Sunny Side Venture Partners 日系VC初となるエジプトを含む北アフリカ地域をメインマーケットとする1号ファンドを組成、4社への投資実行を完了

この記事は約13分で読めます。
Sunny Side Venture Partners有限責任事業組合(本社:東京都渋谷区、組合員:才木貞治および株式会社ケップルキャピタル、以下Sunny Side Venture Partners)は、日系VCとして初となる「エジプトをはじめ北アフリカのPre-Seed/Seedステージスタートアップ」を主な対象とするベンチャーキャピタルファンド「Sunny Side Venture Partners投資事業組合」(以下本ファンドまたは1号ファンド)の組成および4社への投資実行をご報告いたします。本ファンドは投資を実行しながら、引き続き資金募集を継続し、2023年2月末に最終クローズを予定しております。

エジプトの投資先・TFKのファウンダー達とエジプトの投資先・TFKのファウンダー達と

本ファンドは、主にエジプトを中心とした北アフリカ地域で活動するPre-Seed/Seedステージ企業を投資対象としております。北アフリカをメインマーケットとし、かつ、実際にエジプトに移住し現地に根差した投資を行う日系VCは、本ファンドが初となります。エジプト・北アフリカを中心に、一部中東・サブサハラもカバーする予定です。

エジプトを中心とする北アフリカは、現在スタートアップシーンが最も盛り上がってきている地域の一つで、アフリカ大陸や中東地域の中でも注目を集め始めております。我々はこれまでにすでに後述の4社への投資実行(エジプト3社、スーダン1社)を完了しており、志ある起業家たちが次々と登場する現地で今後も積極的に投資活動を行ってまいります。

 

  • ラストフロンティア・アフリカ。そしてその中でライジングスターとも言える北アフリカ

「ラストフロンティア」と言われるアフリカ大陸。その経済成長やポテンシャルは叫ばれて久しいですが、まさにその「ポテンシャルの象徴」とも言えるのが、新しい産業を生み出そうと活動するアフリカのスタートアップシーンの盛り上がりです。2015年に55件・$277Mだったアフリカのスタートアップ投資は、2021年には681件・$5.2Bを超え、その年平均成長率は件数ベースで52%、投資額ベースで63%という脅威の伸びを見せています(※1)。アフリカのユニコーン企業数(※2)も累計10社となっており、現在すでに累計数十社のユニコーン企業数を誇るインドや東南アジアのちょうど4-5年前の様相を呈しております。
アフリカのスタートアップ投資は、これまで南アフリカ・ケニア・ナイジェリアの3カ国が牽引してきましたが、ここ1-2年で急激にエジプトを中心とする北アフリカ地域が伸長してきております。アフリカ各国のディール数で比較しても2019年はエジプト3位(47件)、モロッコ7位(4件)、チュニジア11位(3件)だったのが、2021年はナイジェリアについでエジプトが2位(140件)、モロッコ6位(17件)、チュニジア10位(12件)となっています(※1)。
(※1) Partech社レポートより
(※2) 時価総額$1B以上の会社。ここでは一部上場後に$1Bを超えた会社も含む。
 

  • 中東・アフリカ・欧州を接続するエジプトマーケットの魅力

エジプトおよび北アフリカと、中東地域および南アフリカ・ケニア・ナイジェリアの位置関係エジプトおよび北アフリカと、中東地域および南アフリカ・ケニア・ナイジェリアの位置関係

北アフリカの中でもエジプトは、アフリカにおいても第2位となる1億人という人口規模と、1位2位のナイジェリア・南アフリカとほぼ並ぶ第3位のGDPを誇るトップマーケット(※3)であり、同時に中東においても最大の人口を持つ巨大な新興マーケットです。その地政学的に恵まれた位置によって、エジプトのスタートアップにとっては①世界的に見ても魅力的な「国内市場での成功」のみならず②歴史的にも文化的にも繋がりの強い「中東への進出」といったチャンスがあるのに加えて、昨今では③「成長目覚ましいアフリカの他地域(サブサハラ含む)への進出意向」を持つスタートアップも増えてきております。飛行機でわずか3-4時間という欧州との距離の近さも魅力です。エジプトの一流スタートアップの多くが、国内VCのみならずドバイや欧州を拠点とするVCから資金調達を行っています。
(※3) IMF2021年統計より
 

