今回のテーマは、「eスポーツにおける新規事業開拓」。アックスエンターテインメント株式会社代表取締役・小林大祐氏と株式会社Papillon CEO・都築亮吾氏による講演およびトークセッションほか、ライフイット・ラボ株式会社・三宅尋也氏による事業紹介、県内でスポーツビジネスを学ぶ学生がプロスポーツクラブ「名古屋OJA Baseball5部門」の立ち上げを報告しました。
ゲストスピーカー2人を中心に、研究会を運営するインターン生らが写真撮影。大学卒業を控え、今回が最後の参加となる学生も
開会の挨拶を述べる片桐。「eスポーツ事業を愛知県からどう展開するか?地元出身のゲストに学ぶチャンス」
片桐(当連合代表理事、東京ヴェルディeスポーツ GM)は、一般社団法人eスポーツ連合(JeSU、所在地:東京都中央区)の設立経緯や愛知支部が掲げる3つの理念「夢をつくる」「産業をつくる」「社会に応える」を紹介しました。また、本研究会が27回目を迎えたことに触れながら、「今回のゲスト2人はeスポーツ関連事業をリードする人物で、愛知県出身。名古屋から全国、世界へどう展開するか、興味深い話が聞けるだろう。トークセッションでは、ここだけの”オフレコ話”も引き出したい」と挨拶しました。
日テレのeスポーツ事業参入を語る小林氏。仕事で携わるゲーム作品は、30時間以上楽しむのが習慣に
小林氏(アックスエンターテインメント株式会社代表取締役)は愛知県豊田市生まれ。日本テレビ放送網株式会社・社長室新規事業部副部長としてeスポーツ事業を統括しながら、 日テレ傘下のアックスエンターテインメント株式会社代表取締役や株式会社ClaN Entertainment取締役を務め、eスポーツチーム運営やVtuber事業を展開しています。
日テレがeスポーツ事業に着手したのは、年1回行う社内新規事業提案制度「NTVIP」がきっかけでした。2017年にゲーム好きの社員18人から提案があり、業界の研究を開始。翌年6月にアックスエンターテインメントを立ち上げました。7月には地上波番組「eGG」の放送を開始し、9月にはプロチーム「AXIZ」がRAGE Shadowverse Pro Leagueに参戦、翌年に初の大型eスポーツ大会「Gulliver CUP」を開催するなど、スピーディな事業展開を紹介しました。
「社員の意欲から始まった事業なので、eスポーツ業界に対する理解が早い。また、テレビ局が持つ人脈や収録機材、大型セットを大会や番組づくりで活用できるのも強みだった」とし、「どんな企業にもゲーム好きなスタッフは存在するので、まずはそうした人間を見つけること。その後は事業の継続に向けて、適切な予算設定を。今は企業スポンサーの力が大きいが、いずれはファンが支える業界になるだろう」と締めくくりました。
「学生起業からM&Aまで2年10か月。紆余曲折を経て、ゲーム好きの仲間と駆け抜けた(都築氏)」
都築氏(株式会社Papillon CEO)は愛知県生まれで22歳。豊田工業高等専門学校在学時の2019年に同級生3人と同社を設立しました。「ゲームプレイが称賛される社会」を理念とし、eスポーツのオンライン大会の開催をサポートするサービス「e-players」を開発。同スポーツの普及に国力を注ぐインドネシアで事業を展開しました。2022年に株式会社カヤックに対して会社売却を行い、現在は子会社として国内向け大会運用ツール「Tonamel(トナメル)」に携わります。
愛知県がスタートアップの育成を図る拠点施設「PRE-STATION Ai」で受けた支援や恩人と仰ぐメンターとの出会いなど、学生起業から会社売却への道のりを振り返りました。起業のきっかけについて「高専で学んだ技術を用いて、仲間と一緒に社会のためになる”何か”をしたかった」とし、「人生で仕事にかける時間や労力が多いことを考えると、仲間と好きなことができるのは幸せなこと。起業相談などがあれば、声をかけて」と学生へメッセージも送りました。
トークセッションに臨むゲスト2人。好きなことを仕事にするための「行動力」がキーワードに
