人材戦略に基づいた人的資本開示ができている企業は1割未満。約7割の企業は、リスキリングの成果を測る「明確な評価基準がない」。

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株式会社4COLORS(本社:神奈川県横浜市、以下4COLORS)は「上場および非上場企業の人事責任者・担当者」に対して、「人的資本開示とリスキリングの実施状況」に関する実態調査を実施いたしました。

調査結果の3D動画:https://www.pip-maker.com/?view=b4zz

■調査背景

2023年3月期の有価証券報告書から、「人的資本」の戦略や指標の開示が義務化され、企業は人材をコストではなく、資本として捉えることが求められています。また、ChatGPTなどの生成AI技術の進化により、デジタル人材育成やリスキリングがますます重要になっており、企業は人材戦略に基づく取り組みが不可欠です。

そこで、企業の教育体制や人的資本の取り組み強化を目指して、人事担当者を対象とした「人的資本開示とリスキリングの実施状況」に関する実態調査を行いました。


■調査結果の要約

  1. 人的資本開示に際して、「人材戦略に基づいた指標の設定」ができている企業は8%。また、理想の開示項目に必要なデータの取得もしくは、可視化ができていない企業が82%。

  2. 「人材育成に関する開示事項」において開示を検討している項目では、1位「研修プログラムの種類・対象等(31%)」2位「リスキリングや教育環境(26%)」、「研修時間(26%)」。

  3. リスキリングの成果を測る「明確な評価基準がない」企業が67%。活用されている成果指標は、1位「DX人材の輩出数(12%)」、2位「新しい職務や職種にキャリアチェンジした社員の数(11%)」、3位「社内に提供できるスキル講座数や講座内容のバリエーション(11%)」。

  4. リスキリングに「取り組んでおらず、実施予定もない」企業が40%。一方で、ニーズのある実施内容は、1位「eラーニングやオンライン学習サービスの導入(60%)」、2位「従業員のデジタルスキルの把握・可視化(45%)」、3位「新しいデジタルツールの学習(39%)」

  5. コロナ禍以前と比べて「教育・研修における動画活用」が増えた企業が55%。動画活用のメリットは、1位「講義内容が均一であり、一定の質が担保される(51%)」、2位「一度作ってしまえば講師のコストや工数がかからない(44%)」「繰り返し見て覚えられる(44%)」

■調査結果

  • ①人的資本開示に際して、「人材戦略に基づいた指標の設定」ができている企業は8%。また、理想の開示項目に必要なデータの取得もしくは、可視化ができていない企業が82%。

企業全体のうち、人材戦略に基づいた指標の「設定ができていない」企業が42%となり、そもそも「明確な人材戦略がない」企業が19%となりました。また、人材戦略に基づいた指標の「設定ができている」企業は8%に留まっています。

企業規模別では、そもそも「明確な人材戦略がない」300名以下の企業は、1001名以上の企業(7%)の約4.9倍である34%となっています。また、人材戦略に基づいた指標の「設定ができている」1001名以上の企業が15%に対して、301〜1000名の企業は4%、300名以下の企業は5%となりました。

企業全体のうち、「人的資本開示」において、自社が理想とする開示項目に必要なデータの「取得ができていない」企業は53%となり、データの「取得はできているが、可視化できていない」企業は29%となりました。一方で、データの「取得/可視化ができている」企業は9%に留まっています。

企業規模別では、データの「取得/可視化ができている」1001名以上の企業は、301~1000名の企業(4%)と300名以下の企業(4%)と比べて約4.7倍の19%となっていますが、「データの取得はできているが、可視化できていない」1001名以上の企業は39%となっています。


  • ②「人材育成に関する開示事項」において開示を検討している項目では、1位「研修プログラムの種類・対象等(31%)」2位「リスキリングや教育環境(26%)」、「研修時間(26%)」。

企業全体のうち、「人材育成に関連する開示事項」で最も開示を検討している項目は「研修プログラムの種類/対象など」で31%、次いで「リスキリングや教育環境」と「研修時間」がそれぞれ26%となりました。

企業規模別では、1001名以上の企業は「リスキリングや教育環境」が最も多く39%、次いで「研修プログラムの種類/対象など」が33%、「研修時間」が31%となりました。


  • ③リスキリングの成果を測る「明確な評価基準がない」企業が67%。活用されている成果指標は、1位「DX人材の輩出数(12%)」、2位「新しい職務や職種にキャリアチェンジした社員の数(11%)」、3位「社内に提供できるスキル講座数や講座内容のバリエーション(11%)」。

企業全体では、67%がリスキリングの成果に「明確な評価基準がない」ことが明らかとなりました。また、成果指標として最も多く挙げられたのは「DX人材の輩出数」で12%、次いで「新しい職務や職種にキャリアチェンジした社員数」が11%、「社内に提供できるスキル講座数や講座内容のバリエーション」が11%となりました。

企業規模別に見ると、「明確な評価基準がない」と回答した割合は、300名以下の企業が最も多く72%となり、次いで301〜1000名の企業が71%、そして1001名以上の企業が57%となりました。

企業全体では、41%の企業が社員の現状のスキルや業務内容を「把握していない」ことが明らかになりました。一方で、「スキル管理ツールやスキルマップを活用して把握している」企業は21%、「組織サーベイやタレントマネジメントシステムを活用して把握している」企業は27%となっています。

企業規模別に見ると、企業が社員の現状のスキルや業務内容を「把握していない」1001名以上の企業は24%である一方で、300名以下の企業では約2.3倍の55%となりました。

