「お葬式が変われば、寺は変わる」 故人・家族にお坊さんが向き合い、お寺がお葬式を主体的に執り行えるよう支援する『てらそうそう』の提供開始

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寺社の活動を支援する株式会社しゅうごう(本社:東京都港区、代表取締役:西本暢、以下:しゅうごう)は、寺院がお寺という場で、お葬式を主体的に執り行えるよう支援する『てらそうそう(https://syuu-go.com/terasousou/)』のサービスを、正式に提供開始しました。

葬儀会館やお寺の本堂・施設を斎場として利用し、葬儀社が運営するケースは一般的ですが、お寺やお坊さんが主体となってお葬式を執り行える寺院はきわめて希少です。日本の仏教寺院は檀信徒数減少などの課題に直面していますが、布教の足がかりとなるお葬式をお寺が主体的にすべて行うことで、その後のお墓や法事法要、檀信徒や地域とのつながりといった循環サイクル、収益基盤の安定化にもつながってきます。全体設計や運営まで並走しながら支援する「てらそうそう」の導入を通じて、持続可能な寺院を増やしていきます。

なお、7月31日(月)に「てらそうそう」導入に際しての、寺院向け説明会をオンライン開催することを併せてお知らせします。

  • 『てらそうそう』をつくった3つの背景

● 1.お葬式は、布教の大切な足がかり ●
日本の伝統仏教にとってお葬式は重要な布教の足がかりでも、檀信徒と会話をする貴重な場(*図1)でもあります。また、社会からお寺に求められることとしても、お葬式と先祖供養の役割が大きい(*図2)ことは説明するまでもありません。

旅立ちの前後における相談は、死と向き合いながら生きるための最善の方法を、当事者および家族と一緒に考える大切なものでもありますが、一方、その過程においてお寺やお坊さんが密に介在するケースが少なくなっています。

特に都市圏においてその傾向は顕著で、葬儀の事前相談先が分からない方が半数いる(*図3)にも関わらず、相談先にお寺があることすらイメージされていない(*図4)のが実情です。

お寺やお坊さんは遺された人々の悲しみを支え、生きている人々に向き合い「いのちの在り方」を語りかけられる専門家(プロフェッショナル)でもありますが、そこにお寺とお坊さんを軸としたお葬式を設計する意義を見出したことが第一の理由です。

● 2. そのままでいい。小さくてもいい。● ~お寺の本堂・空間そのものが立派な弔いの場〜
2つ目は、お寺の立地や空間といったハコや場としての魅力です。本堂や境内は、いのり、いやし、静寂、なごみ、安穏の空間として、仏さまを中心に“いつもそこに在る”わけです。お寺の本堂は、祈りこまれた空間でも、教えを広める場でもありますが、お葬式の悲しみや苦しみを抱えた遺族にとって、仏さまの在るお寺の空間には人の心を癒す力があります。

日本は2040年には亡くなる人がピークを迎えますが、単身世帯は4割を越え、核家族化・少子化も進行しています。家族のカタチも近年で大きく変化しましたが、これらの社会変化は「家族葬」や「直葬」といったお葬式の簡素化、小規模化に繋がっています(*図5)。翻ってみれば、家族や50人前後の規模なら、本堂や空間を有効に活用することで、地域のお寺でもお葬式ができる余地、機会が十分あると感じています。

● 3. 仕組みづくり・後方支援することでの実現性 ●

日本の伝統仏教界内は概して保守的な環境になりがちで「寄らば大樹の陰」といったお寺側の意識、「お寺は変わる必要はない」という意識や意見は檀家さん側にも根強くあります。また、漠然とした危機意識はあってもどこから手をつけてよいかわからない、自坊だけでお寺主体のお葬式をする自信がないといった理由等で、なかなか実行まで移せないケースもたくさんみてきました。

それならば、我々がお葬式に必要な仕組みづくりや、(業者さんや)関係先との調整、人々に知ってもらうための広報活動、現場接客などの対応から実運用にいたるまで、お寺を後方支援することで良き方向に後押しできる余地が多分にあると考えたことが3つ目の理由です。

