⚫ 勤務間インターバル制度を導入する企業は 30.6%に
⚫ 勤務間インターバル制度の導入障壁として「メンバーが休む分を管理職が吸収するなど、一部でさらなる長時間労働化が進む」がトップ、他方で「売上・利益への影響の大きさ」を回答した人は最も少ない結果に
⚫ 自社に男性育児休業者がいる割合は 48.7%と昨年度を 7 ポイント以上も上回り、次の一手として「転勤制度の廃止」が期待される結果に
⚫ 男性育児休業者が不在の企業では「経営層からの発信がない」「職場全体の残業削減が進んでいない」が要因の上位、経営者のコミットと残業に頼った働き方からの脱却が求められる結果に
⚫ 働き方改革がうまくいっている企業における成果は「業績が向上した」(64.6%)、「従業員満足度が向上し
た」(63.0%)、「顧客満足度が向上した」(60.5%)、「株価等企業価値が向上した」(59.0%)など、経営指標へのポジティブな影響が確認された
⚫ 働き方改革がうまくいっている企業は「オフィスの改修や在宅勤務制度、通勤手当など勤務環境の改善」(66.7%)や「部門間の連携を強化する取組み」(58.6%)「勤務時間インターバル制度の導入」(58.0%)に取り組む一方、働き方改革が思うように進まない企業の取組みは「勤怠管理の強化(43.2%)」や「効率性向上のための IT ツールの新規導入(42.9%)」「ノー残業デーや定時退社の促進(39.8%)」であった
⚫ 勤務間インターバル制度を導入する企業(30.6%)で制度導入時に必須の仕組みは「チーム内での仕事配分の見直し」(48.5%)や「勤務開始終了時間を効率的に把握する仕組みの導入」(42.4%)、「仕事の効率化」(31.8%)が上位に
⚫ 勤務間インターバル制度導入の障壁は「メンバーが休む分を管理職が吸収するなど、一部でさらなる長時間労働化が進むこと」(30.3%)「全員分の勤務管理の手間」(28.7%)「既に人手不足で悩んでいるため」(26.9%)であることが判明、「売上・利益への影響が大きい」と答えた割合は 7.3%と最下位となった
⚫ 自社で男性の育児休業取得者がいる割合は 48.7%(昨年度 42.0%)、男性の同僚が育児休業を取得することに賛成する割合は 75.7%(昨年度 71.3%)、自分もしくはパートナーの男性の育児休業取得への希望も72.8%(昨年度 62.1%)でいずれも昨年度を上回る結果に
⚫ 男性の育児休業者が不在の企業の要因は「経営層からの発信がない」(51.4%)「職場全体の残業削減が進んでいない」(43.9%)「収入に対する補填がない」(40.2%)が上位で、経営者のコミットと残業に頼った働き方からの脱却が求められる結果に。男性の育児休業者がいる企業の次の一手は「転勤制度の廃止」(65.7%)がトップに
⚫ 2023 年以降に取組む働き方改革に関する施策は「残業削減」(29.8%)が 1 位。「男性の育児休業推進」(20.4%)は昨年度よりも 9 ポイント向上しており最も伸び率の高い施策に
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2006 年創業以来、これまでに働き方改革コンサルティングを 2,000 社以上に提供してきた株式会社ワーク・ライフバランス(本社:東京都港区、代表取締役:小室淑恵) は、2022 年 12 月に「第4回働き方改革に関するアンケート」を実施し、このほど調査結果をまとめました。
本調査は、2019 年度(注釈1)より、働き方改革をより推進していくことを目的に、働き方改革に効果的な施策や課題、新たな環境変化への対応方法といった知恵を探るべく、全国の 20 代以上のビジネスパーソンを対象に働き方改革の実態について調査したものです。
今回の 2022 年度調査では、昨年度までの COVID-19 の働き方への影響をふまえ、あらためて働き方改革の取組み状況とあわせ、22 年 4 月の育児・介護休業法改正後の男性の育児休業取得および勤務間インターバル制度に関する捉え方についても調査しました。
その結果、働き方改革がうまくいっている企業では「業績が向上した」とする回答が 64.6%と最も多く、実施する取組みは「オフィスの改修や在宅勤務制度、通勤手当など勤務環境の改善」(66.7%)や「部門間の連携を強化する取組み」(58.6%)「勤務時間インターバル制度の導入」(58.0%)が上位となりました。
また、勤務間インターバル制度を導入する企業は 30.6%で、勤務間インターバル制度の導入障壁として「メンバーが休む分を管理職が吸収するなど、一部でさらなる長時間労働化が進む」(30.3%)、「全員分の勤務管理の手間」(28.7%)「既に人手不足で悩んでいるため」(26.9%)などがならぶ一方、「売上・利益への影響の大きさ」を回答した人は7.3%と最も少ない結果となりました。
