なお、酪農におけるアミノ酸を活用したJ-クレジット制度のプロジェクトは日本初(当社調べ)となります。
※1)Greenhouse Gasの略
※2)CO2などのGHG排出削減量や吸収量を売買可能な「クレジット」として国が認証する制度。
※3)出典:『持続可能な酪農―SDGsへの貢献―』(著者:木村純子・中村丁次 企画編集:一般社団法人Jミルク2022)
このような環境において、当社は明治グループとの協業を通じて、J-クレジット制度を活用したビジネスモデルを構築します。本ビジネスモデルでは、当社の乳牛用アミノ酸リジン製剤「AjiPro®-L」を用いGHG排出量を削減します。本製品は、当社独自の製造技術により、通常では牛の小腸まで届きにくいアミノ酸を体内に効果的に栄養として届けます。一般的に飼料として使用される大豆粕は高たんぱくながら高コストで余分なアミノ酸も多く含みますが、本製品を使用することで大豆粕などの飼料を減らしながら、不足するアミノ酸を補いバランスを整えることができます。その結果、乳量を維持しながら飼料コストを削減すると同時に、糞尿から発生する余剰な窒素を削減し、N2Oを削減することが可能となります。
J-クレジット制度を活用するため、当社はJ-クレジット認証委員会に「乳牛へのアミノ酸バランス改善飼料の給餌プロジェクト」の登録申請を行い、3月15日に承認されました。今後は削減GHG排出量のモニタリングおよびクレジット化などのプロジェクトの運営を実施します。
本プロジェクトは、明治グループと提携する北海道の農場で開始します。本ビジネスモデルでは、当社が取得したクレジットを明治グループが購入し、購入したクレジット代金は酪農家へ支払われ、今後の酪農家の新たな収入源になります。また明治グループが購入したクレジットは明治グループのGHG排出量のオフセットに活用することで酪農業界全体のGHG削減に寄与することができます。
今後は、明治グループと提携する農場を中心に参加する酪農家を募り、取り組みの拡大を図っていきます。加えて「AjiPro®-L」の使用により削減した費用の、CH4削減製剤の購入への充当等、新たなGHG削減策を農家のコスト負担を増やさず導入し、より大きなGHG削減を目指します。また、乳牛だけでなく肉牛での展開、そして海外での展開も検討していきます。
当社は、明治グループとの本取り組みの協業を通じて地球環境の負荷削減と経済価値の創出を両立しながら、当社が目指す食資源の持続可能性と、明治グループが目指す乳業のサステナビリティを実現します。
参考
■ 株式会社 明治の概要
(1)社名:株式会社 明治
(2)所在地:東京都中央区
(3)設立時期:1917年12月
(4)代表者:代表取締役社長 松田 克也
(5)事業内容:牛乳・乳製品、菓子、食品の製造販売等
(6)連結従業員数:10,464名(2022年3月期)
(7)WEBサイト:https://www.meiji.co.jp/
本件についての株式会社 明治のプレスリリース
2023年3月27日付
明治グループと味の素㈱が持続可能な酪農業の実現に向けた協業を開始
https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2023/0327_02/index.html
■「AjiPro®-L」について
当社が2011年より販売している乳牛用リジン製剤です。通常、牛の第一胃で必須アミノ酸のひとつであるリジンは分解されてしまい栄養として活用することが難しいところ、当社独自の製造技術によってリジンを栄養として利用可能な小腸まで効率良く届けることができます。確かな科学的知見に裏付けられた乳生産性の向上と飼料効率の改善をもたらす本製品は、乳牛用リジン製剤ナンバーワンシェア(当社調べ)を持ち世界中で使用されています。
「AjiPro®-L」製品紹介:http://www.ahs.ajinomoto.com/products/feed/ajipro-L.html