  • 『てらそうそう』のコンセプトと3つの特徴

「てらそうそう」とは、お寺が、故人・遺族の意思と心を真正面から受け止めて、生きている人々に向き合い、お寺という場で、主体的に執り行うお葬式(お寺葬)を、支援していくサービスです。

【1】はじめのご連絡から四十九日法要まで。~お坊さんが主体、お寺で一貫した流れとして対応~

お坊さんは、故人の想いや生前の生き方を掬い取り、遺族や見送る人たち自らが、明日に赴く道の道しるべをみつけるための水先案内人の役割を果たします。

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 ・事前相談窓口の設置

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逝去前後の一報、不安の受け皿としてお寺が相談に応じられるよう、夜間連絡用の回線(ホットライン)を設けます。8割以上の方が病院で死を迎えられますが、病院からお寺へのお迎え(搬送)、安置にも対応できるように準備します。

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 ・枕経

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枕経は、故人が旅立つ最初の道しるべであり、遺された方たちが故人の死を受け入れていくために必要な儀式です。

自宅で臨終を迎える人が多かった時代は、自宅に枕飾りを飾り、すぐお寺のお坊さんを呼んで枕経をあげてもらうことが習わしでもありました。ただ、今日ではほとんどの方が病院で息を引き取り、安置場所も斎場や会館での利用が一般的になっていることもあり、枕経の意義も意味も知らない方が増えています。

 『死の先にある「逝き場所」に旅立つ準備を死者に向かって伝える』といった枕経の意味などを、まずお坊さんから説明し、お寺やご自宅など、故人が安置された先で親族に寄り添ってお経をお唱えします。

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 ・お坊さんも同席の事前相談

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ご遺族の様子や要望をうかがいながら、以後の日程やお葬式の相談をお受けします。基本的な内容(一日葬・二日葬の価格差もほぼないように設計)と見積りを提示し、段取りや各種手配、費用明細を説明して納得いただいてから決定。お布施にかかわる考え方やガイドラインの提示なども行います。

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 ・納棺の儀

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納棺の儀は、大切な人の死によってご遺族が死を受けとめ生を分かち合う、尊く、重要な場でもあります。納棺は、納棺士とご遺族や限られた身内だけの儀式ではありますが、遺族の悲しみを受け止め、「死とは無常を目の前に顕(あらわ)す」という理や「いのちの在り方」を伝えることは、お坊さんだからこそできる役割でもあります。

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 ・お葬式の司会・進行も僧侶主体で

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ご遺族の様子や要望をうかがいながら、以後の日程やお葬式の相談をお受けします。基本的な内容(一日葬・二日葬の価格差もほぼないように設計)と見積りを提示し、段取りや各種手配、費用明細を説明して納得いただいてから決定。お布施にかかわる考え方やガイドラインの提示なども行います。

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 ・四十九日法要

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四十九日は、仏教で説くところの忌明けですが、ご遺族が故人の身辺整理含め、少しずつ心の落ち着きを取り戻していく頃合いでもあります。この四十九日までを、お寺がしっかり故人・遺族と関わっていくことを一つの流れとしています。

【2】お寺の本堂やもともと備わっている環境・空間を利用。
お寺は本堂を中心として設計されており、その本堂の中心にご本尊が祀ってあります。本堂には故人に対してのお弔い、お見送りに際して必要な時空、宗教的要素がもともと備わっており、いのり、いやし、静寂、なごみ、安穏の場でもあります。だからこそ、祭壇やしつらえは簡素であっても、日々祈りこまれた本堂やお寺の空間そのものが立派な弔いの場になります。そこは斎場や会館といった専用施設と比較することができない一つの価値でもあります。生花は抑えつつ、できるだけ供花でまかなうことを提案しています。

【3】お布施は、身辺整理・心も落ち着かれる四十九日の頃合いで。

「てらそうそう」では、お布施をご遺族に準備いただくタイミングは、(通夜・告別式・火葬の読経時に、喪主家がお布施をお渡しするのが通例ですが)『故人の身辺整理がつき、遺族の心も少し落ち着いてくる「四十九日」を目安とすることを推奨しています。その理由としては、以下3点です。

