本書は、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の時代考証チームのリーダーである坂井孝一さんが、1年間に12人、大河ドラマに登場する人物を取り上げ解説した、東京新聞「鎌倉殿をめぐる人々」の連載に大幅な加筆修正を行い、さらに多数の書き下ろしを加えたものです。
歴史事象には、さまざまな人々が関わっています。置かれた立場や状況によって人々の感情や行動は変化し、歴史事象に影響を与えます。今回、歴史は人が作るものであるということを踏まえたうえで、著者は一人ひとりの人物史を明らかにする試みを行います。
第一部の人物考証編では、新聞連載時よりも人物数を倍以上に増やし、「源家(げんけ)の人びと」「北条家の人びと」「東国の有力御家人たち」「時代を騒がせた女性たち」「法皇・上皇と都の権力者」といったグループを設定。そのうえで、一人ひとりの人物ドラマを読み解いていきます。第二部の歴史教養編は、本書のために書き下ろしたもので、平安末・鎌倉初期という時代の特徴や基本情報を解説します。位階や官職にはどのような種類があったか、宣旨・官宣旨・院宣とは何か、頼朝軍の鎌倉入りはいつだったのか、といった『鎌倉殿の13人』を理解するうえで欠かせない時代背景についての情報が満載です。
本書には、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の主人公・北条義時が駆け抜けた時代を、より深く理解するための歴史教養が詰まっています。三谷ドラマの後半をより楽しむため、本書で登場人物たちの物語について学んでみませんか。
- 著者
坂井孝一 (さかい・こういち)
1958年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。博士(文学)。現在、創価大学文学部教授。愛猫家。専門は日本中世史。平安末期・鎌倉初期の政治史・文化史、室町期の芸能史を主な研究テーマとする。著書に『鎌倉殿と執権北条氏―義時はいかに朝廷を乗り越えたか』(小社刊)、『承久の乱―真の「武者の世」を告げる大乱』(中公新書)、『源実朝―「東国の王権」を夢見た将軍』(講談社選書メチエ)、『源氏将軍断絶―なぜ頼朝の血は三代で途絶えたか』(PHP新書)、『源頼朝と鎌倉』『曽我物語の史的研究』『曽我物語の史実と虚構』(以上、吉川弘文館)など。
- 『考証 鎌倉殿をめぐる人びと』 目次
はじめに
第一部 人物考証編
Ⅰ 源家の人びと
Ⅱ 北条家の人びと
Ⅲ 東国の有力御家人たち
Ⅳ 時代を騒がせた女性たち
Ⅴ 法皇・上皇と都の権力者
第二部 歴史教養編
文書で読み解く初期の鎌倉幕府
官職や位階にはどのような種類があったか
追討の宣旨・官宣旨・院宣とは
唐船建造と日宋貿易
『吾妻鏡』空白の三年間と鎌倉殿の継承
政「まつりごと」としての学問・音楽・和歌
政子は最後の七年間だけ「政子」だった
頼朝軍の鎌倉入りはいつだったのか
謎に包まれた敵討ち事件
多数の修行僧・僧兵を抱えた伊豆山権現
鎌倉の宗教的・精神的な核
頼朝はなぜ勝長寿院と永福寺を創建したか
おわりに
主要参考文献
- 商品情報
書名:考証 鎌倉殿をめぐる人びと
出版社:NHK出版
発売日:2022年7月11日
定価:1,045円(本体950円)
判型:新書判
ページ数:304ページ
ISBN:978-4-14-088679-3
URL⇒https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000886792022.html
Amazon⇒http://www.amazon.co.jp/dp/414088679X