22年度の光熱費、企業の8割で「増加」平均50万円の負担増に 小売業で「増加」目立つ 店舗の運営管理費重く

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帝国データバンクは、 2023年4月時点で、22年度決算(2022年4月-23年3月期)が判明し、前年度と比較可能な約3万8000社を対象に、「光熱費」支出の動向について調査・分析を行った。

<調査結果(要旨)>

  1. 2022年度の「光熱費」 企業の8割で増加、平均増加額は年間50万円 小売業で影響大

  2.  地域間で電気代上昇にバラつき 北海道と近畿の平均増加額、差は約17.1万円

※調査対象: 2022年度決算(2022年4月-23年3月期)が判明し、前年度と比較可能な約3万8000社が対象
※対象期間:2023年4月時点
※調査機関:株式会社帝国データバンク

2022年度の「光熱費」 企業の8割で増加、平均増加額は年間50万円 小売業で影響大

電気やガス、水道といったエネルギー価格の上昇が、中小企業のコストに多大な影響を与えている。4月までに2022年度(22年4月-23年3月)決算が判明した企業で、21年度の業績と比較可能な約3万8000社の水道光熱費(以下「光熱費」)を調査した結果、約8割にあたる約3万1000社で、支払った光熱費が増加していたことが判明した。

光熱費支出の増加幅別にみると、前年度比「+20%未満」が44.3%で最も多く、次いで「+20-80%未満」が30.7%だった。前年度から倍増した企業も4.6%あった。1社あたり光熱費増加額は平均で47.8万円に上り、月額で約4万円の新たな光熱費負担が発生した計算となる。他方、光熱費負担が「前年度並み」、または「減少」した企業の合計は2割だった。

 

業種別にみると、光熱費が増加した割合が最も大きかったのは「小売業」で、業績が判明した約2500社のうち8割超の企業で増加したことが判明した。また、1社あたりの増加額も大きく、平均で年間約186万円(月額約16万円)増加し、全業種中で最大だった。飲料や食品の冷蔵・冷凍陳列に加え、店内照明など、電力を多く消費するコンビニエンスストアや食品スーパー、ドラッグストアなどの各小売業で、光熱費が大きく増加した。飲食店も、食材保管や調理用のガス代、上下水道の費用増がみられた。

小売業のほかに、「卸売業」、倉庫など「運輸・通信業」でも光熱費が増加した割合が高く、総じて「保存・保管」などで電力を多く使用する業態で光熱費の増加が目立った。1社あたりの増加額では、小売業のほかに「サービス業」で多く、増加額は平均で約66.5万円だった。なかでも、パチンコ・スロット台を常時稼働するパチンコホールなどの「娯楽業」や、給湯用ボイラー用のガスや客室空調などで電力を消費する旅館・ホテルなど「宿泊業」で、前年度から大幅に増加した。

地域間で電気代上昇にバラつき 北海道と近畿の平均増加額、差は約17.1万円

地域別にみると、光熱費が「増加」した企業の割合が8割以上を占めたのは、近畿と九州を除く7地域に上り、全国的に企業の光熱費は2022年度に比べて増加した。なかでも「東北」は全地域で最も多い84.5%の企業で光熱費が増加した。

 

一方で、光熱費の増加額は地域によって格差がみられた。増加額が最も高い地域は「北海道」だった。特に冬季間の空調維持のための電気・ガス代の上昇が大きく響き、1社平均で約62.0万円増加した。最も低かったのは「近畿」で44.9万円増にとどまり、最も増加額が大きい北海道とは17.1万円の差が発生した。

電気料金、家庭用は6月から最大42%値上げ さらなる負担増避けられず

帝国データバンクが4月に行った「電気料金値上げに関する企業の実態アンケート」では、電気料金の上昇分を販売・サービス価格に転嫁できない企業が半数を超えた。原材料価格の価格転嫁が優先され、電気料金の価格転嫁までは厳しいといった声も多く、これまで実施されてきた各種エネルギー料金の値上げによって企業負担は既に重たくなっている。

国内電気料金は6月以降、標準的な家庭で14〜42%の値上げが相次いで実施される。政府による電気・ガス代負担軽減策など時限的な支援もあるものの、今夏以降にさらなる負担増を迫られ、収益環境が一層厳しくなる企業が増加する可能性がある。

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