深刻になり、安全な水、衛生状態、保健衛生システムが不十分なことが追い打ちをかけています。

ユニセフ(国連児童基金)東部・南部アフリカ地域事務所のモハメド・M・マリック・フォール代表は、「危機と混乱に直面したとき、最も弱い立場にあるのは子どもたちです。サイクロン『フレディ』は、壊滅的な被害をもたらしました。マラウイとモザンビークの多くの家族の生活が押し流され、わずかなものしか残りませんでした。特に子どもや最も弱い立場にある人たちは計り知れない危険にさらされています。ユニセフは24時間体制で、当局やパートナーと共に子どもたちとその家族の緊急のニーズに応えることに取り組んでいます」
 

保健センターで、コレラの治療を受ける4歳のバネッサちゃん。(マラウイ、2023年3月7日撮影) © UNICEF_UN0801624_Malawi保健センターで、コレラの治療を受ける4歳のバネッサちゃん。(マラウイ、2023年3月7日撮影) © UNICEF_UN0801624_Malawi

マラウイとモザンビークでは、サイクロンによる洪水と損害により、死者や避難者が発生、インフラや社会サービスが崩壊、保健医療などの基本的なサービスの利用が妨げられたため、両国のコレラの発生状況を悪化させることはほぼ間違いありません。サイクロンに見舞われる以前から、マラウイとモザンビークは、コレラ集団発生の最も深刻な影響を受けており、両国を含むアフリカ東部・南部地域の11カ国では今年だけでも6万8,000人以上のコレラ患者が確認されています。

モザンビークは2022年9月よりコレラの集団発生に直面しています。7州35県で感染者が確認されていますが、さらに多くの地域へも感染が拡大している可能性があります。2023年3月18日現在、1万人近い患者が報告されており、その数は2月初旬から3倍以上増えています。同時にモザンビークは、複数の人道危機に見舞われており、同国北部で200万人が人道支援を必要としているほか、全国でポリオの予防接種が進められています。フレディは、2月下旬にモザンビーク中部のイニャンバネ州に、3月12日にはさらに北のザンベジア州に、と同国に2度上陸しました。

内陸に移動したサイクロンは、その後マラウイ南部を直撃し、現地の道路、インフラ、住宅、企業、およびコレラ治療ユニットや学校を含む保健施設などは壊滅的な被害に見舞われました。コレラはすでに1,660人以上の命を奪っています。さらに、マラウイの何百万人もの人々が食料不安に陥ることが予想される、作物の収穫が減る時季が重なり、結果として子どもたちが最も苦しんでいるのです。地球温暖化にともない、マラウイは、より激しい嵐や干ばつなど、気候が引き起こす一段と激しい自然災害の影響を今後受ける可能性が高くなっています。現在、推定480万人の子どもたちが人道支援を必要としています。3月末までに、25万人近くの5歳未満児が急性栄養不良に陥り、6万2,000人以上が重度栄養不良に陥ると予想されています。重度栄養不良の子どもがコレラで死亡する確率は、栄養状態の良い子どもの11倍であるため、マラウイの多くの子どもにとって、コレラに感染することは死の宣告を受けることになりかねません。
 

ニアッサ州の小学校で行われたコレラの予防接種キャンペーンで、経口コレラワクチンの投与を受ける女の子。(モザンビーク、2023年2月27日撮影) © UNICEF_UN0799480_Francoニアッサ州の小学校で行われたコレラの予防接種キャンペーンで、経口コレラワクチンの投与を受ける女の子。(モザンビーク、2023年2月27日撮影) © UNICEF_UN0799480_Franco

マラウイとモザンビークの両国で、ユニセフは必要不可欠で基礎的な支援物資の投入に注力し、食料と安全な水へのアクセスの提供、衛生習慣の啓発実施と衛生用品の提供、テント・医療品・緊急用トイレ・教育とその他の主要サービス・心理社会的サポートと潜在的虐待からの保護の提供などに取り組んでいます。ユニセフはドローン事業者と協力して、マラウイの6つの県で、アクセスが困難な地域の被害や洪水の程度を評価し、また捜索や救助活動のための航空地図作成を支援しています。

ユニセフは、洪水とコレラが地域の子どもと家族に与える影響に対応するため、また、水と衛生、保健・HIV、教育、栄養、子どもの保護、社会的行動変容の介入がすべてのセクターに組み込まれた社会的保護において、命を守る物資、サービス、技術的支援を提供するために、1億5,500万米ドルの資金を緊急に要請しました。

気候危機が地域の子どもたちに与える影響を軽減するために、ユニセフは将来起きる可能性のある大きな変化に対応できるシステムの構築にも力を入れています。「ユニセフは、パートナーや地域コミュニティと協力して、気候危機がもたらす影響に耐えられる、より強靭なシステムを県やコミュニティレベルで構築しています。その一例が、モザンビークで行っている、サイクロンの強風に耐えられる気候変動に強い学校の建設です。サイクロン『フレディ』は歴史的な暴風雨をもたらしましたが、残念ながら気候変動の影響により、この地域が直面する記録的な暴風雨はこれが最後ではないことが分かっています。フレディの影響からの再建の際にも、将来の回復力を高めることを念頭に置いて行動する必要があります」とフォール代表は付け加えました。

■ マラウイについてのこれまでの発信は、こちらをご覧ください。
https://www.unicef.or.jp/children/children_now/select.html?tag=malawi

■ モザンビークについてのこれまでの発信は、こちらをご覧ください。
https://www.unicef.or.jp/children/children_now/select.html?tag=mozambique

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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