  • 北アフリカといっても多様、そしてそれはサブサハラとも異なる。だからこそ現地に根差す大切さ

北アフリカは、ムスリムが多くアラビア語が話されているという共通点はありますが、それぞれの国が多様であり、一筋縄ではいきません。大きく分けても①堅調な人口成長および経済成長を続け国内市場だけで魅力的なマーケットである「エジプト」、②インフラがサブサハラよりも成熟し一人当たりGDPも高いマーケットである「チュニジア・モロッコ・アルジェリア・リビア」、③著しい人口増加を続けスタートアップ自体がFirst moverとしてインフラ機能自体を担いうる、言わば“ポテンシャルマーケット”である「スーダン」といった3つのタイプのマーケットが存在しています。またエジプトおよび北アフリカマーケットは宗教・言語といった文化的特性に加え、サブサハラの主要マーケットである南アフリカ・ケニア・ナイジェリアとも異なるビジネス的特性を持っています。例えば、南アフリカ・ケニア・ナイジェリアでは、ディール数、投資額、ユニコーン企業数の面で、フィンテック企業がスタートアップシーンをリードしてきました。しかし、エジプトでは比較的インフラ(インターネット普及率、運輸・輸送・交通網など)が整っているため、フィンテックのみならず、特に活発なEコマースを始め、ロジスティクス・ヘルステックなど幅広いセクターでスタートアップ企業が躍進しています。
このような違いがあるからこそ、遠隔での投資活動には限界があり、現地に根差した投資活動を行う重要性が非常に高いと考えます。
 

  • 現地に根差し、北アフリカと日本をつなぐ架け橋に

近年、現地VCだけでなく、多くの中東系・欧米系のVCが北アフリカにキャピタリストを配置して投資活動を始めております。一方で、未だ日系VCで現地在住のキャピタリストは不在です。本年はTICAD8(第8回アフリカ開発会議)が北アフリカのチュニジアで行われますが、伝統的に関わりの深い欧米や中東、また昨今大規模に投資や進出を続ける中国に比べて、日本のアフリカ大陸および北アフリカにおけるプレゼンスはまだまだ微小であり、このままでは諸外国と比較し日本との距離は開いていく恐れがあります。

そこで、本ファンドは日系VCとして初めてキャピタリストが現地カイロに移住し活動を開始いたしました。我々がスタートアップを見る際に最も大切にしていることの一つは、Additionality(追加性)、すなわち、そのビジネスがいかに産業や市場にとって自身しかできないことをしているかどうかを見て、新しい産業を共創することです。本ファンドがまさにアフリカと日本にとって「Additionalityの高い活動」となるべく、現地で活躍するスタートアップと、新興マーケットを求める日本の企業とをつなぐ「架け橋」となることを目指します。

Sunny Side Venture Partners へのお問い合わせフォーム:https://sunnyside-vp.com/contact_JP
 

  • 投資先紹介

本ファンドからの初期投資先として、下記4社への投資実行を完了いたしました。

 

