この度その成果発表の場となる広島電鉄ラッピング特別電車『海と日本プロジェクト号』の運行を開始しました。この特別な電車は11月14日までの約1カ月間、広島市内と世界遺産厳島神社のある宮島へ向かう路線で通常運行されます。
このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環として開催しました。
- イベント概要
【里海を学ぶイベント】
・開催概要:公募した県内小学5・6年生20人で結成した「瀬戸内こども調査団in大崎上島」が「里海」を通して、海と人の理想の関係を探る調査学習を大崎上島の島内で実施。
・日程:2022年7月23日(土)(追加開催 9月3日(土))
・開催場所:広島県豊田郡大崎上島町(追加開催 広島市中区)
・参加人数:20人
【里海新聞作り、ラッピング電車デザイン完成発表イベント】
・開催概要:「瀬戸内こども調査団」の子どもたちが学びを復習しながら、成果をまとめた「里海新聞」と絵やデザインを最終仕上げし、仲間の前で発表。
・日程:2022年10月1日(土)(台風接近のためこの日に延期開催)
・開催場所:広島市中区
・参加人数:9人
・協力団体:独立行政法人 国立高等専門学校機構 広島商船高等専門学校、大崎内浦漁業協同組合
・後援:広島県教育委員会、県内全23市町教育委員会
- 「里海」を体感した調査と『里海を学ぶ特別授業』から学んだこと
今回調査団の活躍の舞台となったのは「大崎上島」。古くから大切に守ってきた海を「里海」として改めて見つめなおし、次世代に引き継ごうとしているこの離島の「里海」を舞台に、調査団の子どもたちはまず、島の変化に富んだ自然海岸「大串海岸」で干潟と磯の生物を調査・観察しました。
子どもたちは大崎上島が誇る「里海」の豊かな生態系を体感するとともに、その豊かな自然が、昔に比べると、人間による開発などで変化してしまっていることも学びました。
次に子どもたちは、アマモの群生する藻場まで、自らシーカヤックを漕いで調査・観察に行きました。
そして「アマモは藻ではなくて、『海草』であること」「種で増えるのに加え『地下茎』でも増えること」「大崎上島のアマモ場は瀬戸内海でも有数の規模であること」「このアマモの森は魚の産卵場所に最適で、稚魚もその中で育つので『海のゆりかご』と呼ばれていること」なども学びました。
今回島の「広島商船高等専門学校」が誇る練習船「広島丸」を学習の拠点に特別授業を行いました。
講師による「豊かな里海を支えるプランクトン講座」や、広島商船高等専門学校の学生による手作りの教材「海とアマモとわたし」を使った授業をとおして「里海」をさらに深く学び、問題解決のアイデアを考える実習でテーマ「里海にとって大事な存在なアマモ場、今減っていくアマモ場を増やすにはどんな方法がある?」について、それぞれ自分の言葉で一生懸命ノートに書き記しました。
- 世界に一つだけの「特別電車」が、子どもたちの学びの成果と思いをのせて出発進行!!
調査団の子どもたちは、島から帰ったのち、夏休みの間に大崎上島の「里海」で学んだことをしっかり整理して、その学びの成果「里海新聞」をプロのライターのアドバイスを受けながら完成させました。さらに大崎上島の「里海」をテーマにした絵やイラストを描きました。
そして!その彼らオリジナルの「里海新聞」と「里海」をイメージした絵やイラストをのせた世界に一つだけの「夢の電車」がこの度完成しました。
10月15日朝、自分たちが手掛けた電車の実物を前に、調査団の子どもたちは興奮気味。
広島電鉄平町取締役電車事業本部長ご出席の下、出発式が執り行われ、出発直前の電車を前に、一同で記念撮影したのち、子どもたちは「海と日本プロジェクト号」の最初の乗客として乗り込み、みんなの「出発進行!!」の声を合図に特別電車は広島の街へと出発しました。
この特別電車は11月14日までの約1カ月間、広島市内と世界遺産厳島神社のある宮島へ向かう路線で通常運行されます。
またこの電車をラッピングで彩った子どもたちの絵は、彼らが「里海」について学んだ際、試食を行った『大崎上島のヒジキ』の商品パッケージのデザインとなることが決まっています。
完成したオリジナルパッケージのヒジキは大崎上島町のふるさと納税返礼品としてお披露目する予定です。
子どもたちの「里海」についての学びが、こうして特別電車やふるさと納税返礼品となることで、一人でも多くの方の心に「海の大切さ」「海のすばらしさ」が伝わることを願っています。
- 参加した子ども・保護者、講師の方々からの声
参加した子どもたちから
・見聞きしたことを上手く新聞に書けたか不安だったけど、電車に飾ってある(自分の)新聞を見てわくわくした。
・点数をつけると「100点だと思う!」電車に乗った人に新聞や絵をじっくり見てほしい。
・絵は大崎上島に実際に居る魚や、カニなどにこだわって描いた。
・もっと船で過ごして、泊まりたかった。
・新聞を見てくれた人に「魚や海の生き物に大変なことが起きてるよ、ひどいことになっているよ」と知って欲しい。
保護者の方から
・夏からあっという間に時間が過ぎ、電車が完成して感慨深いです。
・親では提供できない体験をさせていただいて感謝です。
・中学生になっても何らかのイベントがあれば参加したいと言っています。
・後日、家族で実際に大崎上島を再訪しました!
協力団体や講師の先生から
・船内見学してもらえたことで、船の魅力を多少なりとも伝えられたのではと思います。(特別授業をした)学生にとって今回も良い経験になったと思います。また、本校の商船・海洋分野では連携できることもあると思いますので、今回をご縁に今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
・周到な準備と各方面への心配りについて、今回大変に勉強させていただきました。今後に活かせることがたくさんあり、喜んでいます。
・年々完成する新聞の完成度が高くなっている印象で、驚いています。広く海のことを訴える電車の運行を来年もぜひ実現させたいですね。
<団体概要>
団体名称:海と日本プロジェクトin広島実行委員会
URL:https://hiroshima.uminohi.jp/
活動内容:海と日本プロジェクトのコンセプトをもとに、“広島県民”が“瀬戸内海”への好奇心を持ち、行動を起こすムーブメントを作ることを目指して、展開しています。
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/