■総括
情報収集におけるスマートフォン利用時間の”頭打ち”が明確になり、コロナ禍による行動制限が解除される中、スマホ利用のための可処分時間の減少が確認できます。SNSの利用時間は、15~19歳で大幅に減少しており、オンラインからリアルコミュニケーションへと、時間の使い方が最も大きく変化した年代だと想定しています。
サービス別には、「TikTok」は幅広い年代に支持され利用率を伸ばしました。SNSの使われ方にも変化が起き始めており、友達の近況を知るツールではなく、より自分に合った有益な情報を得るためのツールへ変化してきているようです。
また、動画サブスクとライブ配信を比較すると、可処分時間が限られる中で、ライブ配信のようなリアルタイムに視聴する必要のあるコンテンツは利用率・利用時間ともに減少しており、一方、動画サブスクは上位サービスから新興勢力まで利用率が伸びています。今後は、サービス利用におけるタイムパフォーマンス(時間の効率性)がより重要視される可能性があります。
■調査結果詳細
1.情報収集におけるスマートフォン利用状況
スマートフォンでの情報収集を「SNS」、「サーチエンジン」、「メディア」の3分類に分け経年で利用状況を見ていますが、2022年の調査時点で、3分類合計の1日の平均利用時間は2021年から横ばいになり、”頭打ち”を迎えたと予想していました。2023年の調査では、2022年から2023年にかけて「136.4分」から「132.1分」と減少し、”頭打ち”である状況が明確になりました。
▼スマートフォンの1日の平均利用時間の推移_「SNS」、「サーチエンジン」、「メディア」の合計
2021年より前述の3分類「SNS」、「サーチエンジン」、「メディア」に、「動画サブスク」、「ライブ配信」を加えた5分類のサービス利用状況も調査していますが、5分類合計の1日の平均利用時間も2022年から2023年にかけて「190.3分」から「185.2分」と減少しています。
▼スマートフォンの1日の平均利用時間の推移_「SNS」、「サーチエンジン」、「メディア」、「動画サブスク」、「ライブ配信」の合計
「SNS」、「サーチエンジン」、「メディア」、「動画サブスク」、「ライブ配信」のそれぞれの利用状況においては、「ライブ配信」以外は2022年と比較し利用率が上昇しており、スマートフォンでの情報収集に費やす総利用時間が減少する中、サービス間での可処分時間の奪い合いが起きている可能性があります。それぞれのサービスはより高いタイムパフォーマンスを求められることになる可能性があります。
▼利用時間と利用率の推移_「SNS」、「サーチエンジン」、「メディア」、「動画サブスク」、「ライブ配信」
2.SNSの利用状況
SNSの利用率は、2022年と比較し5.1ポイント上昇。2019年に近い水準まで回復しました。
▼SNS利用時間と利用率の推移
SNSの利用時間は、15~19歳で大幅に減少しました。新型コロナウィルス感染症対策の緩和が進み、SNSでのコミュニケーションからリアルコミュニケーションへと、時間の使い方の変化が最も大きく現れた年代であると思われます。
▼SNS利用率と利用時間の推移_(性別・年代別)
「LINE」、「Instagram」、「YouTube(無料)」、「Twitter」、「TikTok」、「Facebook」の利用状況をみると、「TikTok」が利用率を伸ばし、2022年の13.2%から2023年は18.8%へと上昇しました。「Instagram」も2022年の46.3%から2023年51.4%と5.1ポイント上昇しています。
▼SNS別利用率の推移_「LINE」、「Instagram」、「YouTube(無料)」、「Twitter」、「TikTok」、「Facebook」
「Instagram」と「TikTok」の利用率を年代別・性別で比較すると「Instagram」は女性30代、50代、男性50代と比較的高い年代の利用率が伸びていますが、一方で「TikTok」は男性40代を除く全ての性年代で伸びていて、幅広い層に支持され始めていることが分かります。
▼「Instagram」と「TikTok」の利用率の推移_(性別・年代別)
SNSの使われ方にも変化が起きており、SNSでアカウントをフォローする理由として比較的高い「友人や知り合いのアカウント」のフォロー率は、2022年と比較して、「Facebook」、「Instagram」、「TikTok」、「Twitter」のいずれのサービスでも低下しています。一方で「企業公式アカウント」や「インフルエンサーアカウント」のフォロー率は上がっており、友人や知り合いの近況を確認するツールとしてではなく、自分に合った有益な情報を得るためのツールとしての使われ方へと変わってきている可能性があります。
▼「Facebook」、「Instagram」、「TikTok」、「Twitter」でアカウントをフォローする理由の推移
3.動画サブスクとライブ配信の利用状況
動画サブスクの利用率は、2022年に低下したものの2023年は55.0%と2021年水準に戻りました。一方でライブ配信は、2022年の29.0%から2023年の26.0%と3.0ポイント減少し、動画サブスクとライブ配信で明暗が分かれました。
▼動画サブスクとライブ配信の利用時間と利用率の推移
ライブ配信は、男性20代、女性20代を除きすべての年代で利用率が低下しています。可処分時間の取り合いの中で、ライブ配信のようなリアルタイム性は不利に働いている可能性があります。タイムパフォーマンスを求める傾向の現れと言えそうです。
▼動画サブスクとライブ配信の利用率の推移_(性別・年代別)
動画サブスクは、「Amazon Prime Video」「TVer(ティーバー)」「ABEMA(アベマ)※旧AbemaTV」「NETFLIX(ネットフリックス)」など利用率上位のサービスがさらに利用率を伸ばしました。また、「NHKオンデマンド / NHKプラス」「YouTube(ユーチューブ)有料」も調査を開始した2020年以降大きく利用率を伸ばしています。今後も伸びる可能性があると思われます。
