本プロジェクトでは、産婦人科医が中心となって新規に開発したeラーニングツールを用いた若手社員向けプログラムを提供し、女性特有の健康課題に関する知識や行動への効果や、生産性への影響を検証しております。
結果、eラーニングプログラムの総合満足度は96%と高く、プログラム提供終了後に「ヘルスリテラシー」「生活習慣」「受診行動」「生産性」の向上・改善が認められました。
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【ポイント】本検証で得られた知見
○参加した女性について
・月経痛に関して、正しい知識を持つ女性が大幅に増加しました。職場内での相互理解や、月経困難症等の早期受診につながると期待できます。
・プレゼンティズムの改善が認められ、多様な負担へのセルフケアや適切な受診が生産性向上にもつながることが示唆されました。また、就労継続意向にもポジティブに働きました。
*プレゼンティズムとは
出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題が作用し、パフォーマンスが上がらない状態のこと
○参加した男性について
・男性にリーチしにくい、産後うつや育休制度などについての理解促進に効果が認められました。
・妊活や不妊についての関心が高まったことで、職場内での相互理解につながることが期待できます。
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事業背景
月経随伴症状や不妊、妊娠・出産など【女性特有の健康課題】を抱えながら働く女性は、依然として非常に多い状況にあります。
この問題の背景としては、
・女性自身の健康について適切な情報や医学知識を就労早期から得られていない可能性がある(短期的・長期的な観点の双方において)
・男性を含めた職場全体における、女性特有の健康課題に対する理解やサポート体制の不備が影響している
と考えられます。
そこでこのような課題解決に向けて、「女性特有の健康課題に関するeラーニングプログラム」(以下、本プログラム)を開発し、企業の男女若手社員(社会人歴5年目までの社員)に提供する実証事業を行いました。本実証事業において、【女性特有の健康課題】に関する知識、意識、関心や、生産性の改善・向上が期待できるかを検証しました。
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結果の概要(主要なものを抜粋)
本プログラムの提供によって「ヘルスリテラシー」「生活習慣」「生産性」「受診行動」に下記のような良好な変化が男女それぞれで認められました。
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「女性特有の健康課題に関するeラーニングプログラム」の概要
○実施内容
「女性特有の健康課題に関するeラーニングプログラム」を開発・提供し、男女若手社員に生じた変化について分析、検証を行いました。
株式会社Kids Publicは、妊娠前、妊娠中、産後、更年期以降という全ての女性のライフステージで生じる悩みや不安に、オンライン医療相談という形で対応してきました。 これまでに培ってきたノウハウと10万件を越す相談対応実績、そして専門職の豊富な知見をもとに、開発・提供・検証を実施しております |
○参加者(分析対象者)
協力企業4社の社会人歴5年目までの男女社員 25名
○事業期間
2022年6月〜2023年3月
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「女性特有の健康課題に関するeラーニングプログラム」の事業詳細
○提供プログラム
【1】女性の健康課題に関するeラーニングツール
本事業期間内に、エボラニ株式会社と協働でeラーニングツールを開発いたしました。
▼参考:エボラニ株式会社 事例紹介
「【病気の種から解決を】Kids Publicが行うオンライン相談サービスとは」
【eラーニングツールの特徴】
1. Q&A形式により自己学習が可能
2. いつでもどこからでも実施可能(ペーパーレスのラーニングツール)
3. 不足している知識や情報を、学習者によってカスタマイズして提供
4. 開発・監修に現役産婦人科医が複数名携わり、コンテンツの信頼性が高い
5. 月経随伴症状、不妊治療、プレコンセプションケア、妊娠・出産、女性特有のがんなど幅広いテーマをカバーしている
【2】遠隔医療相談
株式会社Kids Publicが提供している遠隔健康医療相談サービス「産婦人科・小児科オンライン」を、参加者に提供いたしました。
本サービスには産婦人科医・助産師・小児科医が合計200名程度在籍しており、専門性の高いアドバイスを提供することが可能です。なお、遠隔健康医療相談サービスにつきましては、【1】のeラーニングツール実施後に相談を希望した参加者が、随時補完的に自由利用する形式といたしました。
▼参考:経済産業省「フェムテック等サポートサービス実証事業」事業紹介
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eラーニングプログラム参加者の声
アンケートやインタビューで得られたコメントを一部紹介いたします。
○eラーニングについて
クイズ形式は気軽に答えられて便利だった
スマホから手軽に参加でき、スマホでもわかりやすい画面構成だった
eラーニングが改めて自分自身のこと、今後について考えるきっかけとなった
必ずしも定期的な検査が必要ではない病気があることを知れたことは、婦人科疾患に関して必要以上に神経質にならなくてもよいと思えたので少し気持ちが楽になった
○本事業に参加することで得られたこと
若手社員だけが今回のような知識を得ても、上司や会社全体の理解が深まらないと働きやすさには繋がらないと思う。上の世代にも同様に知ってもらう機会が必要だと思った(女性)
もともと女性の健康課題に関しては知識がある方だと思っていたが、eラーニングでは知らない情報も適度に含まれており、新しい学びがあって良かった(女性)
社内に女性社員が多く、産休中や時短勤務の女性もいるので、周りがどのようなことで困っているのかなどを知る良い機会となった(男性)
同じような内容を、今後入社する後輩にも学んでほしいと思った(男性)
eラーニングは、オンライン相談を使ってみるきっかけになると思う(男性)
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産婦人科オンライン代表 本事業副責任者 産婦人科医 重見大介 コメント
今回、経済産業省による令和4年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」補助事業者として採択され、新しいチャレンジができたこと、そして意義ある事業成果を報告できたことを大変嬉しく思っています。若手男女社員を対象とした「女性特有の健康課題に関するeラーニングプログラム」の有効性検証はほとんど例がなく、新たな知見を提供できたものと考えています。
結果として、eラーニングプログラムの提供は「ヘルスリテラシー」「生活習慣」「受診行動」「生産性」に良好な変化をもたらす可能性があることがわかりました。このような個別具体的なeラーニングプログラムを提供することで、女性本人だけでなく男性を含めた働く環境全体での女性の健康に対する理解を深め、女性個人のウェルビーイングと職場全体での生産性向上が期待できるものと思います。
■お問い合わせ先
株式会社Kids Public 広報室(担当:春山)
■所在地:東京都千代田区神田小川町1-8-14 神田新宮嶋ビル4階
■TEL:03-6206-8803
■E-Mail:marketing@kids-public.co.jp
■設立日:2015年12月28日
■代表者:代表取締役 橋本 直也(小児科医)
■事業内容:「子育てにおいて誰も孤立しない社会の実現」を理念とし、インターネットを通じて子どもの健康や子育てに寄り添う。
■提供サービス:
・遠隔健康医療相談サービス
- 小児科オンライン https://syounika.jp/
- 産婦人科オンライン https://obstetrics.jp/
・医療メディア
- 小児科オンラインジャーナル https://journal.syounika.jp/
- 産婦人科オンラインジャーナル https://journal.obstetrics.jp/
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