講演後は、約30分にわたるトークセッションを行いました。「自分がeスポーツに詳しくない場合、社内で新規事業のメンバーをどう集めたらいいか」「愛知県の企業がeスポーツ事業を始める強みや特性は?」「プロスポーツチームのスポンサー獲得方法と継続の秘訣を教えて欲しい」など、聴講者から集めた6つの質問に答えました。「自分のような”オタク”気質な人間だけで仕事をして、狭い世界で満足しないよう注意している。eスポーツを知らない人々や企業に価値をどう伝えるか。業界でのネットワークづくりやプロ選手のスカウティングなど、営業力を持つ社員も必要(小林氏)」「愛知県ではeスポーツ事業を展開する企業が少なく、何か行動を起こしてプレスリリースを出すだけでも注目される。このチャンスを逃さず、eスポーツを通じてこんな社会を創りたいんだという意思を持って動いて欲しい(都築氏)」と語りました。
eスポーツ関連の新規事業に着手し、県内企業や大学との連携を経験した三宅氏
続いて、eスポーツに携わる県内企業と団体から活動報告が行われました。三宅氏(ライフイット・ラボ株式会社)は、同社がえぷろんフーズ株式会社(愛知県豊田市)から2020年に分社し、食品製造や弁当宅配事業へと展開した沿革を紹介。2021年10月に愛知eスポーツ連合の賛助会員に加入後、同連合や健康食品原料を供給する株式会社黒金ファインズ、中京大学eスポーツサークル「e-gleS」と共に、糖質吸収コントロールで集中力を高める「eスポーツ弁当」の開発を手がけた経緯を紹介しました。今年3月には、食後の血糖値上昇を抑える機能性表示サプリメント「イヌリン e BODY TREATMENT」を発売しています。
MAKUAKE e-BODY TREATMENT プロジェクトページ
https://www.makuake.com/project/lifeit-labo/
ガチスポ二期生の森川さん。3月12日に開催した、プロスポーツチーム名古屋OJAの新部門、「Baseball5部門」のお披露目イベントを報告しました
スポーツ産業で活躍する人材育成を目指す「名古屋・東海スポBizカレッジ ”ガチスポ” 」からは、森川柚穂さんが登壇しました。生徒が立ち上げに携わったプロスポーツクラブ「名古屋OJA Baseball5部門 」のイベント実施について、日本代表選手を招いたトークショーやエキシビションマッチ、競技体験会の成果を報告。「クラブの運営を学生が担うことで、学びの実践機会を創出する」としました。
閉会の挨拶を行う古田さん。「名古屋OJA Baseball5部門」では選手兼ゼネラルマネージャーを務めます
閉会では4月の就職を控え、当連合でのインターンシップを終了する古田莉穂さんが挨拶を行いました。交流を深めたスタッフやインターン生、企業に触れながら、「約2年間、皆さんと仕事ができた喜びを改めて感じている。卒業するのは寂しいが、新たな環境や立場でまた一緒に仕事ができたらうれしい」とし、学生が運営を担うJeSU愛知への支援を求めました。また、閉会後はゲストスピーカーや聴講者らによる懇親会を行い、名刺交換などを通じてコミュニケーションの促進を図りました。
本研究会は2019年11月にスタートし、毎月異なるテーマを掲げて、東海エリアの賛助会員企業や官公庁、地方自治体、企業、団体へ情報発信を行っています。eスポーツの正式種目化が有力視される「第20回アジア競技大会2026/愛知・名古屋」に向けて、JeSU愛知は今後も積極的に活動して参ります。
[愛知eスポーツ連合 組織体制](2023年1月末時点)
名誉顧問:
大村 秀章 愛知県知事
河村 たかし 名古屋市長
顧問:
すずき 英敬 衆議院議員
寺西 むつみ 愛知県議会議員
代表理事:
片桐 正大
[愛知eスポーツ連合 賛助会員企業](2023年3月時点)
※希望によりロゴを掲出しない企業様がございます。
■愛知eスポーツ連合 賛助会員
一般社団法人 愛知eスポーツ連合は、愛知を中心とする地域においてeスポーツを統括し、その普及振興を通して、経済社会の発展に寄与することを目的としております。「夢をつくる」「産業をつくる」「社会に応える」の理念に共感し、共に歩んでいける企業様と共に活動しております。2023年2月末時点で24社※1になりました。
※1 ロゴの掲出を希望しない企業様を含む。
■新規会員の募集
愛知eスポーツ連合は、eスポーツを通してともに愛知・名古屋を牽引してくださる企業を募集しております。また、愛知県の自治体様からのご相談も多数受けております。eスポーツに取り組みたいとお考えの企業様、自治体様は下記お問い合わせまでご連絡いただけますと幸いです。
■本件に関するお問い合わせ
info@aichiesports.com (事務局 松本)