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本調査について
■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:374
調査期間:2023年3月6日~2023年3月13日
調査方法:インターネット調査
■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち72.5%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は48.7%(首都圏の飲食店の割合は66.7%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。
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調査結果について
物価高騰を感じている飲食店の仕入れ額、95.2%が昨年同月より「増加」
食品から電気・ガス・水道まであらゆる物資の値上げが相次いでいます。背景には、原材料やエネルギー価格の高騰、大幅な円安、鳥インフルエンザの流行などさまざまな要因があるとされ、4月以降も値上げの動きは続くとみられています。そこで今回は、食品やその他の価格高騰における飲食店への影響および対策状況を調査するため、アンケートを実施しました。
まず、物価高騰の影響を尋ねたところ、「とても実感している」との回答が81.3%で最多となりました。続く「やや実感している(16.8%)」と合わせると、98.1%もの飲食店が物価高騰を感じている状況が明らかとなりました。
続いて、物価高騰の影響を「実感している」(とても実感している、やや実感している)と回答した方に、いつ頃から物価高騰を実感し始めたか答えてもらったところ、最も多かったのは「2022年10月~12月頃(27.5%)」との回答。次いで、「2022年7月~9月頃(22.6%)」、「2022年4月~6月頃(21.3%)」と続きました。2022年は40年ぶりの高い物価上昇がみられた一年であり、実感を得た人も多かったようです。
さらに、物価高騰の影響を「実感している」と回答した方に、主にどのような食品・資源に物価高騰の影響を感じているか尋ねたところ、上位となったのは「電気(79.8%)」、「食用油(73.3%)」、「ガス(60.8%)」で、業態を問わず飲食店に必要な物資が並ぶ結果となりました。続く、「酒類(58.3%)」、「鶏卵(57.8%)」、「小麦粉、小麦加工品(52.6%)」も5割を超え、価格高騰の対象となる品目がいかに多いかを改めて示しました。
次に、物価高騰の影響を「実感している」と回答した方に、2023年2月の仕入れ総額の昨年同月比を尋ねました。すると、「昨年同月より11%~20%上昇した」との回答が31.6%で最多。これに「21%~30%上昇した(27.8%)」、「1%~10%上昇した(16.1%)」との回答が続きます。
全体をみると、「昨年同月と変わらない(3.3%)」、「昨年同月より下降した(1.6%)」との回答はわずか4.9%でした。対して「昨年同月より上昇した」と回答した店舗は95.2%で、ほとんどの店舗で仕入れ総額が増えていることがわかります。
値上げ実施店のうち72.8%が「客足の変化なし」と回答
物価高騰による店舗への影響を抑えるために取り組んでいることとして、最も多かったのは「既存メニューの値上げ」で、67.9%もの店舗が実施していました。このほかにも、「仕込み、仕入れ過多等による食材ロスの削減(43.3%)」、「新メニューの開発(34.8%)」、「食材の仕入れ先を見直す(30.2%)」など、食材に直接関係する部分への取り組みが目立ちました。
さらに、回答した取り組みの具体的な内容を尋ねたところ、さまざまな意見が寄せられました。
既存メニューの値上げ
・メニュー全体を3~10%ほど値上げした(愛知県/洋食/3~5店舗)
・メインの商品を1,540円より、1,600円へ値上げ(千葉県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・値上げ率の大きい食材を使用したメニューの値上げ(千葉県/カフェ/1店舗)
仕込み、仕入れ過多などによる食材ロスの削減
・1度の仕込みや仕入れをなるべく集中させて食材ロスを減らしています(神奈川県/イタリア料理/1店舗)
・真空パック器を使い、ロスの削減に努める(神奈川県/カフェ/1店舗)
・予約制にしたり、メニューの数量を限定にしたりしてロスを出さない(東京都/カフェ/1店舗)
新メニューの開発
・少量、短時間で作れるメニューの開発(長野県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・1つの材料、または材料の組み合わせでメニュー数を増やした(大阪府/洋食/1店舗)
・お得感のある品書きも増やしています(東京都/そば・うどん/1店舗)
食材の仕入れ先を見直す
