入管法改正案やウクライナ情勢などで、難民を取り上げた報道が増えています。
こうした報道により、難民への関心や理解が社会に広がってきていると感じていますが、難民は紛争や人権侵害から逃れて日本にいる人々であり、当事者の方を取り上げた場合、報道のされ方によってその方自身や関係する人に重大な被害が生じることもあります。
報道によって難民への共感が拡がることを願う一方、当事者の方々に被害が生じてはならないという思いから、メディアの皆様に留意いただきたいことをまとめたガイドブックを作成いたしました。
本ガイドブックは、日本で20年以上難民の方々を支援してきた難民支援協会の経験をもとに、有志のメディア関係者の方々や、他の支援団体にもご協力をいただき、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)による報道ガイドラインなども参考に作成しています。
日本に逃れた難民の取材や報道の際に、まず読んでいただき、参考にしていただきたいと考えています。
巻末には取材を受ける難民の方向けのチェックリスト(英訳付き)も収録しています。
<目次>
1. はじめに:難民の報道について
2.難民について、はじめに知ってほしいこと
3.報道によるリスク
4.難民の取材・報道に必要な配慮
5.用語集・参考資料
6.あとがき:難民の尊厳と安心が守られる社会を目指して
付録: 取材を受ける難民の方向けのチェックリスト(英訳付き)
本ガイドブックは、難民支援協会のウェブサイトから誰でもPDFで閲覧・ダウンロード可能です。
ぜひご覧ください。
https://refugees.jp/guidebook01
難民に関する報道に限らず、報道により被害や影響が出ることは多面的にあります。
しかし、難民には、命の危険から逃れてきた背景があること、異なる社会・文化から来た人であること、日本で適切な保護を受けられる可能性が低く先の見通しがない状況に追い込まれていることなどの特殊な事情があり、その点に鑑みて報道によるリスクを想定することが必要です。
また、難民ではなくても、人権侵害を受けている外国人の方々や、さまざまな事情により母国に帰れない方々にもこうしたリスクはあてはまります。
このガイドブックが、報道を通じて難民やこうした方々の尊厳と安心が守られる社会を実現する一助となることを願います。