- 株式取得の背景と目的
■背景
物流業界ではドライバー不足と高年齢化が深刻な課題となっており、その対応として、当社では以前から未経験者・若年層・女性の積極採用と、そのための環境整備に取り組んでまいりました。その代表的な取り組みが、2017年3月に開設したドライバー専用研修施設「滑川福田センター」です。ここでは、「慣れ」「見て覚える」という昔ながらのやり方ではなく、専門の指導員を配置し、実技と座学で集中的にドライバー技術、トラックの特性、運転マナーを学ぶことができ、ドライバー職に対する「トラック運転の経験がないと難しい」というイメージを払拭し、未経験者でも安心して物流業界にチャレンジしていただき、社内でドライバーに育て上げるという考えで人材育成に注力してまいりました。
最近では、物流業界における2024年問題について世間の関心をいただくようになり、物流に関する展示会等でもこの問題に対応する電子化、システム化やDX等が多く紹介されるようになりました。2024年問題への対応には、これらの導入検討を積極的に進めると同時に、やはり適正なドライバー数の確保が必要不可欠であり、当社ではドライバーの採用・育成・定着をより強化すべきと考えました。
■目的
物流業界における2024年問題※への対応を含めた人材育成・採用力の強化。
免許取得から育成までをアサヒロジスティクスグループ内で支援できる仕組みを構築し、トラック運転経験の有無、年齢や性別を問わず、物流業界にチャレンジいただける環境を整備いたします。将来的には準中型運転免許や中型運転免許の取得をより身近なものとし、当社のみならず、物流業界全体の慢性的な人材不足に貢献できるよう取り組んでまいります。
※物流業界における2024年問題とは・・・
「働き方改革関連法」の施行にともない、物流業界で2024年4月1日以降に起こるとされている諸問題の総称です。具体的な問題としては、自動車運転の業務に対し年間の時間外労働時間の上限規制が設けられることにより、現行の運行スケジュールの見直し、ドライバー数のさらなる不足への対応が必要になること等があげられます。
- 川越自動車学校について
■川越自動車学校概要 ※代表者名は株式取得前
① 名称 有限会社川越自動車学校
② 所在地 埼玉県川越市野田町二丁目20番地50
③ 代表者 荻原 聡彦
④ 事業内容 自動車教習所の経営
⑤ 資本金 3,000千円
⑥ 創業・設立 1956年4月学校開校、1964年5月法人設立
⑦ 取得可能免許 【第一種】中型、準中型、普通、大型特殊、普通二輪
⑧ 敷地総面積 17,055.98㎡
⑨ コース面積 11,787.63㎡(除緑地)
■株式取得後の経営体制
代表取締役社長 : 横塚 元樹(兼 当社代表取締役社長)
常務取締役 : 塚本 圭介(当社より出向)
- 今後の見通し
川越自動車学校のグループ化により、免許取得から就業支援までを一気通貫で行うことができ、特に未経験者や女性など、従来ドライバー職とのつながりのイメージが薄かった層へのアピールにつなげることができると考えています。当社独自の取り組みにより女性や未経験者が通いやすい環境を整備することで、幅広い層に対し物流業界への扉を開くためのバックアップができる環境を提供し、深刻化するドライバー不足への対応を通して物流業界に貢献いたします。また、現在多くの社員に利用されている「免許取得支援制度※※」についても、より使いやすく、効果的な運用につなげることが可能と考えています。
当面は、引き継がせていただいた川越自動車学校の運営をしっかりと行うことに専念してまいります。
将来的には、
・免許取得と同時にトラックドライバーとして必要なスキルを身につけることができる、短期集中でドライバー育成を行うための専門学校のような位置付けで活用
・AIを活用するなど、教習所ビジネスそのもののアップデート
の2点の実現に向け、取り組んでまいります。
※※免許取得支援制度
2017年3月より導入しており、業務に必要な運転免許の取得に際し、費用補助を行い、活躍の幅を広げていただくもの。
これまでに延べ348名がこの制度を利用しています。(フォークリフト免許取得、AT限定解除を除く)
- 参考:自動車運転免許証の取得の現状
運転免許証の保有者数は年々下降しています。中でも当社の主力車格である4トン車の運転に必要とされる中型免許の保有者率は、全保有者数に対し2017年には75.9%であったのに対し、2021年には71.5%にまで下がっています。トラックドライバーに必要な免許が取得しやすい環境の整備と同時に、軽車両や小型車両の導入を進めるなど、使用車格や納品方法等の見直しも進める必要があると考えます。