- 未来食材・大豆ミートが“定着・拡大”へ
米国を中心にタンパク質クライシスに備えた動きやライフスタイルの転換によりプラントベース市場は拡大基調にあり、その市場規模は2030年には1,619億ドルにまで拡大するとの予測も出ています。国内においても先の東京オリンピック開催を契機に代替肉市場は拡大すると食品メーカーを中心に商品開発が活発化しましたが、コロナ禍によってインバウンドの流動が止まってしまい、代替肉に関する動きもやや減速傾向となっていました。しかし、徐々に国内においても代替肉の動きは活性化し、22年度には国内大豆ミート市場は25億円、さらに25年度には40億円まで拡大するとみられています。
業界を牽引するメーカーの一つである不二製油では植物性油脂、業務用チョコレートに次ぐ柱としてプラントベースフードで30年度には売上高1,000億円を計画し、商品開発を活発化させています。大豆を原料とする味噌メーカーのマルコメやひかり味噌のほか、食肉大手のメーカーではプリマハムや日本ハム、スターゼンなど、錚々たるメーカーが“未来市場”として着目し、商品開発を加速・活発化させています。大手メーカーの参入が相次ぐ一方で、独自技術で商品開発を行っているベンチャー企業も多数、市場参入しており、新たな食品ジャンルとしてプラントベース市場は国内においても確立されつつあります。
大豆ミートについてはメーカーだけでなくスーパーでの取り扱いも拡大してきています。当初は配架しても商品回転が悪く、なかなか売り場に定着してきませんでしたが、1)商品数が徐々に拡大してきたこと、2)技術革新が進み、再現性がより高まったこと、3)コロナ禍による健康意識の転換―などを受けて都心部を中心に商品回転が上昇し、売り場としても定番化の動きが進んでいます。
参入メーカーの拡大は提供価格の低下につながり、業務用市場においてもプラントベース市場の存在感は増す一方です。専門店を展開するコメダホールディングスや積極的なメニュー投下を続けるドトールコーヒーなど、カフェチェーンを中心に、ファミリーレストラン、ディナーレストラン、カレーチェーンなど、大豆ミートを採用する外食チェーンが拡大し続けており、メニューにも広がりが出てきました。
新素材である大豆ミートは肉の代替にとどまらず、ツナやエビなど、多様な素材の代替品としての活用が見込まれています。とは言え、まだまだ市場の認知は低く拡大余地の大きい市場と言えます。
高タンパクでありながらヘルシーである大豆ミートは健康意識の高い層にも支持される要素があります。また、付加価値型の素材で価格弾力性もある点もメーカー、リテールにとって期待できる製品であると言えます。さまざまな食材が高騰していく中で、大豆ミートは食の世界を新たに切り開いていく新食材として、今後、さらに注目されることは間違いないなさそうです。
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