野村不動産株式会社(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:松尾大作、以下当社)は、東京都港区の「高輪交陽ハイツ」に於いて、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(以下「円滑化法」という)により2022年7月 当社が買受人となり、オフィスビルを開発することが決定しましたのでお知らせいたします。当社のオフィスビルシリーズ「PMO高輪(仮称)」として2024年度に竣工予定です。
マンション敷地売却制度※1は、耐震性不足マンションの建替えなどを促進するために平成26年に円滑化法が改正され、マンションおよびその敷地を売却するため特例として新設されました。南海トラフ地震や首都直下地震などの巨大地震の発生に備え、生命・身体保護の観点から、耐震性不足マンションの対策が喫緊の社会課題となっています。
時代の経過とともに周辺環境が変化し、現在の建物用途が必ずしも最適とは言えないケースも増加しており、老朽化したマンションを新たなマンションに建替えるという手法だけでなく、敷地売却制度を活用し周辺環境の変化に適応した用途へと変更する開発事業にも取り組み、高経年マンションという社会課題の解決とともに、都市・まちの機能更新に貢献してまいります。
1.本事業の経緯について
高輪交陽ハイツは、1980年に竣工された分譲住宅(総戸数106戸・12階建)で、2013年に実施した耐震診断の結果、耐震強度不足が判明し、また設備配管の劣化等建物の老朽化問題を抱えておりました。2016年より高輪交陽ハイツ管理組合にて建替えを含む再生の検討が開始されました。当社は2019年8月、事業協力者として参画し、4つの手法(①建替え②マンション用地としての敷地売却③複合建物用地としての敷地売却④オフィス用地としての敷地売却)による再生方針を検討・協議をかさね、当該立地についてはJR高輪ゲートウェイ駅の開業や品川駅周辺再開発プロジェクト着工などオフィス立地として適した環境であることから、2019年12月にオフィス用地として敷地売却を推進することが決議されました。
2.「PMO高輪(仮称)」物件概要
所在地 | 東京都 港区 高輪2丁目1-3 |
交 通 | 都営浅草線「泉岳寺」駅徒歩1分 JR「高輪ゲートウェイ」駅徒歩8分 |
敷地面積 | 約250坪 |
延床面積 | 約1,700坪 |
構造・規模 | CFT造地上10階 |
竣工年 | 2024年度 |
基準階面積 | 約130坪 |
事業手法 | 円滑化法に基づくマンション敷地売却事業 |
3.スケジュール
2018年10月 建替え方針(建替えもしくは敷地売却)決議
2019年 8月 高輪交陽ハイツ管理組合と当社 事業協力協定締結
2019年 9月 4手法の比較検討及び説明会の実施
~11月 ①建替え ②マンション用地としての敷地売却
③複合建物用地としての敷地売却 ④オフィス用地としての敷地売却
2019年12月 オフィス用地として敷地売却を推進することを決議
2021年 4月 マンション敷地売却組合設立認可
2021年11月 分配金取得計画認可
2022年 8月 解体工事着工
2024年度 PMO高輪(仮称)竣工(予定)
4.今後の建替え事業について
現状、旧耐震基準(1981年5月31日以前の耐震基準)で建築されたマンション約103万戸(2021年末時点・国土交通省発表分譲マンション戸数)に対して、これまでのマンション建替え実績は270件(工事完了済件数※)に留まっております。国土交通省から示されている「マンションの建替え等の円滑化に関する基本的な方針(2014年12月10日告示・最終改正2021年12月15日)」においても、建築後相当の年数を経たマンションは今後も急激に増大していくと見込んでおり、適切な修繕や耐震改修等による既存マンションの有効活用、そして、建替え等の円滑化を図ることは重要であるとされております。
当社は、これらの社会的な課題・重要性に鑑み、これまで培ってきた様々なノウハウをもとに、権利者·コンサルタント·設計事務所などの事業関係者と協力しながら、今後もマンション建替え事業を積極的に推進してまいります。
※国土交通省発表資料「マンション建替えの実施状況(2022年4月1日時点)」
URL:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001488550.pdf
※1 敷地売却制度とは
耐震性不足等によって特定要除却認定を受けた分譲マンションについて、区分所有者がマンション敷地売却組合を設立して、買受人(デペロッパー等の事業者)へ「建物と敷地」を売却し、取得したマンションを買受人が除却する制度です。この制度を活用することにより敷地売却後は、新たなマンションへの建替えのみならず、オフィスや商業など立地に適した用途への再生が可能となることから、周辺環境に応じて土地評価を最大化する手法を選択し、資産評価額の最大化を図ることができます。