「Pride7(P7)」は世界初となるLGBTQ+の人権保護・政策提言に関するG7の新たなエンゲージメントグループ。日本を含むG7各国が民主主義国家としての役割を果たし、LGBTQ+に関する課題に特化した取り組みをG7議題の一つとすること、国際社会と連携・足並みを揃えた取り組みを推進することを目的に発足されました。
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~各国の大使館、政治・経済・労働界からゲストが登壇~
「Pride 7サミット 2023」は、日本に限らず、G7が世界において果たすべき役割や、G7各国の国内において果たすべき責務について議論する国際市民サミットです。
当日は、P7各国とオランダ、メキシコ、オーストリア、オーストラリア大使館と日本国内の政治・経済・労働界からゲストが集結し、挨拶後には国内外の状況に関する共有や課題への想いなど、議論に向けたトピックを提供しました。その後、P7メンバーである世界10カ国(イタリアを除くG7各国とEUの他、タイ、ベトナム、ボツワナ、メキシコ)の当事者・支援者団体を中心に、各国からの報告を実施。
サミットの開会挨拶では、Pride7 日本実行委員会
を代表して、公益社団法人Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に 共同代表・寺原 真希子が登壇。下記主旨をコメントしました。
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「G7の場で性的マイノリティが直面している人権侵害の状況が共有されること、法整備を含む具体的な取り組みが議論されコミットされることは、性的マイノリティだけでなく、すべての人にとっての自由・民主主義・人権に資するもの
です。」 -
「G7で議論と必要なコミットメントを後押しするために、Pride7の議論を経た声明をまとめ、 今日という日を、世界に誇れる日にしましょう。
」
来賓では、森 まさこ内閣総理大臣補佐官(女性活躍及びLGBT理解増進担当)
が登壇。
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「多様性の尊重と、人権と尊厳を大切し、いきいきとした人生を享受できる社会の実現に向けて、国民の声を聴きながら取り組みを進めていきたい。また、今回の国内外に示していくことが重要。」
との挨拶をいただきました。
以下、各来賓からは以下の要旨のコメントをいただきました。(一部、抜粋・要約)
・牧島かれん 衆議院議員 (自由民主党/デジタル大臣/行政改革担当/内閣府特命担当大臣)
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”自由民と民主主義を大切にする国づくりに向けて、力を合わせていきたい。”
・岩屋毅 衆議院議員(自由民主党/超党派議員連盟 会長)
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”G7議長国として果たしていかなければいけない。日本の取り組みは各国と比較しても遅れているが、議員連盟として前に進め、一日でも早く実現できるようにしていきたい。”
・フィリップ・ロスキャンプ広報・文化交流担当公使(駐日アメリカ大使館)
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”世界には様々な問題があるが、平等と自由は大きな問題。すべての国民の生活を守ることが大事であり、平等かつ差別をなくすことが大事である。
これからも含め、LGBTQのコミュニティには様々な課題が立ちはだかるかも知れないが、各国で取り組みを進める必要ある。”
・テオ・ペータス氏全権公使・部長(駐日オランダ大使館)
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”同性婚を認めて間もなく20年経つが、何も悪影響などない。少子化を懸念する声もあるが、2014年~2018年だけで7,000組のカップルが子どもを持ち、より多くの幸せな人々が増えた。これからもすべての方が自分らしく生きれる社会を目指している。”
・辻元清美 参議院議員(立憲民主党)
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”理解増進で誤魔化そうとしてるのは、恥ずかしいこと。
前進に向けて、今日の成果を踏まえて、がんばっていきたい。”
・柄澤 康喜 (一般社団法人 日本経済団体連合会 審議員会副議長/ダイバーシティ推進委員長)
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”企業の経営としてもD&Iが重視されている。特にLGBTQ+が重要だと考えており、すべての人の人権を尊重することを、経団連の会員企業にも徹底している。”
・高島 宏平(オイシックス・ラ・大地株式会社 代表取締役社長)
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”日本車いすラグビー連盟の理事長をしている中で感じることが、日本国内における障がい者への差別はなくなったが、区別はまだある。性的マイノリティ問題に関しては、差別をなくす法案さえなく、初歩的な段階。知人が日本国内での起業を断念したが、日本の経済全体や企業の人材獲得の観点からも重要である。経済界も一緒に進めていきたい。”
・井上久美枝(日本労働組合総連合会 総合政策推進局長)
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”話題となったニュージーランドの国会議員のスピーチの通り、当事者ではない人には、今まで通りの生活が待っており、同性婚がもたらす社会のポジティブな影響は明白である。”
・貴田守亮( EY Japan チェアパーソン 兼 CEO ジャパン・リージョナル・マネージング・パートナー)
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”日本が労働市場として世界からどう見られているかを考える必要がある。ESGの観点からも人権分野は弱く、特にLGBTQ+の分野は進んでいない。”
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~各国首脳への政策提言に向けコミュニケを作成~
ゲストからの挨拶後には、各国支援団体から報告を実施。参加国との活発な議論を行った後には、各国の首脳への政策提言に向けた声明文書、P7コミュニケ(ドラフト版)を発表しました。
サミットの最後には、一般社団法人LGBT法連合会の代表理事 林 夏生が、下記の言葉で締め括りました。
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私たちが共有しているものは、「価値」と「痛み」です。
多くの方々が、”自分が何者であるか”という事で、傷ついています。
ほんのちょっとした一言で、誰かを取り残さない社会をつくれるように、
今回のP7コミュニケを策定していきたい。
今後、4月中を目標に各国政府へコミュニケを提出する予定しています。
その他Pride7サミット2023の様子
*実行委員会構成団体:
・一般社団法人 性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(通称:LGBT法連合会) |
・公益社団法人Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に |
・国際人権NGO ヒューマン・ライツ・ウオッチ |