  • ④リスキリングに「取り組んでおらず、実施予定もない」企業が40%。一方で、ニーズのある実施内容は、1位「eラーニング、オンライン学習サービスの導入(60%)」、2位「従業員のデジタルスキルの把握・可視化(45%)」、3位「新しいデジタルツールの学習(39%)」

企業全体では、「リスキリング」に取り組んでいる企業は19%に留まり、40%の企業が「取り組んでおらず予定もない」ことが明らかになりました。また、31%の企業は「取り組んでいないが検討をしている」と回答しました。

企業規模別に見ると、301~1000名の企業と300名以下の企業で「リスキリング」に「取り組んでいる」のは、わずか10%となり、1001名以上の企業でも36%に留まりました。また、「取り組んでおらず予定もない」企業は、1001名以上の企業で19%、301~1000名の企業で50%、300名以下の企業では52%となっています。

企業全体では、「リスキリング」の取り組みとして最も多く実施、及び今後取り組みたいとされているのが、「eラーニング、オンライン学習サービスの導入」で60%となりました。次いで、「従業員のデジタルスキルの把握・可視化」が45%、「新しいデジタルツールの学習」が39%となっています。

企業規模別の比較では、大きな相違はありませんでしたが、1001名以上では「eラーニング、オンライン学習サービスの導入」に続いて「DX・デジタル化に関連する資格取得の推進や支援」が2番目に多く48%となりました。


  • ⑤コロナ禍以前と比べて「教育・研修における動画活用」が増えた企業が55%。動画活用のメリットは、1位「講義内容が均一であり、一定の質が担保される(51%)」、2位「一度作ってしまえば講師のコストや工数がかからない(44%)」「繰り返し見て覚えられる(44%)」

企業全体では、55%が教育や研修で新型コロナウィルスの流行以前よりも動画を活用していることが明らかとなりました。また、そのうち「大幅に増えて、動画での教育・研修がメインになっている」と回答した企業が12%、「以前より増え、内容に応じて動画を活用している」と回答した企業は43%となっています。

企業規模別に見ると、「大幅に増えて、動画での教育・研修がメインになっている」と回答した300名以下の企業は7%に留まりました。一方で、1001名以上の企業では約3.4倍となる22%であることが明らかとなっています。

企業全体では、動画を活用した教育・研修プログラムの良い点として、「講義内容が均一であり、一定の質が担保される」が51%と最も高く、次いで「一度作ってしまえば講師のコストや工数がかからない」が44%、「繰り返し見て覚えられる」も44%となりました。また、企業規模別においては、企業規模毎の大きな相違は見られませんでした。


■総括 

今回の調査では、小規模な企業に比べ、大規模な企業ほど人材教育に関する「人的資本開示」や「リスキリング」を活発に実施している一方で、全体的に依然として模索段階にある様子が伺える結果となりました。

特に、人的資本開示においては自社独自の人材戦略に基づいた指標の設定が理想とされている一方で、そもそも人材戦略が固まっていない現状が明らかになりました。また、全体的に「人材育成に関するデータの取得及び可視化」に課題が残り、今後いかに人材戦略の策定とデータ整備の2つを実施していくかが重要になると考えられます。

リスキリングの実施においては、「eラーニングやオンライン学習サービスの導入」の需要が高まっている一方で、「定量的な成果の定義化」に課題が残りました。今後は、動画学習などのオンライン研修とオフライン研修を組み合わせながら、どのように教育効果を定点観測していくかが一つのキーポイントになるのではないでしょうか。


■調査概要

・調査実施期間:2023/3/17〜2023/3/30

・調査対象:上場および非上場企業の人事責任者・担当者

・有効回答数:198件(1001名以上の企業:67件、301~1000名の企業:48件、300名以下:83件)

・調査方法:インターネット上でのアンケート調査

■事業概要:『PIP-Maker』(ピーアイピーメイカー)

「PIP-Maker」は、パワーポイントから最短5分でアバター・音声付きeラーニング動画を制作でき、習熟度アップ、作業時間の短縮、コスト削減が簡単に実現可能な月額クラウドサービスです。

新型コロナウィルス対応によるテレワークと同様に、オンライン研修での利用、従業員が行っている商品説明の統一化、Webセミナー等、多数の企業様で導入いただいております。

https://www.pip-maker.com/

イメージ動画はこちら:https://www.pip-maker.com/?view=5sbv

■会社概要:株式会社4COLORS

4COLORSは、この世に溢れる情報を、最も簡単に・分かりやすく人から人へ伝達することを目指し、2006年10月に設立されました。当社では、パワーポイントで作成したファイルをアップロードするだけで、撮影・録音不要で、簡単かつ短時間でアバター動画の制作を可能にする動画制作ツール『PIP-Maker』や、非対面営業を実現する、営業支援3D動画作成ツール『PIPセールステック』をはじめ、PIP-Maker/PIPセールステックの技術をベースとした各種情報伝達ソリューションの開発・販売・技術サポートサービスをご提供しています。現在では、大手企業600社以上のお客様に導入いただいています。

●社名:株式会社4COLORS

●設立日: 2006年10月31日

●代表者: 代表取締役社長 加山緑郎

●所在地: 〒221-0835 神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-23-2 TSプラザビルディング 13階

●URL:https://www.4colors.jp/

●事業内容:アバターサービス事業PIP-Maker開発。パワーポイントを使って撮影・録音不要で動画コンテンツを作成出来るシステムの開発・ライセンス販売・技術サポートの提供。


【本件に関するお問い合わせ先】
広報:飯田 / E-mail:press@4colors.jp

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