▼動画サブスク別利用率の推移_[Amazon Prime Video」、「TVer」、「ABEMA」、「NETFLIX」、「GYAO!」、「ニコニコ動画」、「YouTube(有料)」「NHKオンデマンド/NHKプラス」、「U-NEXT」、「Hulu」
■調査概要
調査対象:日本全国に在住のスマートフォンを所有する10代~70代の男女
回答者数:2023年調査:1,594名、2022年調査:1,540名、2021年調査:1,442名、2020年調査:1,442名、2019年調査:2,060名
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査時期:2023年調査:2023年 3月 24日(金)~ 3 月 27日(月)
2022年調査:2022年 5月25日(水)~5月27日(金)
2021年調査:2021年 5月26日(水)~5月28日(金)
2020年調査:2020年 6月11日(木)~6月13日(土)
2019年調査:2019年 5月31日(金)~6月3日(月)
標本構成:男性:806名、女性:788名(10代から70代まで各110人前後)
※1 SNSの分類について
Facebook、Facebook Messenger、Instagram、LINE、TikTok、Twitter、YouTube(無料)、その他のSNSアプリ
※2サーチエンジンの分類について
Safari、Chrome、その他のブラウザー
※3メディアの分類について
グノシー、SmartNews、LINE NEWS、Yahoo!ニュース、Googleニュース、ニュースパス、dmenuニュース、その他のニュース系情報アプリ、美容、ファッション、健康(LIPS、@cosme、TRILL、WEARなど)、食・料理(cookpad、クラシルなど)、住まい・暮らし(LIMIA、キナリノなど)、旅行、おでかけ、レジャー(aumo、TABI LABOなど)音楽、映画、ドラマ、エンターテインメント(マイナタリー、映画.comなど)各種趣味(スポーツ、乗り物、カメラなど)、その他のジャンル・分野の情報・話題のまとめメディア
※4動画サービス(アプリ)の分類について
日テレTADA、ネットもテレ東、テレビ東京ビジネスオンデマンド、ニコニコ動画、ABEMA(アベマ)※旧AbemaTV、Amazon Prime Video、AppleTV、DAZN、dTV、FODフジテレビONE/TWO/NEXTsmart、Hulu、GYAO!、NETFLIX、NHKオンデマンド/NHKプラス、Paravi、TBS FREE、TELASA、TVer、U-NEXT、YouTube有料、その他の動画閲覧サービス
※5 音声配信/ライブ配信サービスの分類について
YouTube(ライブ配信)、Instagram(ライブ配信)、Twitter(ライブ配信)、Facebook(ライブ配信)、TikTok(ライブ配信)、ニコニコ生放送、LINE LVE、17LIVE、SHOWROOM、Pococha、ツイキャス、ふわっち、MixChannel、HAKUNA、Apple Podcasts、Google Podcasts、Clubhouse、Voicy、himalaya、stand.fm、Mirrativ、REALITY、その他の音声配信/ライブ配信サービス
データ活用に向けた「Glossomデータインサイトラボ」について
当社は企業のデジタルマーケティング領域において、複数の特許技術※1を活用し、マーケティングデータベースの構築からデータ蓄積・分析・施策立案、実行までを一気通貫して支援しています。昨今スマートフォンの普及により生活のデジタル化が進んだことで、商品購入やサービス利用の前後や経緯、きっかけなど人々の行動をデータ化し蓄積することで、企業はデータから顧客ニーズを読み取り、顧客ファーストかつ効率的なデータマーケティングを行うことが可能となりました。「Glossomデータインサイトラボ」では、チーフデータアナリストの陳野を中心に、様々なデータ分析を行い調査結果を発表することで、企業のデータに基づいたマーケティングを推進しています。
チーフデータアナリスト プロフィール
陳野 友美(じんの ともみ)
楽天グループの顧客データベースである「楽天スーパーデータベース」の生みの親。2003年、楽天株式会社に顧客マーケティング部署の立ち上げメンバーとして入社後、 楽天市場事業のデータ分析部部長に就任。楽天PointClub等のCRMプログラムやグループ統合DB(楽天スーパーDB)の構築など、データを活用した顧客マーケティングの基盤づくりとマーケティング活動を推進。当社にてQUANT DMPによる記事読了解析技術の開発と複数の特許を取得。
※1ウェブコンテンツの読了率などからコンテンツをスコアリング(特許:第6347532号、名称:評価装置、評価方法及び評価プログラム)、コンテンツの読まれ方を解析し、自社ユーザーのファン度を顕在化(特許:第6042018号、名称:情報生成装置、方法およびプログラム)、ライターの能力を可視化(特許:第5988345号、名称:評価装置、評価方法、評価プログラム、レコメンド装置、レコメンド方法及び、レコメンドプログラム)
■グリー株式会社 DX事業について
グリーのDX事業は、Glossomをはじめとする複数のグループ子会社により展開されています。データドリブンマーケティングを強みに、「DXで世の中を元気にする」というビジョンのもと、クライアント企業のDX支援に取り組んでいます。
■会社概要
会社名:Glossom株式会社
URL:https://www.glossom.co.jp/
代表者:代表取締役社長 足立 和久
設立:2007年3月
本社:東京都新宿区西新宿六丁目18番1号 住友不動産新宿セントラルパークタワー13F
事業内容:DX支援事業、広告代理事業、マーケティングプロダクト事業
■本件に関するお問い合わせ
Glossom広報担当:宮川(みやがわ)
TEL:03-5770-9547 E-mail : pr@glossom.co.jp