さらに、男性の育児休業に関する設問について、自社に男性育児休業者がいる割合は 48.7%と昨年度を 7 ポイント以上も上回り、次の一手として「転勤制度の廃止」(65.7%)が期待される結果となりました。男性育児休業者が不在の企業では「経営層からの発信がない」(51.4%)「職場全体の残業削減が進んでいない」(43.9%)「収入に対する補填がない」(40.2%)が要因の上位になるなど、経営者のコミットメントや社内外に向けた男性育休の取得促進方針の発信、男性育休を取得しやすくするための職場環境の改善・残業に頼った働き方からの脱却が求められる結果となりました。
本調査結果より、勤務間インターバル制度も 3 割を超える企業がすでに導入しており、今後も導入企業数が増加することが予測されます。2022 年 11 月には自民党が「勤務間インターバル推進プロジェクトチーム(PT)」を発足させるなど、国・企業の働き方の新しい施策として注目が集まるなか、企業としても先手を打った戦略的取組みが求められているフェーズといえるでしょう。
また、男性の育児休業取得に対する認知度が急速に広がっていること、さらなる後押しには経営者の強力な意思表明と残業削減等の働き方の基本的な取組みが求められることがわかりました。2023 年 2 月 28 日には厚生労働省の人口動態統計(速報値)で、2022 年の出生数は前年比 5.1%減の 79 万 9728 人で、1899 年の統計開始
以降初めて 80 万人を下回ったことが明らかとなるなか、父親の育児参画を後押しする男性の育児休業にまつわ
る企業の取組みはますます重要になっていくといえます。
(注釈1)
2019 年度調査(https://work-life-b.co.jp/20200219.html)
2020 年度調査(https://work-life-b.co.jp/20210311_11090.html)
2021 年度調査(https://work-life-b.co.jp/20220217_18034.html)
<調査結果トピックス>
- 働き方改革がうまくいっている企業における成果は「業績が向上した」(64.6%)、「従業員満足度が向上した」(63.0%)、「顧客満足度が向上した」(60.5%)、「株価等企業価値が向上した」(59.0%)など、経営指標へのポジティブな影響が確認された
- 働き方改革がうまくいっている企業は「オフィスの改修や在宅勤務制度、通勤手当など勤務環境の改善」(66.7%)や「部門間の連携を強化する取組み」(58.6%)「勤務時間インターバル制度の導入」(58.0%)に取り組む一方、働き方改革が思うように進まない企業の取組みは「勤怠管理の強化(43.2%)」や「効率性向上のための IT ツールの新規導入(42.9%)」「ノー残業デーや定時退社の促進(39.8%)」であり、表面的な対策にとどまっていることがうまく進まない原因であると考えられる。
- 勤務間インターバル制度を導入する企業(30.6%)で制度導入時に必須の仕組みは「チーム内での仕事配分の見直し」(48.5%)や「勤務開始終了時間を効率的に把握する仕組みの導入」(42.4%)、「仕事の効率化」(31.8%)が上位に
- 勤務間インターバル制度導入の障壁は「メンバーが休む分を管理職が吸収するなど、一部でさらなる長時間労働が進むこと」(30.3%)「全員分の勤務管理の手間」(28.7%)「既に人手不足で悩んでいるため」(26.9%)であることが判明、「売上・利益への影響が大きい」と答えた割合は7.3%と最下位となった
- 自社で男性の育児休業取得者がいる割合は 48.7%(昨年度 42.0%)、男性の同僚が育児休業を取得することに賛成する割合は 75.7%(昨年度 71.3%)、自分もしくはパートナーの男性の育児休業取得への希望も 72.8%(昨年度 62.1%)でいずれも昨年度を上回る結果に
- 男性の育児休業者が不在の企業の要因は「経営層からの発信がない」(51.4%)「職場全体の残業削減が進んでいない」(43.9%)「収入に対する補填がない」(40.2%)が上位で、経営者のコミットと残業に頼った働き方からの脱却が求められる結果に。男性の育児休業者がいる企業の次の一手は「転勤制度の廃止」(65.7%)がトップに
- 2023 年以降に取組む働き方改革に関する施策は「残業削減」(28.9%)が 1 位。「男性の育児休業推進」(20.4%)は昨年度よりも 9 ポイント向上しており最も伸び率の高い施策に
<調査結果 詳細>
