LIXIL国内工場の製造工程における検証の様子
政府が掲げる2050年のカーボンニュートラル実現に向けては、「e-methane(*3)」(以下「e-メタン」)による都市ガスの脱炭素化に加えて、沿岸部や都市ガスインフラがないエリア、製造工程で水素が発生する工場等における水素の直接利用等、適材適所でエネルギーを選択することが重要となります。
- 水素の直接利用に向けた課題と東京ガスの燃焼技術を活かした取り組み
水素は気体としての特性が天然ガス(メタン)と異なることから、天然ガス利用を前提とした製造工程での水素利用には多くの課題があります。東京ガスは、これまで様々な用途に対応した天然ガスバーナーを開発し、低NOx燃焼技術の特許を数多く取得する等、産業分野の燃焼技術開発を行ってきました。こうして培った燃焼技術のノウハウを活かして、水素の直接利用に向けた課題解決にも取り組んでいます。
- LIXILとの具体的な取り組み
①製造工程での水素利用に関する技術検証
東京ガスは燃焼技術のノウハウを活かして、LIXILと製造工程の水素利用に向け様々な技術検証を行っています。2022年12月7日には、LIXILの国内工場の製造設備で水素を利用したアルミ形材のエージング処理(熱処理)を行い、製品品質に影響がないことを確認しました。アルミ形材の実際の製造設備での水素を利用した検証は世界初となります。
東京ガス試験場におけるセラミック焼成水素燃焼試験の様子
②製造工程から発生する副生水素回収に関する技術検証
東京ガスとLIXILは、製造工程から発生する副生水素の回収・利用についても検証を進めています。アルミ形材を製造するLIXILの国内工場のアルマイト処理(*4)工程で、2022年8月にLIXILと共同で実施した検証試験では、発生する水素を90%以上の効率で回収することに成功しました。
今後は経済性の向上等に取り組み、回収した水素の利用も含めて、検証を進めていきます。
副生水素発生のイメージ
東京ガスはグループの事業活動全体で、お客さま先を含めて排出するCO2をネット・ゼロにすることに挑戦することを掲げています。製造業の「CO₂ネット・ゼロ」への貢献にむけて、e-メタンや水素等のカーボンニュートラルなエネルギーの普及拡大に取り組んでまいります。
*1:2022年10月時点 LIXIL調べ。
*2:出来上がったアルミ形材を炉に入れて熱処理することで、強度を高めること。
*3:グリーン水素等の非化石エネルギー源を原料として製造された合成メタンに対して用いる呼称。既存の都市ガスインフラや消費機器が活用でき、スムーズなカーボンニュートラル化への移行と追加的な社会コスト抑制の両立が可能。
*4:アルミ形材の表面を電気分解することによって、アルミ表面を酸化させ皮膜を生成させ、耐食性、耐摩耗性、耐候性を高める処理方法。