JAL、JALカード、HAC、ドコモ、「秘匿クロス統計技術」を用いて北海道内の移動ニーズを把握する実証実験を開始

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 日本航空株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:赤坂祐二、以下 JAL)、株式会社ジャルカード(本社:東京都品川区、代表取締役社長:西畑智博、以下 JALカード)、株式会社北海道エアシステム(本社:北海道札幌市、代表取締役社長:武村栄治、以下 HAC)、株式会社NTTドコモ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:井伊基之、以下 ドコモ)は、JAL、ドコモが保有するデータから、ドコモが日本電信電話株式会社の協力を得て開発した「秘匿クロス統計技術®︎」を用いて作成した、JAL便利用のお客さまの移動状況に関する人口統計情報※1から移動ニーズを把握する、北海道の地域活性化および課題解決に向けた実証実験(以下、本実証実験)を、2023年8月28日(月)から2024年3月31日(日)(予定)まで実施します。

※1 本実証実験で扱う人口統計情報は、特定の日時・エリアの人口を表す統計情報です。集団の人数のみを表すため、お客さま個人を特定することはできません。

■取り組みの背景

 本実証実験はJAL、JALカード、ドコモが2022年11月に実施した、データの統計的な活用を通じて、顧客体験価値向上と社会課題の解決に取り組む実証実験※2の第2弾として取り組むものです。地方自治体が取り組むテーマの一つ、地域活性化に向けた重要な要素として、都市部から地域への人流創出があります。そこで、本実証実験では、HACが2023年10月29日より札幌丘珠空港と根室中標津空港を結ぶ路線を開設することを機に、広大な面積を有し、都市や観光地が分散している北海道の道東エリアを対象として、お客さまの移動に関する人口統計情報から、空港を中心とした移動状況を把握し、利便性の高い交通手段の提供および道東エリアの人流創出につながる知見の獲得をめざします。

※2  秘匿クロス統計技術に関する情報は2022年10月20日付共同プレスリリース「JAL、JALカード、ドコモが、顧客体験価値向上と社会課題の解決に向けて、「秘匿クロス統計技術」を用いた企業横断でのデータ活用の実証実験を開始」をご参照ください。

参照URL:https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/info/news_release/topics_221020_00.pdf

■実証実験概要
 人口が集中する札幌圏(新千歳・丘珠空港および周辺地域)から道東エリア(女満別・釧路・根室中標津空港および周辺地域)への移動を中心に、「秘匿クロス統計技術」を用いてJAL便利用のお客さまの搭乗前後の移動状況に関する人口統計情報を作成します。さらに、ドコモの「モバイル空間統計®︎」を併せて活用し、JAL便利用者以外も含めた、道東エリアにおける移動ニーズの把握を実施します。これらの人口統計情報から交通手段の充実を図るべきエリアの特定など、単独企業では得られなかった利便性の高い交通手段の提供および道東エリアの人流創出につながる知見を獲得します。

■秘匿クロス統計技術について

1.秘匿クロス統計技術の安全性

 JAL便利用のお客さまの搭乗前後の移動状況に関する人口統計情報は、「秘匿クロス統計技術(以下、本技術)」を用いて安全に作成されます。本技術は、各社が保有するデータを、各社において、個人を識別できない状態(個人情報ではない状態)  に加工した上で、データを相互に明かすことなく、つまり、一連の処理を、人の目に触れることなく機械が行うことを技術的に保証することで、企業横断で統計情報を安全に作成するものです。本実証実験で取り扱う各社の保有データは、JALが保有する搭乗に関する情報および会員データと、ドコモが保有する携帯電話ネットワークの運用データ※3の一部(お客さまがご利用の携帯電話の位置データおよびお客さまの属性データ)です。なお、本技術は、「モバイル空間統計」のガイドラインに準拠しており、非識別化処理、集計処理、秘匿処理を通じて統計情報を作成します。また、モバイル空間統計ガイドラインの中でご案内している「運用データ利用停止手続き※4」を行っているお客さまのデータは、本実証実験において利用しません。

※3 電気通信サービスを提供する過程で発生するデータの総称でモバイル空間統計でも利用されています。運用データは、お客さまがご利用の携帯電話の位置データおよびお客さまの属性データを含むものですが、それぞれの定義についてはモバイル空間統計ガイドライン(以下のリンク)をご覧ください。

モバイル空間統計ガイドライン | 企業情報 | NTTドコモ
モバイル空間統計のガイドラインをご紹介します。

※4 モバイル空間統計に関する情報は以下のリンクをご覧ください。

モバイル空間統計に関する情報 | 企業情報 | NTTドコモ
モバイル空間統計の要旨とガイドラインをご紹介します。

2.秘匿クロス統計技術の進化

 今回の実証実験に向けて、ドコモは大規模なデータでも高速に集計するために、各社のデータの分割および個人を識別できない状態に加工した上で、暗号状態で複数の入力データを集計処理し、暗号状態のままで処理結果を重ね合わせて一つの集計結果を作成する機能を新たに開発しました。この機能により、北海道のような広域に広がる大規模データに対しても本技術の適用が可能となります。

■今後の展望

 JALグループは人・モノの「移動」や社会的な「つながり」を創出し、その「移動・つながり」が地域経済の活性化につながる取り組みを推進しています。ドコモは、「ライフスタイル共創ラボ※5」の取り組みの一環で、プライバシーを保護した安全な統計情報の活用を通じたパートナー企業との協業により、交通、地域活性化などの社会課題の解決に取り組んでいます。

 JAL、JALカード、HAC、ドコモの4社は、本実証実験を通じて得られた知見を活かして、多様な交通サービスとの連携を通じたシームレスな移動の実現やお客さまに寄り添った商品サービスの提供による、道東エリアの人流創出をめざすとともに、今後も異業種事業者の安全なデータ連携の実現を通じ、人と地域をつなぐことによる社会価値の創造と有用性の検証に向け取り組んでまいります。

※5 「ライフスタイル共創ラボ」は、ドコモやパートナーが持つ複数の技術やアセットを組み合わせ、人々の生活がより豊かになる技術の価値検証を行う取り組みです。詳細は、以下のリンク先をご確認ください。

URL:https://smartcity.ad.at.nttdocomo.co.jp/

【参考】

■昨年度の実証実験の成果

 昨年度は、本技術により航空機搭乗前のお客さまの移動状況に関する統計情報を作成し活用することで、お客さまが搭乗に至るまでにどこで時間を要しているのかを明らかにすることができました。この知見をもとに、空港内での案内などの支援を実施した結果、お客さまのスムーズな移動につながり、統計的データ活用による顧客体験価値向上と社会課題解決に寄与しました。

*「秘匿クロス統計技術」および「モバイル空間統計」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。

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