1.働き方改革がうまくいっている企業における成果は「業績が向上した」(64.6%)、「従業員満足度が向上した」(63.0%)、「顧客満足度が向上した」(60.5%)、「株価等企業価値が向上した」(59.0%)など、経営指標へのポジティブな影響が確認された
本調査対象者のうち、41.6%が「働き方改革がうまくいっている」と回答し、それらの企業の成果は「業績が向上した」(64.6%)、「従業員満足度が向上した」(63.0%)、「株価等企業価値が向上した」(59.0%)などが上位となりました。
「働き方改革がうまくいっている」と回答する企業は、2020 年度調査から 3 年連続で「働き方改革が思うように進んでいない」と回答する企業を上回り、働き方改革を行うこととその効果に対する実感が伴っていることがうかがえます。
さらに、働き方改革による業績への好影響についても、昨年度調査と比べて 5%上昇しており、単なる福利厚生を期待した働き方改革ではなく、企業の経営指標にもポジティブな影響を及ぼすことが確認され、今後一層働き方改革に関する取組みへの期待感が高まっていくことが予想されます。
2. 働き方改革がうまくいっている企業は「オフィスの改修や在宅勤務制度、通勤手当など勤務環境の改善」(66.7%)や「部門間の連携を強化する取組み」(58.6%)「勤務時間インターバル制度の導入」(58.0%)に取り組む一方、働き方改革が思うように進まない企業の取組みは「勤怠管理の強化(43.2%)」や「効率性向上のための IT ツールの新規導入(42.9%)」「ノー残業デーや定時退社の促進(39.8%)」であり、表面的な対策にとどまっていることがうまく進まない原因であると考えられる。
「働き方改革がうまくいっている」と回答した企業が実施する取組みを調査したところ、「オフィスの改修や在宅勤務制度、通勤手当など勤務環境の改善」(66.7%)、「部門間の連携を強化する取組み」(58.6%)、「勤務時間インターバル制度の導入」(58.0%)などが上位となりました。
他方、「働き方改革が思うように進まない」と回答した企業における取組みは、「勤怠管理の強化(43.2%)」や「効率性向上のためのITツールの新規導入(42.9%)」、「ノー残業デーや定時退社の促進(39.8%)」であり、表面的な対策にとどまっていることがうかがえます。
働き方改革が思うように進まない原因としては、「残業削減以外の施策を実施していない」(26.2%)「思い付きの施策の実施にとどまること」(24.5%)などがあげられました。この結果から、経営陣が本気で社員とともに勤務環境の改善など根本的な働き方改革に取組むことが必要であり、結果ばかりを求めるのではなくその達成方法も合わせて議論を進めていくことが重要であると考えられます。
また、「発注者からの要求に対応せざるを得ない」や「取引先の理解を得られない」という回答もあげられ(合計27%)、業界や商習慣の変革等においても経営陣の役割の必要性が示唆されています。
3.勤務間インターバル制度を導入する企業(30.6%)で制度導入時に必須の仕組みは「チーム内での仕事配分の見直し」(48.5%)や「勤務開始終了時間を効率的に把握する仕組みの導入」(42.4%)、「仕事の効率化」(31.8%)が上位に
本調査対象者のうち「勤務間インターバル制度を導入している」と回答した企業は30.6%でした。そのうち、制度導入時に必要な仕組みとして、「チーム内での仕事の配分の見直し」(48.5%)や「勤務開始・終了時刻を効率的に把握する仕組みの導入」(42.4%)「働き時間は有限であるとの考え方に基づいた仕事の効率化」(31.8%)「勤務間インターバル導入を組織のメッセージとして対外的に公表しお客様などに理解いただくこと」(29.8%)が上位を占めました。また、チーム内での仕事の配分の見直しが効果的だと回答した人の割合(48.5%%)に対し、「管理職の時間管理スキルの向上」が効果的だと答えた人は22.2%にとどまりました。
チーム内での仕事配分の見直しや勤務開始終了時間を効率的に把握する仕組みの導入が求められること、勤務間インターバルに関する相談窓口の設置などが急がれることと同時に、管理職の時間管理スキルのさらなる向上により、勤務間インターバルの効果や仕事の効率化が高まることが予想される結果となりました。管理職を対象とした、適切な時間管理スキル向上のサポートが必要といえるでしょう。
4.勤務間インターバル制度導入の障壁は「メンバーが休む分を管理職が吸収するなど、一部でさらなる長時間労働化が進むこと」(30.3%)「全員分の勤務管理の手間」(28.7%)「既に人手不足で悩んでいるため」(26.9%)であることが判明、「売上・利益への影響が大きい」と答えた割合は7.3%と最下位となった
