桐蔭学園の高大連携の挑戦! ペロブスカイト太陽電池で電車模型を走らせることに成功。

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学校法人桐蔭学園(横浜市青葉区 理事長:溝上慎一 以下、桐蔭学園)は、ノーベル賞候補である本学園 桐蔭横浜大学特任教授 宮坂力(みやさかつとむ)が開発した、次世代エネルギー「ペロブスカイト太陽電池(以下「同電池」)」を使って「桐蔭学園 鉄道研究部」作製のジオラマ上で、同電池の発電で動く、鉄道模型(Nゲージ)を走らせることに成功しました。本実験は、2月11日(土)「田園都市からはじめる ゼロカーボンフェスタ」で実施されました。Nゲージを駆動させるには、同電池を量産する必要があり、桐蔭横浜大学(以下、同大学)の学生・大学院生が協力して、同電池を約40枚製作。桐蔭学園の高大連携の取組となりました。本取り組みは、4月23日(日)の第二回桐蔭マルシェ(桐蔭学園内開催でも展示予定です。
■ペロブスカイト太陽電池で走る電車模型(Nゲージ)
2月11日(土)「田園都市からはじめる ゼロカーボンフェスタ」で、 ペロブスカイト太陽電池(以下、同電池)の将来の活用方法に関する展示を実施。「桐蔭学園 鉄道研究部」作製のジオラマ上で、同電池の発電で、鉄道模型(Nゲージ)を走らせることに成功しました。
展示エリアには、同電池開発者の宮坂力(みやさつとむ)特任教授と、山中横浜市長も見学されました。電車駆動用の同電池を制作した同大学大学院生の齋藤さん、ジオラマを制作した桐蔭学園中等教育学校の生徒らが、山中横浜市長に制作の苦労などについて説明させていただきました。

Nゲージを駆動させるには、同電池を量産する必要があり、イベントまでに桐蔭横浜大学(以下、同大学)の学生・大学院生が協力して、名刺サイズの同電池を約40枚製作しました。
 

 

学生製作のペロブスカイト太陽電池

■桐蔭学園 鉄道研究部
ゼロカーボンフェスタで展示したジオラマの一つは、鉄道模型コンテスト2021で出品した「2月11日の表参道」で、東京メトロ表参道駅を題材として建国記念の日のパレードを再現することでジオラマにストーリーを採り入れた作品。コンテストでは理事長特別賞を受賞しました。もう一点は、2011年7月の新潟・福島豪雨で被災したJR只見線の復旧応援を目的とした「旧只見川第六橋梁」は本名ダムをバックにし、被災前の橋梁を再現することで只見線の復旧を願って制作しました。この作品は令和6年に福島県へ寄贈し、来春完成予定の柳津町ビジターセンター(福島県・柳津町)に設置される予定です。

どちらの作品も9割以上紙で制作したもので、一見すると紙とは見えないように作ることを目標としています。現在桐蔭学園内事務室前に展示されています。

2月の展示で、ペロブスカイト太陽電池を電源として東急5000系車両が走ったことで、高大連携の取組となりました。鉄道研究部では、クラブ活動を社会貢献につなげることを目的に取り組んでいます。

       桐蔭学園鉄道研究部作製 ジオラマ「2月11日の表参道」

■ペロブスカイト太陽電池とは
太陽の光エネルギーを直接電気に変換する太陽電池は、再生可能エネルギーの中で最も普及しています。現在量産されている太陽電池は、シリコン太陽電池で、メガソーラー発電所で採用されるなど、広く普及していますが、発電に適した立地や設置場所に制限があることがデメリットとして指摘されています。そのため、薄型・軽量で、様々な光環境で発電可能な新型太陽電池の開発が求められています。次世代の太陽電池として期待されているのが、桐蔭横浜大学特任教授 宮坂力が開発した「ペロブスカイト太陽電池」です。これは、ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造の材料を用いた新しいタイプの太陽電池で、アメリカ国立再生可能エネルギー研究所の最新データ*では、シリコン太陽電池に匹敵する高い変換効率(25.7%)が報告されています。
*https://www.nrel.gov/pv/cell-efficiency.html

■シリコン太陽電池と比較したペロブスカイト太陽電池の特徴
ペロブスカイト膜は、スピンコート法やインクジェット法といった印刷技術で作製されるため、既存の太陽電池よりも低いコストで製造できます。さらに、フレキシブルで軽量な太陽電池が実現でき、建造物の曲面や垂直面といったシリコン太陽電池では困難なところにも設置することが可能になります。そのため土地の少ない都市部への太陽電池の導入に弾みがつくと期待されています。さらに、シリコン太陽電池と異なり、曇天や雨天時、さらに、室内光のような弱い光のもとでも、発電が可能になります。そのため、屋内で使う様々な環境センサーや

IoT機器に導入することで、省エネにも大きく貢献することが期待されています。

 

■宮坂 力(みやさか つとむ) 桐蔭横浜大学医用工学部 特任教授
1981年東京大学大学院工学系研究科修了(工学博士)。富士写真フイルム株式会社足柄研究所主任研究員を経て 2001年より桐蔭横浜大学大学院工学研究科教授。2005年から2010年に東京大学大学院総合文化研究科教授を兼務。2004年にペクセル・テクノロジーズ株式会社を設立、代表取締役。2017年より桐蔭横浜大学特任教授。専門は光電気化学、有機系の光電変換技術、とくにペロブスカイト太陽電池の開発。受賞は、クラリベイトアナリティクス引用栄誉賞(2017年)、加藤記念賞(2018年)、市村学術賞功績賞(2020年)、山崎貞一賞(2020年)、英国RANK賞(2022年)など

■学校法人桐蔭学園 概要
1964年に設立。幼稚園から大学院までを擁する総合学園。
1988年に開学した桐蔭横浜大学(横浜市青葉区 学長:森朋子)は、法学部・医用工学部・スポーツ科学部(2023年度より改組)・現代教養学環(2023年度より新設)、法学研究科・工学研究科・スポーツ科学研究科の4学部等3研究科を擁します。2023年度より新設する現代教養学環では、本協定のエネルギー分野で研究知見を提供するペロブスカイトの社会実装等を学修するサスティナブル工学コースなど5つの分野を学ぶことができます。宮坂力特任教授は、同大学医用工学部の教員であり、医用工学部、大学院工学研究科及び現代教養学環のサスティナブル工学コースの講義も担当予定。

 

<関連リリース>
・ペロブスカイト太陽電池の先行実証実験を東急田園都市線・青葉台駅にて実施します
https://www.toin-tc.com/post/20230209news02

 

 

 

 

 

 

 

 

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