・原材料の仕入れ先の選定は最も力を入れています。同一商品であれば最も安価なところ、包材資材は見栄えが変わらない範囲でチェンジしたりもしました(東京都/カフェ/2店舗)
・仕入先を絞り、野菜類は付近のスーパーのセールを狙って仕入れる(東京都/中華/1店舗)
・自分の足で安価な取引先を探すようになりました(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
また、「既存メニューの値上げ」に取り組んでいる店舗に、値上げしたメニューの割合を尋ねたところ、最も多かったのが、「51%~70%(22.8%)」との回答でした。「71%~90%(15.7%)」、「91%~100%(14.6%)」との回答と合わせると、53.1%の店舗がメニューの半分以上を値上げしています。
加えて、何%の値上げをしたか答えてもらったところ、最も多かったのが「6~10%」との回答で、48.4%。次いで、「11%~15%(27.2%)」、「5%以下(15.7%)」と続いており、15%以内の値上げにとどまる店舗が9割を占める結果となりました。
続いて、「既存メニューの値上げ」に取り組んでいる店舗に、価格転嫁後、客足に変化があったか尋ねたところ、「変化はない」との回答が72.8%で最多となりました。一方で、「減った」(とても減った=1.6%、やや減った=20.5%)との回答は22.1%にとどまっており、多くの店舗で値上げによる客足の減少はないことがわかります。
外食文化の安値思考に対し、「価値に合った価格設定」を求める声も
最後に、現代の外食文化における「低価格であることを良しとする価値観(安値思考)」について、経営者としての立場から率直な感想を尋ねたところ、以下のような意見が寄せられました。
物やサービスの価格は、本来の価値に合わせて適正に付けられるべき
・海外と比べ、日本の外食は安すぎます。価値のあるものを相応の価格で提供することを全体で考えないといけないと思います(埼玉県/バー/1店舗)
・原価に見合った価格設定は当然だと思う。その分お客様とのコミュニケーションにより付加価値を実感していただけるよう心掛けている(東京都/そば・うどん/1店舗)
適正価格を意識しつつ、付加価値を付けて差別化していく努力が必要
・低価格での顧客獲得の限界が来ていると思うので、他の付加価値を売りにしないと生き残っていけない(神奈川県/カフェ/1店舗)
・他店と差別化できない(大量生産品のような)商品の場合は仕方ないと思います。オンリーワン・唯一無二の商品を製造販売すれば、低価格(競争)に巻き込まれないと思っています(東京都/カフェ/2店舗)
消費者は適正価格への理解を深めるべき
・全てのものには適正価格があり、安価なものにはそれなりの理由がある。高値がつくものにもそれなりの理由があるのでお客様にはそのことをきちんと理解していただければと思っています(兵庫県/和食/1店舗)
・価格努力はすべきであるが、従業員の就業環境を整える余裕のある価格をお客様に理解してもらいたい。このままでは飲食店で働く人がいなくなってしまう(東京都/和食/3~5店舗)
価格帯別に飲食店の二極化や棲み分けが進めばよい
・低価格帯は価格交渉力をもつ大手チェーンさんに委ねて、個人のお店ではクオリティの高いものを高単価で販売するという棲み分けをしていかなければならないと思います(神奈川県/イタリア料理/1店舗)
・今後はさらに「安かろう悪かろう」のチェーン店と品質重視で相応の価格をいただく個人店とに、店舗も顧客も二分化されてくると思っています(大阪府/カフェ/1店舗)
さまざまな価値観の飲食店があっていい
・外食は文化だと思うので、安い店から高い店まであっていいと思います(兵庫県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・経営的に大丈夫なら成り立つことだと思います。それぞれのお店、チェーン店で色んな価格があって良いと思います(静岡県/和食/1店舗)
■調査結果の引用時のお願い
本調査結果の引用時には、以下のご対応をお願い申し上げます。
・クレジットに、「飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ」と明記ください。
・WEB上で引用いただく際には、「飲食店リサーチ」(https://www.inshokuten.com/research/company/)へのリンク付与をお願いいたします。
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本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。
株式会社シンクロ・フード 広報:今西 大木
住所:東京都渋谷区恵比寿南一丁目7番8号 恵比寿サウスワン3階
TEL:03-5768-9522 Mail:public-relations@synchro-food.co.jp
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