本調査対象者のうち、勤務間インターバル制度導入の障壁として、「管理職の長時間労働化」(30.3%)、「全員分の勤務管理の手間」(28.7%)、「既に人手不足で悩んでいるため」(26.9%)、「勤務間インターバルに対応するための社内ノウハウがない」(23%)が上位となりました。他方、「売上利益に影響出そう」と回答した割合は7.3%と最下位にとどまりました。
難易度が高そうに思える勤務間インターバル制度も、導入のためのノウハウが十分に周知されることにより、少ない人員で成果を上げるための具体的な取組みへと昇華できることが示唆されます。
5.自社で男性の育児休業取得者がいる割合は48.7%(昨年度42.0%)、男性の同僚が育児休業を取得することに賛成する割合は75.7%(昨年度71.3%)、自分もしくはパートナーの男性の育児休業取得への希望も72.8%(昨年度62.1%)でいずれも昨年度を上回る結果に
本調査対象者のうち、自社で男性の育児休業取得者がいる割合は48.7%と、昨年度調査の42.0%を上回る結果に。男性の同僚が育児休業を取得することに賛成する割合は75.7%(昨年度71.3%)、自分もしくはパートナーの男性の育児休業取得への希望も72.8%(昨年度62.1%)でいずれも昨年度を上回る結果になりました。
2022年4月に改正された育児・介護休業法により、企業に育児休業制度の通知・取得促進が義務付けられたことなども、昨年度の結果を大きく上回る後押しになったと予想されます。今後も、男性の育児休業取得が進み、男女ともに育児休業を取得することが一般的になるでしょう。
6.男性の育児休業者が不在の企業の要因は「経営層からの発信がない」「職場全体の残業削減が進んでいない」「収入に対する補填がない」が上位、経営者のコミットと残業に頼った働き方からの脱却が求められる結果に。男性の育児休業者がいる企業の次の一手は「転勤制度の廃止」がトップに
本調査対象者のうち、男性の育児休業者が不在の企業の要因は「経営層からの発信がない」(51.4%)、「職場全体の残業削減が進んでいない」(43.9%)、「収入に対する補填がない」(40.2%)という結果になりました。また、男性の育児休業者がいる企業の次の一手として「転勤制度の廃止」(65.7%)がトップとなりました。
男性の育児休業の取得を希望する人が72.8%と取得希望者は半数以上に上るにもかかわらず、それが実現できない背景として経営層からの発信がないことがトップであることから、経営層の意識改革が急がれることが明らかとなりました。
また、男性の育児休業者がいる企業も、より満足度高く育児休業を取得するには「転勤制度の廃止」が必要であることがわかり、より踏み込んだ働き方改革が必要であることがうかがえる結果となりました。
7.2022年以降に取組む働き方改革に関する施策は「残業削減」(29.8%)が1位。「男性の育児休業推進 」(20.4%)は昨年度よりも9ポイント向上しており最も伸び率の高い施策に
2022年は企業に育児休業制度の通知・取得促進が義務付けられたことにより、男性育休への関心が高まったと考えられ、昨年度比で9ポイントの差異が確認されました。また2023年4月1日からは労働者が1,000人を超える企業において、育児休業の取得状況の公表が義務付けられます。このことから、さらに男性育休推進の動きは強まるものと考えます。
また新型コロナへの対応や環境変化への適応が進んだためか、「場所のフレキシビリティの向上」や「オフィスで働くことの価値向上」に取組むという回答割合は低下傾向にあります。「働く場所」の問題は2022年度で収束し、次のターゲットとしては、いかに会議を効率化するか、時間管理の精度を向上するかなど、「時間に対する意識」が強まっていることが示唆されます。男性もより育児にかかわるためには、短時間で業務を終え早く帰宅することが重要なポイントです。2023年度は男性の育児参画を軸とした働き方改革が進む可能性があります。
【調査概要】
調査名:株式会社ワーク・ライフバランス/第4回働き方改革に関する実態調査(2022年)
調査対象:インターネットリサーチモニター 年齢:20歳~70歳 性別:男女 居住地:全国
調査期間:2022年12月13日~2023年1月28日
調査方法:インターネット調査
有効回答数:有効回答数:事前調査 2,201件、本調査330件
※回答率(%)は小数点第1位を四捨五入して表示しています。
そのため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。
◆株式会社ワーク・ライフバランスについて https://work-life-b.co.jp/
◆代表小室淑恵プロフィール https://work-life-b.co.jp/topmessage