■The Fashion Kingdom(TFK)  https://tfk.me/
エジプト発ファッションB2C Eコマース
【背景・課題】エジプトはムスリム国家ではあるものの、とてもリベラルでファッションも自由。前述の通りEコマースは盛んになってきているものの、生活者はまだファッションに特化した良いEコマースサイトを持てておらず、また、特にローカルブランドはオンラインセールスチャネルを持てていない状況だった。そこで、アパレルをファミリービジネスに持ち、かつ、エジプトの著名VCの元GPであるファウンダーがファッションとデジタルへの情熱と知見を活かして起業。
【特長・実績】ユーザーにとってはオンラインで自分に合ったファッションを多くのブランドオプションから見つけられ、エジプト現地のローカルブランドにとっては「ワンストップ・デジタルパートナー」としてオペレーション、共同マーケティング、デジタルコンテンツ制作まで一貫してサポートを受けられる。現在200ブランド、15万人のユーザーを獲得し、10-15%の月間成長率で伸び続けている。
【ニュース記事】https://techcrunch.com/2022/07/26/the-fashion-kingdom-an-egyptian-fashion-e-commerce-startup-raises-2-6m-in-seed-funding/
 

■Cartona  https://cartona.com/
エジプト発FMCGプロダクトB2B Eコマース
【背景・課題】エジプトの、そしてアフリカ全体にも共通する、リテールサプライチェーンにおける課題は、リテーラーにとっては、商品サプライヤーへのアクセスが限定的で、価格の透明性も欠落していること、またFMCG(日用消費財メーカー)やホールセラーにとっては、データが不足しているため最適な販売ができていないことだった。
【特長・実績】在庫や輸送手段を自社で抱えない完全にアセットライトなマーケットプレイスモデルを通じて、伝統的なリテールマーケットの非効率を解消し続けている。現在、年換算GMVは$120M。エジプト11都市において、6万の小売店、1500のディストリビューター/ホールセラーと200のFMCGブランドがCartonaのサービスを利用しており、急速に拡大を続けている。
【ニュース記事】https://techcrunch.com/2022/07/25/egyptian-b2b-e-commerce-player-cartona-raises-12m-to-scale-and-explore-new-verticals/
 

■Mazadat  https://www.mazad.at/
エジプト発MENA初となるオークション機能を持つC2C Eコマース
【背景・課題】いわゆる「クラシファイド」と呼ばれる個人間の物品売買サイトは存在するも、その問題は、見知らぬもの同士がやり取りをせねばならないことから来る「信頼」の問題。個人情報の問題や不良品を掴まされるなどのケースからC2Cは「安かろう・悪かろう」の世界という印象が蔓延っていた。
【特長・実績】「リコマースを通じてサステナブルな世界を作ることに貢献したい」という想いから、Mazadatは前述のペインを解消すべく、空港ラウンジのように洗練されたサービスポイントと呼ばれる「商品受け渡しおよび支払いスポット」をカイロの街中に設置。これにより売り手と買い手は直接連絡先を交換したり顔を合わせたりする必要はなくなり、また「第3者の目」が入ることで不正も減る。また、オークション機能およびBNPL(後払いシステム)も導入することで、C2Cを「安かろう・悪かろう」から「スマートでクールな新しい売買」へとアップグレードしようと試みている。
 

■Bloom  https://withbloom.com/
スーダン史上初のY-Combinator選出フィンテック
【背景・課題】欧米の一流大学や一流企業で学び働いていたスーダンおよびその他北アフリカ地域出身の起業家たちが、スーダンの抱える金融課題(銀行口座保有者の少なさ、現地通貨の頻繁な価値変動、非効率でコスト大な海外送金受取など)を解決することで、スーダンの人々が富を蓄えることが可能になり、スーダンの経済と人々の生活を安定・向上させるために、Bloomを創業。
【特長・実績】スーダンから史上初となるアメリカの有力アクセラレーター・Y-Combinatorに選出。手数料無料の当座預金口座、バーチャルVisaカード、海外からの送金受取、米ドルでの普通預金口座などをローンチ予定で、現在すでに10万人以上のウェイトリスト。
【ニュース記事】https://techcrunch.com/2022/07/19/sudanese-fintech-bloom-nabs-6-5m-backed-by-y-combinator-gfc-and-visa/
 

