岡山の小学生が「ばらずし」を通して海が育む「おいしい」を知る 『おかやま海のごちそう守り隊』を開催

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海と日本プロジェクトin岡山実行委員会は、7月28日(木)・29日(金)に、岡山の郷土料理『ばらずし』の具となる海の幸をきっかけに、アマモ場再生活動や栽培漁業など、海の幸を守っていくための取り組みについて学び、「過去」の失敗、「今」の取り組み、そして「未来」に残すために必要なことについて学び、考えるイベント「~『ばらずし』を彩る海の幸を未来に残す~ おかやま海のごちそう守り隊」を開催いたしました。このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

 

  • イベント概要

・開催概要:岡山県備前市、瀬戸内市を舞台に一泊二日の日程で実施しました。アナゴ、サワラ、ママカリ、タコ、エビなど、岡山の海の幸をぜいたくに使った郷土料理の『ばらずし』を通して、漁獲量の変化や漁獲量が減っている原因を知り、また、アマモの再生活動や栽培漁業等の取り組みについて学ぶことで、豊かな岡山の海や海の幸を未来に残していくために必要なことは何なのかを考え発信することを目的としたイベントです。なお、8月には今回のイベントのアウトプットとして、オリジナルイベントばらずし弁当の商品開発を実施する予定です。
・日程  :7月28日(木)9:30~7月29日(金)15:00
・開催場所:岡山県備前市、瀬戸内市
・参加人数:県内の小学5-6年生 20名
 

  • 「ばらずし」を通して岡山の海の現状を学び、豊かな岡山の海を楽しむ

1日目に備前市の「ひなせうみラボ」に集合した子どもたちには、イベントの導入として実際に「ばらずし」を食べていただきました。講師として備前観光協会の船橋事務局長に登壇していただき、岡山の郷土料理の「ばらずし」の由来やどんな魚介類が入っているかなどについて学び、その一方で、具材に含まれている魚介類の中には様々な理由から漁獲量が減っている現状について学びました。子どもたちはそれぞれがばらずしの実食を通して「もしこの海の幸が獲れなくなったらばらずしはどうなるんだろう…」という問題意識を抱いたと共に、「美味しいばらずし」を未来に残したいという思いが芽生えたようでした。

その後、場所を海に移し、海のアクティビティのシーカヤック体験を行いました。晴天の中、美しい海の上を仲間たちと海上散歩を楽しんでいただき、海の楽しさに触れ、海への親しみを抱かせることで、子どもたちの“海ごころ”の育成を図りました。出発前は少し緊張した面持ちだった子どもたちでしたが、戻ってくる頃には、「海の水がきれい」「魚をたくさん見つけた」「海の上のほうが風が気持ちいいからもう1回行く」と賑やかな声が聞かれました。子どもたちが海を純粋に楽しむと同時に、「ばらずし」に含まれる様々な魚介類は、この美しく豊かな岡山の海が育んでいるのだということを改めて実感していたようでした。

 

 

  • 豊かな海を取り戻す「アマモ場の再生活動」の取り組みについて学ぶ

シーカヤックで海を楽しんだ後は、海のゆりかごと呼ばれる「アマモ場」について学習しました。講師には備前市の今ある資源を活かし、持続可能なまちづくりを推進する活動を行う一般財団法人みんなでびぜんの川股忠正さんに登壇していただき、魚を守る取り組みとして実施しているアマモ場再生活動について教えていただきました。子どもたちは座学のあと、実際に漁船に乗って日生町が再生活動に取り組むアマモ場を観察しました。講師には、アマモ場の大幅な消失などの過去の失敗例も教えていただき、今までに人がしてきた過ちによる環境変化とその影響について知り、その反省を活かして実施している現在の取り組みやその成果などを学びました。

子どもたちは、船の下に広がるアマモ場を実際に目の当たりにし、みんな一生懸命に魚を探していました。「すごく減ったアマモの量がこんなに回復していることがすごい」や「同じ失敗を繰り返さないようにアマモの大切さを伝えていきたい」などの声が聞かれました。それぞれがこの体験学習を通して、生き物の住みかであり、餌場であり、隠れ場であり、産卵場であるアマモ場の多様な役割を学ぶと同時に、岡山の魚介類はこれからの取り組み次第で取り戻せるものだと認識してもらえたようでした。

 

  • つくり育てる漁業「栽培漁業」について学ぶ

イベントの後半では、参加者全員で海岸を散策し、海岸に捨てられているごみ拾いを行いました。美しい海を未来に残していくためには、海洋ごみゼロを目指して一人ひとりが行動を変えることの大切さを学んでいただきました。
その後、場所を岡山県農林水産総合センター水産研究所に移し、つくり育てる漁業「栽培漁業」について学びました。講師には農林水産総合センター水産研究所林副所長に登壇していただき、まずは水産研究所を見学し、エビの種苗飼育、オニオコゼの中間育成観察、種苗のエサ飼育などを実際に巨大な水槽を間近で観察しました。なぜ「栽培漁業」がおこなわれるようになったか、養殖ではなく栽培漁業である理由、今後の取り組み等について学びました。子どもたちは、魚を獲りすぎた過去の失敗とその影響を知り、また、「養殖」ではなくつくり育てる「栽培漁業」という取り組みとその考え方について学んでいただきました。

 

  • 岡山の漁業や漁協の仕事について学ぶ

最後の学習は、場所を牛窓町漁協に移し、岡山県水産課の担当者に解説をしていただきながら、岡山の漁業について学びました。また、「ばらずし」の具材はどんな漁法で獲られているか、また、旬はいつなのかについても知り、理解を深めました。その後、漁師が獲った魚のいる生け簀を見学しました。子どもたちはどのような魚が収穫されているのか、どれくらいの量が収穫されているのか、働く人たちはどのような仕事をしているのかなどを実際の漁業で使用する道具や生け簀の魚を目の前で観察しながら学びました。子どもたちは、少し前まで海にいて、実際に販売される生け簀の魚を観察し、「ばらずし」に使われる魚介類「マダコ」の大きさや、岡山を代表する魚「ママカリ(サッパ)」を興味深く見学している様子でした。

 

  • 8月にはオリジナル「ばらずし弁当」商品販売を予定

2日間様々な学習や体験を通して岡山の海について学んだ子どもたちは、8月23日に再び集合し、学んだことや伝えたいことを学習ノートにまとめて発表する「まとめ学習」を行います。そして、学びの集大成としてばらずし弁当販売店 岡山藤田おにぎり茶屋とコラボし、市民の方や観光客の方に召し上がっていただけるオリジナル「ばらずし弁当」の販売に向けて、商品パッケージに仕様するデザイン作成などに取り組む予定です。

<団体概要>
団体名称 :海と日本プロジェクトin岡山実行委員会
URL :https://okayama.uminohi.jp/
活動内容:『海と日本PROJECT in 岡山』では、美しい岡山の海を次世代につなぐことを目的に、海についての理解を深めるイベントや、海に造詣が深いキーマンのメッセージなどをRSKのテレビ・ラジオ番組で紹介するほか、独自のイベントを企画・運営し、「岡山の海」の魅力を広く県民に発信していきます。

日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/

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