地元自慢のお魚を守ろう!敦賀西小学校6年生がアカアマダイの魅力と課題を大調査!【港町敦賀 アマダイ調査隊】を開催しました!

この記事は約8分で読めます。
一般社団法人福井環境研究開発は、福井県敦賀市自慢のブランド魚「若狭ぐじ」である「アカアマダイ」について、その生態と敦賀の海で起きている変化・課題を、敦賀西小学校6年生38名が2日間の体験を通して学び発信するイベント「港町敦賀 アマダイ調査隊」を開催しました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

  • イベント概要

・開催概要:福井県敦賀市を舞台に「敦賀のアカアマダイ」について学習・調査

・日  程:2023年6月29日(土) 7月4日(火)9:30~16:00

・開催場所:敦賀水産卸売市場、福井県水産試験場、敦賀市役所

・参加人数:敦賀西小学校6年生 38名

・協力団体:国土交通省 北陸地方整備局 敦賀港湾事務所

      敦賀市教育委員会

      福井県水産試験場

      福井県漁業協同組合連合会

      敦賀市漁業協同組合

      福井県立大学海洋生物資源臨海研究センター

      株式会社 伝食

      敦賀市漁村青壮年研究会

  • 敦賀に生息するアカアマダイってどんな魚?

福井県敦賀市は「日本書紀」に、「角(つぬ)鹿(が)(敦賀)の塩は天皇が食されていた」と記述も残る、海の恩恵を受けて発展を遂げた県南部最大の港町です。敦賀市に面する若狭湾沖は、暖流と寒流がぶつかる好漁場。年間を通じ様々な魚が水揚げされます。そんな敦賀市には、自慢のブランド魚「若狭ぐじ」があります。今回調査するのは「若狭ぐじ」である「アカアマダイ」。かつて朝廷にも献上され、現在も高級料亭などに卸される最高級食材ですが、今そのアマダイの漁獲量が減っています。今回は関係機関の協力のもと、アマダイの生態や敦賀の海で今起こっている問題を調査し、これからもおいしく安定的にアマダイをいただくためにどうしていくべきかを考えます。

最初に教えてくれたのは、若狭ぐじのブランド立ち上げや普及に尽力されている福井県嶺南振興局林業水産課の中嶋さんです。アマダイの語源は、身肉に甘みがあることから「甘鯛」。または、横から見ると頭巾をかぶった尼僧に似ているから「尼鯛」、「ぐじ」は角ばった頭の形から「屈頭魚」(ぐずな)と呼ばれ、それがなまってぐじと呼ばれたことや、冷たい海水を好むアマダイが、温暖化の影響を受けているといった海を取り巻く環境についても学びました。

そのあと展示を見ながら「アマダイの漁」について教えてもらいました。アマダイの延縄漁は江戸時代から伝わる「底延縄(そこはえなわ)」という若狭ぐじ用の漁法で、1本の縄にたくさんの針を付け、引き上げる漁です。実際に延縄を手に取り、興味が膨らんだ隊員からは「一回の漁でどれくらい獲れるの?」「アマダイがたくさんいる場所はどうやってわかるの?」といったたくさんの質問が出ていました。講師の漁師さんは「アマダイを釣るには長年の経験が必要。それでもまったく獲れない日もある」とアマダイの貴重さと漁の難しさを伝えていました。

  • 敦賀水産卸売市場でアマダイ・鮮魚調査

アマダイの生態や漁について学んだ隊員たち。次は県内でも最大級の海産物取扱高を誇る敦賀水産卸売市場を見学。市場の競りは時間が早く入ることはできませんでしたが、カメラマンが事前撮影した今朝とれたアマダイの映像にみんな大興奮。市場の生け簀に案内してもらい地元で獲れたカレイや真鯛などさまざまな鮮魚を見せてもらった後、アマダイを実際に触って詳細のスケッチをしていきます。アマダイをこんなにじっくり観察するのは初めての体験です。黄色の縦しまが数本入る尾びれが特徴的で、その美しさに隊員から感嘆の声があがり、みんな熱心にスケッチをしていました。

  • アマダイの体の中をのぞいてみよう!

お昼にアマダイの焼き物を食べ、福井県水産試験場に会場を移して午後の部がスタート。巣穴に住んでいるアマダイの貴重なビデオなどを見ながら、福井県立大学海洋生物資源学部の富永先生より、アマダイの生態について教えていただきました。「アマダイについてもっと知ろう!」ということで、隊員はアマダイの解剖にも挑戦。先生の指導のもとアマダイのお腹にはさみを入れていきます。初めての体験に隊員たちはドキドキ。怖がる子もいるかと予想していましたが、当日は「やってみたい」という声であふれ、子どもたちは積極的に体の中を調べていました。

  • 海底をたがやすってどういうこと?