  • ミッションとファンド名に込めた想い

Sunny Side Venture Partnersは「志ある起業家と共に、アフリカから世界を活性化する(Activate the world from Africa, together with entrepreneurs of good ambitions)」をミッションに立ち上がりました。私たちが大切にしたいこと、それはSunny Sideという名前に込めた次の3つです。

Sunny Side’s ABC
We ASPIRE(大志を抱く):

私たちは、世界に変化をもたらし、「世界を”日の当たる場所”へと変えていく」(Turn the world into a “sunny place”)ようなスタートアップと共に大志を抱きます。

We BELIEVE(信じる):
私たちはスタートアップのポテンシャルを信じ、「北風よりも”太陽のように”」(Rather “like the sun” than the north wind)、支援し続けます。

We CONNECT(繋げる):
私たちは「”日の昇る国”日本出身」(Coming from the “land of the rising sun”)の稀有なVCとして、これまで遠く繋がることのなかったモノ同士を繋げていくことを目指します。

年間降水量も少なく、まさに”Sunny”な場所・カイロから、これらを実現すべく活動をしてまいります。

ロゴは、本ファンドのキーワードでもある「太陽(Sun)」をモチーフに、アフリカの「夜明け・日の出」とともに、これまでの枠や物理的な隔たりを超えて飛び出していくスタートアップたちを表現しています。

 

  • 運営メンバー紹介

才木 貞治才木 貞治

才木 貞治   Sadaharu Saiki
1986年1月生まれ。元アフリカ・アジアバックパッカー、現在エジプト・カイロ在住。京都大学総合人間学部を卒業後、電通に入社。大手自動車営業担当として数々のグローバルプロジェクトを歴任した後、インド・バンガロールにて3年間、Directorとして日系企業のビジネス拡大支援に従事。インドでの経験から更なるフロンティアを求めアフリカへの想いを強くし、その第一歩としてハーバード大学経営大学院(Harvard Business School)へ進学。アフリカビジネスクラブやインパクト投資クラブ等複数の学生クラブ活動や、 ケップルアフリカベンチャーズ[ケニア]、ボストンコンサルティンググループ[南アフリカ]、Working Capital Fund(Omidyar系列のインパクト投資ファンド)[ワシントンD.C.]等のインターンを経験し、 MBA with Distinction(全学生の上位10%程度の成績優秀者)を取得し卒業。マッキンゼー・アンド・カンパニー[東京]を経て、本ファンドの GPとしてエジプト・カイロ在住。 GLIN Impact Capital Co-Founder。CFA LevelⅠ合格。
 

株式会社ケップルキャピタル  KEPPLE Capital Inc. 
「Create New Industries」をミッションに掲げる株式会社ケップルの投資専門子会社。日本で培ってきた投資家・起業家を支援するノウハウやネットワークを基に、世界のスタートアップエコシステムの発展に寄与していくことを目指している。
URL:https://kepplecp.co.jp/
 

  • Sunny Side Venture Partners1号ファンド概要

正式名称:Sunny Side Venture Partners投資事業組合
投資地域:エジプトを始めとする北アフリカを主とするアフリカ・中東地域
投資ステージ:主にPre-Seed/Seedステージのスタートアップに投資
投資セクター:オールジャンル
投資方針:
①経済成長が続き、インフラが整いつつある中で、人々が「ライフスタイルをより便利に・より豊かに」していくトレンドを牽引するビジネス
②「非効率かつインフォーマル」な従来型の既存サプライチェーンや既存システムを、「テクノロジーを駆使して効率化」するビジネス
③テクノロジーに裏打ちされたソリューションを武器に「First moverとしてインフラ機能を担う」ビジネス
 

  • Sunny Side Venture Partners概要

正式名称:Sunny Side Venture Partners有限責任事業組合
組合員:才木 貞治・株式会社ケップルキャピタル
所在地:東京都渋谷区
URL:https://sunnyside-vp.com/jp

※本プレスリリースは、情報提供のみを目的としたものであり、投資の勧誘、推奨を目的とするものではありません。

タイトルとURLをコピーしました