なお、全業種の新入社員の意識調査結果(速報値版)は4月22日に公表済みです。
詳細は https://www.learningagency.co.jp/topics/20220422 をご覧ください。
背景
2022年入社の新入社員はZ世代とも呼ばれ、物心ついたときからすでにデジタル技術が発達している社会で育ってきました。さらに今年の新入社員は新型コロナウイルス感染症の影響により、学生時代の後半はオンライン授業やWEB会議ツールを用いたゼミなど、コミュニケーションの大部分をオンラインで行いました。社会では働き方改革やワークライフバランスといったプライベートと仕事のバランスを見直す動きもあり、転職や副業など、一つの会社だけにとどまらないキャリア形成を見聞きする機会も多くありました。このような今年のZ世代新入社員は、仕事に対してどのような価値観をもっているのでしょうか。今回は、特に情報通信業の新入社員の価値観について実態調査を行いました。
調査結果の概要
1. 「自身の成長につながる仕事がしたい」「仕事を通して自分を成長させたい」と回答した割合が6割超える。成長意欲の高さ目立つ
2. スキルアップのために何かしら取り組んでいる割合が他業種よりも高い。身につけたいスキルは多岐にわたり、習得への意欲が高い傾向
3. 理想の上司には他業種よりも「専門力の高さ」を求める傾向あり。会社にはセミナーや勉強会の機会提供を求める
4. 今の会社で働き続けたい割合、他業種よりも10ポイント以上低く、5割強。長く働き続ける条件に「仕事を通じて成長できる」環境を求める
調査結果の詳細
1.「自身の成長につながる仕事がしたい」「仕事を通して自分を成長させたい」と回答した割合が6割超える。成長意欲の高さ目立つ
まずは情報通信業の企業に入社した新入社員の仕事への意識について見ていきます。
「今後どのような仕事をしていきたいですか」という設問に複数回答で答えてもらったところ、最多となったのは「楽しくてやりがいのある仕事(69.3%)」、2位は「自身の成長につながる仕事(60.1%)」、3位は「楽しく取り組める仕事(39.3%)」でした。いずれも、情報通信業を除く全業種(以下、他業種と記載)と同じ順位になりましたが、「楽しくてやりがいのある仕事」「楽しく取り組める仕事」は、他業種よりもそれぞれ5.4ポイント、2.8ポイント低く、逆に「自身の成長につながる仕事」は7.0ポイント高い結果となりました。「自分のペースでやり切れる仕事(39.2%)」「専門的なスキル・知識が求められる仕事(39.0%)」の割合も他業種と比較すると高く、10ポイント近く差がつく結果となりました。(図1)
「仕事を通して成し遂げたいこと」について尋ねる質問では、情報通信業の新入社員は「自分を成長させたい」を選んだ割合が最多の66.0%で、他業種よりも7.4ポイント高い結果に。他業種では「安定した生活を送りたい(63.1%)」が1位、「自分を成長させたい(58.6%)」は2位で、順位が入れ替わる結果となりました。(図2)
2022年の新入社員全体の傾向としては「楽しくてやりがいのある仕事」を求める割合が最も高かったものの、情報通信業の新入社員は、「自身の成長につながる仕事」を求める割合も高く、自分の成長を重視する傾向が見られました。
2.スキルアップのために何かしら取り組んでいる割合が他業種よりも高い。身につけたいスキルは多岐にわたり、習得への意欲が高い傾向
次に、社会人としてスキルアップするために既に取り組んでいることはあるかを複数回答で尋ねたところ、情報通信業の新入社員は「インターネット等で提供されるサービスを使って勉強をしている(37.6%)」を選んだ割合が圧倒的に多く、他業種と16.8ポイントもの差になりました。続いて「ビジネス本を読んでいる(26.0%)」「スマートフォン・タブレット上で学習アプリを使って勉強をしている(26.0%)」が同率、それぞれ他業種より5.9ポイント、3.1ポイント高い結果となりました。一方、他業種で1位となった「特に何もしていない(29.7%)」は情報通信業では6.4ポイント低く、4位でした。(図3)
続いて、社会人1年目で身につけたいスキルは何かを複数回答で尋ねたところ、他業種の新入社員と同じく1位「ビジネスマナー(67.5%)」、2位「専門スキル(技術・営業・会計・人事等)(47.8%)」、3位「パソコンスキル(44.7%)」でした。順位は同じものの、専門スキルとパソコンスキルについては他業種よりも10ポイント以上高くなりました。その他「論理的思考力(36.5%)」「プレゼンテーション力(32.4%)」「ビジネスライティング力(12.8%)」なども5.6ポイント、4.3ポイント、2.7ポイント他業種よりも高い結果となり、様々なスキルを求めていることがわかりました。(図4)
3.理想の上司には他業種よりも「専門力の高さ」を求める傾向あり。会社にはセミナーや勉強会の機会提供を求める
