「物価の優等生」仇に 豆腐屋の倒産急増、過去最多ペース 大豆価格の上昇直撃、5年間で2倍に急騰 電気代も響く

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帝国データバンクは、「豆腐屋」の倒産発生状況について調査・分析を行った。

<調査結果(要旨)>

  1. 「物価の優等生」仇に 豆腐屋の倒産急増、過去最多ペース

集計期間:2023年5月31日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関:株式会社帝国データバンク

卵やもやしと並び、「物価の優等生」として知られる豆腐。安ければスーパーの店頭で1丁30円から買える安価な「家計の味方」として、長年食卓を支えてきた豆腐が窮地に追い込まれている。スーパーなど小売店向けにパック豆腐などを生産する「豆腐屋」の倒産が、2023年1-5月までに計8件発生した。前年の11件にせまる勢いで増加し、過去最多だった14年(17件)を上回る可能性も出てきた。

背景にあるのは、主原料となる大豆の価格高騰が直撃した豆腐づくりのコスト急増と、価格転嫁力の弱さがある。量産豆腐に多く使用される米国産など輸入大豆の価格は、円安の進行や世界的な需要増もあり、5年間で約2倍に上昇。国産大豆の価格も生産量が安定せず高止まりが続く。その結果、豆腐1丁あたりの大豆が占める原価率は、2023年1-5月までの平均で推定11%を占め、コロナ前の6~7%を大きく上回った。近年は大豆以外に電気・ガス代、物流費といったコストも上昇している。

一方で、豆腐は売価が低い日配食品であることに加え、売り先も限られることから価格転嫁力は弱く、利益が出しにくい。こうしたなかでのコスト上昇が追い打ちとなり、経営に行き詰まったケースが、特に地域の豆腐屋で多く発生している。

足元では、年3万品目に達する食品値上げの波を受け、大手を中心に価格を引き上げる動きが目立つ。スーパーではこうした値上げに理解を示すケースも多い一方、特売などスーパーの目玉商品として「減量値上げ(価格据え置き)で対応できないか」など反応は異なる。「物価の優等生」の看板を前に、豆腐の適正価格への理解をいかに得られるかが今後の焦点となる。

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