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  ・「お気持ち」は一段落ついた後の心の集積 

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故人の死から四十九日が過ぎた頃に、遺族も少しずつ落ち着きを取り戻し、ようやく周りがみえてくるものです。

遺族に「ありがとう」という感謝の気持ちが冷静に芽生えてくるのも、この頃合いではないでしょうか。「ああ、このお寺でやってよかったな」「このお坊さんにお願いしてよかった」「このお寺で永く供養してもらいたい」「これからも縁をもっていきたい」・・・。そういった心の集積が「お気持ち」でも「お布施」でもあり、それは一連の流れを終えた後からついてくるものではないでしょうか。

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  ・点ではなく、線でつながる布教の足がかり

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お葬式はお寺にとって布教の足がかりで、点ではなく、この先に続いていく長い線だと考えています。

お布施についてのガイドラインは、あらかじめ喪主家に伝えてご理解いただく必要はありますが、お布施も(その都度ごとの法務といった)点ではなく、その先につながる線と捉えて、四十九日の頃合いにまとめて包んでいただく方が、その後のよい関係とご縁につながるのではないかと考えています。

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  ・現金準備とその負担 

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寂しさや悲しみのさ中、故人の死という非日常的な状況において、ご遺族は「(お寺に対する)お気持ち」を考える心理的余裕はほぼありません。そのさ中に、すぐにまとまった現金を用意することも、少なくない負担だと考えています。

  • 『てらそうそう』のサービス内容

しゅうごうは、「布教の足がかり」となるお寺のお葬式の全体設計や運営サポートを通じて、地域・社会に有用で、持続可能なお寺の実現に向けた支援を行います。

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✓ お寺の機能整理。やるべき役割の明確化。
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個々のお寺の状況や、もともとお寺に備わっている人・空間・機能に応じて「できること」「できないこと」を整理。その上で、やるべき役割を明確にし、お寺・お坊さんだからこそできる重要な役割に集中して対応できるようにします。

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✓ 全体設計
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全体設計から準備・告知・運営をサポート。必要に応じて、外部や事業者さんとの調整、協力や連携も柔軟に行います。お葬式のことだけでなく、その後の四十九日法要までのフォローや情報管理などについても指南します。

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✓ 告知・発信、ツールの提供
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生前からお寺の住職やお坊さんとかかわりをもち、知ってもらうためにも、お葬式や終活セミナーなどの説明会や催しを、お寺から発信できるようにします。(*図8)
その際、寺社特化型の「しゅうごうのLINE(https://syuu-go.com/line/)」は、地域や檀信徒家族への情報発信・関係構築(エンゲージ)を強化していくためのツールとなります。

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✓ 案内パンフレット・冊子
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以下三者の意思疎通、共有意識形成のために、「するべきこと」がわかるように冊子類の準備をします。

   ・旅立つ本人(事前準備・意思の整理)

   ・家族(故人の意思の受け取り・弔い)

   ・お寺・お坊さん(意思の受け取り・実行)

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✓ ドキュメント作成
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お坊さん主体でお葬式が円滑に運営できるよう、Q&A、座組と役割、スケジュール表、TODOリスト、式次第など、一連の流れを確認しながら各種ドキュメントを準備し、共有をしていきます。

枕経・戒名・お布施のことなど、きちんとご遺族にお伝えしておかなければならないことは、仏さまの教えや住職の考えを踏まえて、ドキュメントにおこしてご説明することで、理解と納得感が深まります。

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 ※ 「てらそうそう」の導入を検討いただきたい寺社
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「“故人・遺族の意思と心を真正面から受け止めて、生きている人々に向き合う”お葬式」を主体的に行う意思のある寺社

「読経などの法務だけ」、「スペース提供のみ」といった要望、「面倒なことはお任せ」といった姿勢のお寺に対しては、私たちがサービスを提供することは難しくなります。なぜなら、お葬式は布教の足がかりであり、心あるお寺やお坊さんが一連の流れを担うことそのものが唯一無二の価値だからです。