「自分のキャリアアップにつながる理想の上司はどんな上司ですか」という設問に2つ以内の複数回答で答えてもらったところ、1位は他業種と同じく「優しく指導をする上司(53.7%)」だったものの、2位は「専門力の高い上司(42.2%)」で他業種より11.0ポイントも高い結果となりました。(図5)
キャリア形成支援について会社に期待することは何か尋ねた質問においては、「上司に相談できる機会をつくってほしい(50.3%)」が他業種同様最多となりましたが、2位3位は入れ替わり、「キャリア形成についてのセミナーや勉強会などを開催してほしい(40.8%)」が7.9ポイントの差をつけ2位、「上司以外の社員に相談できる機会をつくってほしい(34.5%)」が3位に入りました。(図6)
4.今の会社で働き続けたい割合、他業種よりも10ポイント以上低く、5割強。長く働き続ける条件に「仕事を通じて成長できる」環境を求める
情報通信業の新入社員を他業種と比較すると、転職意向においても大きな特徴が見られます。
「今の会社で働き続けたいですか」という設問には、業種に関わらず過半数が「できれば今の会社で働き続けたい」と答えました。しかし、情報通信業では他業種よりも10.2ポイント低い52.6%にとどまっています。一方、「そのうち転職したい」は19.9%、「フリーランスとして独立したい」は4.1%で、それぞれ他業種より6.3ポイント、1.7ポイント高い結果となりました。(図7)
では、どのような状況であれば今の会社で働き続けたいと思うのでしょうか。上位を占める回答は、他業種と同じ
く1位「職場の人間関係が良い(63.3%)」、2位「高い給与・賞与をもらえる(55.0%)」、3位「仕事を通じて成長できる(44.6%)」でした。「仕事を通じて成長できる」は3位ではあるものの、他業種よりも5.9ポイント高い結果となりました。(図8)
まとめ
近年、企業のDX化が加速し、求人倍率も急上昇するなど、IT人材の需要が急速に高まっています。一方、経済産業省の発表では2030年に最大79万人のIT人材が不足すると言われているように、IT人材の不足も大きな課題として取り沙汰されています。本調査では、そのような課題のある情報通信業に入社をしてきた2022年卒の新入社員は、働くことに対して、どのような意識を持っているのか実態調査を行いました。
調査結果より、情報通信業の新入社員は他業種に比べ、自分の成長につながる仕事がしたい、仕事を通して「自分を成長させたい」といった回答を選択する割合が高く、成長意欲が高い傾向が見られました。さらに、他業種に比べ、日頃からインターネット、スマートフォン、タブレット等を活用し、積極的にスキルアップに取り組み、会社に勉強会やセミナーの機会提供を求めるなど、学びへの意欲が高いことも特徴として挙げられます。
また、今の会社で働き続けたい情報通信業の新入社員は約半数であり、転職やフリーランス、独立など一つの会社という枠にとらわれず、自分を成長させることのできる環境下で働きたいと考える人が他業種よりも多い結果も明らかとなりました。
人材が不足する情報通信業界において、成長や学びへの意欲が高い新入社員を、いかに自社で長く働いてもらうかが、重要な課題となりそうです。長く働いてもらうためにはまず、職場内のメンバーとなんでも言い合える、助け合えるなど良好な関係性が築けるような取り組みや上司からの働きかけをベースに、社員が成長を実感できる施策や環境を会社として提供し続けることが不可欠でしょう。
PDFはこちら
https://www.learningagency.co.jp/download/all/news_20220630.pdf
調査対象者 | 当社が提供する新入社員向け研修(会場型・オンライン型)の受講者 |
調査時期 | 2022年3月31日~2022年5月13日 |
調査方法 | 自記式またはWEBでのアンケート調査 |
サンプル数 | 4,659人 <情報通信業 >1,436人 <他業種(情報通信業以外の全業種)>3,223人 |
属性 | <情報通信業 > 1,436人 (1)性別 ①男性:60.9%(875人) ②女性:37.1%(533人) ③不明:1.9%(28人) (2)所属企業の従業員数規模 ①1人~50人:9.6%(138人) ②51人~100人:20.9%(300人) ③101人~300人:38.5%(553人) ④301人以上:27.6%(396人)⑤不明:3.3%(48人) <他業種(情報通信業以外の全業種)>3,223人 |
*本調査を引用される際は【ラーニングエージェンシー「新入社員意識調査(情報通信業界編)】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
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