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深刻化が増す子どもの孤立に対する、地域と市民の実践に向けたアプローチ
予想を上回るペースで少子化が進む日本において、子どもを取り巻く状況も、虐待やいじめ、不登校等など深刻な問題が顕在化しています。令和4年版子供・若者白書によると「いざというときに頼れる大人がいない」と感じている子どもは21.8%、さらに「支援機関を利用しようと思わない」は69.7%にも上ります。
2023年4月には「こども家庭庁」が創設され、子どもの最善の利益を第一に考える取組・政策が検討されはじめました。しかし、今この瞬間も孤立した環境の中、痛みや心の傷を一人で抱えて頑張っている子どもたちがいます。子どもの生きづらさの背景にある「孤立」「関係性の貧困」という連鎖を断ち切り、目の前の一人の声と大切に向き合い「関係性の豊かさ」を醸成できるのは、地域で暮らす市民一人ひとりだと私たちは考えています。
私たちPIECESは、2016年の設立以来、深刻化する子どもの孤立を防ぐために、地域・社会の市民性の醸成を目的として「Citizenship for Children(CforC)」プログラムを運営してきました。日常のそばにいる人が子どもたちと出会い、「信頼できる他者」となっていく。そのために必要な基本的な知識やまなざし、関わりについて、対話と内省を通じて学び合っていくプログラムには、これまで全国から550名以上が参加。自治体や企業との連携も広がり、2023年からは本プログラムの水平展開のための新規事業もスタートしています。
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子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するオンラインプログラム
本プログラム(CforC)で行うのは、いわゆる支援職や専門職の養成ではありません。知識や技術のインプットだけではなく、内省と実践を繰り返すマインドセットを身につけていくプログラムです。子どもとの関わりに「正解」はないからこそ、CforCでは集った仲間とともに対話を重ねていきます。
子どものためだけでも自分のためだけでもない、その両者を大切にするとはどういうことかを問う視点を持ちながら、具体的なアクションを起こすこと。そして、答えを求めるのではなく、学び続け、問い続ける姿勢を持つこと。そのような市民の存在、また市民によるアクションが、子どもの生活する日常の中に生まれ続け、子どもも大人もwell-beingな社会になることを目指しています。
プログラム参加者の声
・知識だけでなく、自分で自分の正解や大切にしたいもの、自分にしかないものを全国の仲間と一緒に見つめられる。子どもとの関わりだけでなく、それぞれの人生をとても豊かにするものだと思った。(18-24歳、学生)
・市民性を活かすからこそ出来る事、新たに築ける関係性があることを学びました。共にいる、ただそれだけに思える事であっても、とても大切な意味あるものになり得ることに気付く事が出来て、何かを始めるのは意外と簡単なのかもしれないと、難しく考えていた頭を緩めて頂きました。(45-54歳、経営者・会社役員)
・自分がなんともないと感じていた行動に子どもの欲求が背景にあることを示唆されたり、自分が特別だと感じていた行動がそれは深い意味のない自然な会話だったのでは?とコメントをいただいたり、ひとりでは辿り着けない視界に出会えた。(25-34歳、会社員)
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動画視聴と集合講座で学びを深める、2つのコース。オンラインで全国から参加可能
プログラム概要
◆基礎コース
<概要>
様々なフィールドで子どもと関わる実践者や専門家による講座と、それらを題材にした参加者同士、講師とのインタラクティブな対話を通じて、CforCのベースとなるエッセンスを学びます。前期は、子どもと関わる上でのまなざしや姿勢が主テーマ。後期は、子どもの暮らすまちの資源や風景に焦点が広がります。講座は、好きな時間に視聴可能なオンデマンド配信なので、自分のペースで学びにアクセスできます。
<学習スタイル>
講座(動画配信/月1本)+ 対話・質疑応答(オンライン/月1回)
<期間>
通期:2023年8月〜2024年1月(前期:8月〜11月、後期:11月~1月)
◆探求コース
<概要>
本コースでは、基礎コースでの学びをベースに、様々な種類のワークや内省的な時間を重ねることで、より深いレベルで自分なりの子どもへのまなざしやあり方、子どもとの関わりについて探求していきます。オンラインではありますが、立場や地域を越えて、はじめましての人たち同士が安心してコミュニケーションを取れる環境が築かれていくのも大きな特徴です。
<学習スタイル>
基礎コース + ゼミ(オンライン/月1回)+ リフレクション(オンライン/計4回)
<期間>2023年8月〜2024年1月
◆参加対象者
どなたでも参加可能です。ただし、探求コースは応募状況により書類選考があります。
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オンラインと東京会場にて募集説明会実施
プログラム参加を検討してくださっている方のために、オンライン説明会を開催します。プログラム内容や私たちPIECESについてお伝えしながら、質疑応答の時間も設けます。参加費無料ですので、検討中の方はお気軽にご参加ください。
説明会参加申し込みページ:https://cforc2023.peatix.com/
【代表理事メッセージ】
私は児童精神科医として、さまざまな子どもたちに出会ってきました。明日どころか、1分先のこともわからない。そんな環境下で生きている子どもたちが、私たちのすぐ隣にいるという現実を「仕方ない」では終わらせたくない。そんな想いから、孤立が深刻化する前に、子どもたちの生きる地域に信頼できる繋がりを市民のみなさんとともに育んでいく。
子どもたちが安全に過ごせる未来を子どもの日常に必ず存在している私たち「市民」の力でともに紡いでいけたらと願っています。
代表理事 小澤いぶき
【認定NPO法人PIECESについて】
児童精神科医として10年以上医療・行政の現場に携わってきた小澤いぶきを中心に、子どもと社会のウェルビーイングを目指して設立した団体です。安心して頼れる人がいない環境で、他者や社会への信頼感を失ってしまう「子どもの孤立」を防ぐために、多様な人たちの優しさや想像力があふれる環境を子どもたちの周りに育む活動を展開しています。具体的には、地域で子どもたちに寄り添う市民や支援者を増やすための育成プログラム「Citizenship for Children」や、企業や行政などと連携しながら「子ども」「シティズンシップ」「まちづくり」などをテーマに研修やワークショップなどを実施しています。
【団体概要】
名称 :認定NPO法人PIECES
設立 :2016年6月22日
代表 :代表理事 小澤いぶき(児童精神科医)
所在地:東京都文京区本郷3-40-10 三翔ビル本郷7F 小野田高砂法律事務所内 social hive HONGO
【代表理事小澤いぶき プロフィール】
認定NPO法人PIECES代表理事/児童精神科医/東京大学医学系研究科客員研究員/こども家庭庁アドバイザー
新潟大学医学部医学科卒業後、精神科医を経て、児童精神科医として複数の病院で勤務。トラウマ臨床、虐待臨床、発達障害臨床を専門として臨床に従事し、さいたま市の「子育てインクルーシブモデル」立ち上げにも携わる。医療職として従事する傍ら、2013年頃から地域活動を始め、2016年6月にNPO法人PIECESを設立。2017年には、世界各国のリーダーが集まるザルツブルグカンファレンスに招待を受け、子どものウェルビーイング達成に向けたザルツブルグステイトメント作成に参画。Japan women ‘s leadership initiative 10期フェロー。
【本プレスリリースに関する問い合わせ】
認定NPO法人PIECES
担当:藤田
Email:info@pieces.tokyo