お葬式からのつながりは、その後の故人の供養、法事やお墓につながり、お寺は故人と家族の繋がりを感じられる場として、大切な機能を果たします。

持続可能なお寺にしていくためには、次世代とのつながりと収益基盤の安定化の要素は欠かせませんが、これらはお寺・お坊さんに当事者意識があってこそ実現可能なものだからです。

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 ※ お布施に対する手数料などでの中抜きは行いません。
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お布施は対価ではなく、自身の財や持ち物を他者へ施す行為であり、ご本尊ないしお寺にお供えするものであると考えています。お寺・お坊さんは、「法施」「無畏施」といった仏教の教えから、教えを説き、みなさまの苦しみや悲しみにしっかり寄り添うのが勤めであるわけですが、「財施」としていただいたお布施に対して、第三者である私たちが中抜きなどの関与をすることに強い違和感があります。
戒名授与に対するお布施に関しても同様、一時的に預ることはあっても、そこから手数料などの徴収はいたしません。

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 ※ サービスに関する費用
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 ・初期導入費

 ・お寺葬の施行費(喪主家さま負担)またはその手数料

 

  • 代表メッセージ:西本 暢

● 安心装置としてのお寺 ●

コロナ禍で人が集まって悼むことも、遺族が故人の死に向き合って悲しみを癒すことすらままならない時期が長く続きました。そんな時だからこそ人々に開いていてほしいお寺が、世間に倣って「不要不急」と閉じていく状況に内心複雑な思いを抱きました。また、一部のお寺やお坊さんに対するネガティブな要素がフォーカスされ、マイナス面が喧伝されてしまうことに忸怩たる思いがあります。

 しかしながら、もともとお寺というものは、さまざまな課題を取り込める素地があり、長い年月をかけて築かれた潜在力や課題解決に向けての安心装置(バックアップシステム)が整っています。「仏教に関する実態把握調査報告書(2022年)」によると、(菩提寺の有無を問わず)「普通のお葬式」で執り行いたいと思う人は5割を越えていますが(*図7)、コロナ禍はお葬式や弔いの意義や意味を考えさせられた時期ではなかったでしょうか。手をかけた最後のお別れ・お葬式は、生きている人たちの悲嘆(グリーフ)ケアになりますが、「亡くなった後の儀式(セレモニー)」や「読経」という役割で切り取られたものではなく、日本の仏教で説かれる「縁起」のように、生前からの関連性に基づいた流れの中で紡がれるものだと思っています。

● 習合そして集合 ●

日本人の信仰感の根底には、日本古来の土着の神さまに対する信仰と、大陸から伝来した仏教が密接に結びついて融合、調和し、長い年月を経て育まれたものがあります。

「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」それはすなわち、祈りや信じる対象を適切に選択する”しなやかさ”、「無常の世を平安、平穏に生き抜こうとする」日本人ならでは智慧と中庸なのではないでしょうか。アフター・コロナにおいて、「人々が集い合う」ということの大切さが、以前にも増して求められるようになりましたが、古来より日本に根付いてきた歴史的・文化的・宗教的に仏教寺院が兼ね備えているものを活かしながら、人々の心を穏やかに平らかにしていく術がたくさんあり、社会にも必要とされています。

私たちが、持続可能で豊かな社会の実現にむけて、日本の寺社のもつ資産を有効活用し、今を生きる人々の心を豊かにする価値を提供できれば本望です。

  • 株式会社しゅうごうについて

しゅうごうは「寺社を地域と社会に開かれたよりどころとしていく」をミッションに掲げ、リアルとネット、テクノロジーを融合させながら、人や社会に必要とされる日本の寺社の価値をていねいに掘り起こしていきます。

代表者:代表取締役 西本 暢

所在地:東京都港区三田2-12-5

設立 :2021年9月

URL :http://syuu-go.com

提供サービス:

 ・寺社主体のお葬式「てらそうそう」(https://syuu-go.com/terasousou/

 ・寺社特化型・つなぐつなげる「しゅうごうのLINE」(https://syuu-go.com/line/

 

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