2日目のスタートは市場で、敦賀市漁業協同組合の漁師・川端将史さんから、海底耕うん機の取り組みについて教えてもらいました。大きな歯車のついた海底耕うん機を海の中におろし、しばらく船で引いて海底の土を耕した後、また引き上げます。すると、たくさんの海藻やごみなどが引っかかり、それを外してキレイに元に戻します。漁と違って、とても地道で大変な作業ですが、なぜこういったことをするのでしょうか?市場の船着場の近くに移動して、海底耕うん機を実際に見てみることに。使い込まれた鉄製の大きな歯車で、海底の環境が少しでも良くなるようにとたがやしています。年々漁獲量が減少しているアマダイなどの漁場は、近年大型のタンカーが多く来るようになり、水中の循環が悪くなっているそうです。そのため、海底耕うん機によって水中の酸素や潮の流れを良くして、環境改善に努めています。このような、漁協さんの地道な取り組みにより、私たちはアマダイを食べることができることを知りました。

  • 『アマダイ』のさばき・干物づくり体験

この秋、港町敦賀アマダイ調査隊は、2日間の学びの成果や敦賀の海のすばらしさを全国に発信するために、株式会社伝食さんのご協力のもと、アマダイを使った商品を作ります。商品は「あまだいの干物」を予定。2日目は、商品作りに向けてのワークショップです。

まずは、アマダイの干物の味や作り方を知る必要があるので、実際にアマダイを自分でさばく調理体験をしました。うろこ落としまでは簡単にできたものの、アマダイの堅い表面や、柔らかい身にみんな四苦八苦。伝食さんのサポートを受けながら、なんとかみんなでさばくことができました。さばく行程や大変さを知って、調理をする人への感謝の気持ちや技術のすごさを学んだ隊員たち。自分でさばいたからこその達成感や特別感はひとしおです。焼きあがったムニエルや干物を食べた隊員からは「あまくて美味しい!」「この味を早くみんなに届けたい」といった声があがっていました。

隊員たちにはパッケージデザインやタイトルを考える大事なミッションが残されています。この美味しさを全国に届けられるよう、調査隊は今後も取り組んでいきます。

  • 敦賀市役所で学びの発表会

2日間にわたり、敦賀市の海を調査した子どもたち。「これからもアマダイやたくさんの魚が生きやすい豊かな海を守るために私たちができることは何だろう?」美しく豊かな敦賀の海を守るために取り組んでいきたいアクションをみんなで考えました。「敦賀の海についてもっと知る、伝える」「敦賀でとれた魚をおすすめする」「ごみを減らすなど魚が過ごしやすい環境づくりをする」など、一人ひとりができることをアマダイ型のシールに書き込み、敦賀湾が描かれたボードに貼り付けていく隊員たち。その成果をまとめ、敦賀市長と教育委員長をお招きし発表、みんなで制作した『港町敦賀アマダイパネル』を市長に贈呈しました。市長の前で発表する機会というものは、なかなかあるものではありません。隊員たちは緊張しながらも、しっかり自分の言葉で伝えることができていました。発表を受け、敦賀市長からは「これからも誇りを持って、敦賀は良いところだなと思って過ごしてほしい」、また、教育委員長からは「将来、皆さんがふるさと敦賀のために活躍してくれることを期待しています」とのお言葉をいただきました。最後に、2日間の学びをきっかけにこれからも、敦賀のきれいな海を守り、伝えていけるよう取り組んでいくことをみんなで誓い合いました。

  • 参加者からの声

・若狭ぐじの漁獲量が減っていることや、アマダイが海底に住んでいることがわかった。

・敦賀湾の歴史や、環境などいろいろなことを学ぶことができた。

・海には色々な問題があり、これからはごみを拾ったり自分ができることからやっていきたい。

<団体概要>

団体名称:一般社団法人福井環境研究開発

URL:https://fukui.uminohi.jp/

活動内容:北は東尋坊にみる奇岩断崖が続く越前海岸、南は優美なリアス式海岸の若狭湾と変化に富んだ福井県の海は、北前船などの海上交通の要衝として古くから栄えてきました。また、寒流と暖流が交わる福井県沖は越前がにや若狭ガレイなど海産物の宝庫。(一社)福井環境研究開発では、海に親しみ、大切にする心を育てる運動を進めています。

日本財団「海と日本プロジェクト」

さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。

海と日本PROJECT【日本財団】
日本全国の海に関する様々な情報を日本財団「海と日本PROJECT」がお届けします。おでかけにぴったりなイベント情報や、海の現状を知る最新調査報告など、海を知って、海を思い、海に集うための情報が満載です。

タイトルとURLをコピーしました