7月28日(木)本日公開 第7波初頭での国内のCOVID-19の集団免疫割合の推計〜パンデミック期からエンデミック期への転換に向けて〜

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新型コロナウイルスの流行は「第7波」に入り、感染性の非常に高いオミクロン株BA.5が猛威を振るっています。感染拡大の収束時期を予測する上で、また、必要な対策を検討する上でも、国民の免疫獲得がどの程度進んでいるかを推計することは重要です。この度、東京財団政策研究所(*)では、集団免疫が現在国内においてどの程度達成されているかの推計を行い、医療・介護体制や社会経済活動をどう維持するべきかを検討し、その結果をReview(論考)として公表いたしました。
[本文はこちら] https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=4036

(*) 「ポスト・コロナ時代における持続可能かつレジリエントな医療・看護・介護システムの構築に関する研究」プログラム(渋谷健司研究主幹)における國谷紀良プログラムメンバー(神戸大学大学院システム情報学研究科准教授)を中心とする研究班

[Review概要]
1. 自然感染とワクチン接種によって国民の免疫獲得が進んでおり、現在の状況においては、感染拡大が長期に継続することは想定しにくく、一律の行動制限を課す必要性は低い。
2. 自然感染による免疫保持者の割合はオミクロン株の流行で顕著に増加し、実際に捕捉されている数の2倍以上に達し、人口の2割を優に超えている。ワクチン由来の免疫も含めた部分免疫を持つ者の割合は接種後の免疫力低下を勘案しても9割近い。
3. こうした状況を踏まえれば、現在の第7波の流行のピークは8月中であり、今後急速に収束するものと考える。
4. 第7波の流行の被害を抑える上で有効なことは、発症したハイリスク者への迅速な検査と陽性者に対する迅速な治療薬の投与に加えて、3・4回目のワクチンの未接種者に対する接種をできるだけ進めることである。
5. オミクロン株のように、非常に感染性が高いが病原性は低い変異株に対して、医療・介護体制及び社会経済活動を維持するために、迅速抗原検査の大幅な供給、現行の隔離期間の更なる短縮(特に医療介護従事者)や濃厚接触者の扱いも変更する必要がある。また、治療薬が迅速に供給される仕組みの整備が不可欠と考える。

[研究プログラム]
「ポスト・コロナ時代における持続可能かつレジリエントな医療・看護・介護システムの構築に関する研究」
https://www.tkfd.or.jp/programs/detail.php?u_id=33

「健康危機に対するヘルス・レジリエンスの構築に関する研究」
https://www.tkfd.or.jp/programs/detail.php?u_id=35

 

[執筆者]
國谷紀良 研究協力者 (神戸大学大学院システム情報学研究科 准教授)
徳田安春 東京財団政策研究所主席研究員
中村治代 東京財団政策研究所研究員
諸見里拓宏 東京財団政策研究所主席研究員
渋谷健司 東京財団政策研究所研究主幹

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◇◆東京財団政策研究所の方向性◆◇
戦後75年が過ぎ、国内外を問わず、社会の大きな転換が進んでいます。この大転換は、戦後の政治・経済・社会の体制から本格的に脱皮し、市民一人ひとりが独立した人間として自らの人生と社会の充実、国家の再生、平和の維持に携わる新しい時代を日本にもたらしています。また、この新たな時代を創るための政策研究・実践のイノベーター(革新者)として、戦後の体制からの独立した政策シンクタンクが必要とされています。
当財団の研究部門は、この大転換期が求める日本再生のイノベーターを目指します。

◇◆取り組む分野◆◇
国際情勢と歴史認識への冷静な視座のもと、下記5領域で約30の研究プログラムを並行して進めています。

Ⅰ. 経済・財政、環境・資源・エネルギー
Ⅱ. 健康・医療・看護・介護
Ⅲ. 教育・人材育成、雇用・社会保障
Ⅳ. 科学技術、イノベーション
Ⅴ. デジタル革命、デジタル化による社会構造転換

 

所在地:〒106-6234 東京都港区六本木三丁目二番一号 六本木グランドタワー34階
URL:https://www.tkfd.or.jp/

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