TEDは、眼球突出、複視(二重に見える)、目の痛み、発赤/充血及び浮腫をきたし、重症例では失明の恐れがある深刻で進行性のある希少な自己免疫疾患です¹。テプロツムマブは、2020年1月に米国食品医薬品庁(FDA)に承認された、疾患活動性や罹患期間に関わらないTEDに対する最初で唯一の薬です。日本においては、テプロツムマブは承認されていません。日本でTEDを効能効果とした薬剤はありません。
本試験は、二重盲検、プラセボ対照、並行試験、多施設共同臨床試験であり、慢性(非活動性)TEDと低値のCASを有する成人患者において、テプロツムマブの有効性、安全性及び忍容性を評価します。全被験者は、スクリーニング時及びベースラインの来院時に2以下のCASを有し、TEDの初期診断時以来2年から10年経過していて、眼球突出や複視、TEDの炎症症状が少なくとも1年間悪化していないことが必須となります。治験の適格基準を満たす成人被験者は、2:1の比率でランダム化されテプロツムマブ又はプラセボのいずれかに割付けられ、初回は10 mg/kg、残り7回は20 mg/kg、合計8回を3週間に1度の頻度で投与されます。
有効性に関する主要評価項目は24週目の眼球突出に対する奏功率であり、評価対象の眼においてベースラインから最低2mmの減少が見られ、評価対象ではない眼において眼球突出の悪化(2mm以上の増加)が見られていない被験者の割合として定義しています。治療終了時の24週目に眼球突出に奏効が見られなかった被験者は、非盲検である長期投与試験に参加し、さらに8回のテプロツムマブの追加投与を受けることを選ぶことができます。
Horizonの研究開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるエリザベス・トンプソン医学博士は、次のように述べています。「長期間、甲状腺眼症を患ってきた患者さんにとって、日々の生活や活動が著しく損なわれていることを理解しています。そのため、疾患活動性は低いものの、長期間に渡って甲状腺眼症の症状に苦しむ患者さんに対するテプロツムマブの有効性を調査することが重要です。そのために、日本の医師や規制当局、そして患者さんと共に、本治験で協働できることを嬉しく思っています」
本治験は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)との協議を経て実施しています。適格基準などの治験に関する詳細は、臨床研究等提出・公開システム(治験ID番号jRCT2031220730 https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031220730 )をご覧ください。
甲状腺眼症について(TED)
TEDは、深刻で進行性がありかつ潜在的に視力低下をきたす恐れのある希少な自己免疫疾患です¹。その多くはバセドウ病に伴ってみられますが、後眼窩の細胞でインスリン様成長因子-1受容体(IGF-1R)を介したシグナル複合体を活性化する自己抗体によって引き起こされる個別の疾患です², ³。このため重症例では、失明を含む長期的で不可逆的な損傷を引き起こす可能性があります⁴, ⁵。TEDの早期兆候及び症状には、眼乾燥とざらつき、発赤、浮腫、過度の涙、眼瞼後退、眼球突出、眼の後ろの眼窩軟部組織圧又は疼痛、複視が含まれる場合があります。
テプロツムマブについて
テプロツムマブは、アメリカでTEPEZZA®(teprotumumab-trbw)という商品名で販売しております。日本においてテプロツムマブは承認されていません。
Horizonについて
Horizonは、希少疾患、自己免疫疾患、重度の炎症性疾患の影響を受けている人々の重要なニーズに対応する医薬品の発見、開発、商品化に特化したグローバルなバイオテクノロジー企業です。当社のパイプラインには目的があります。当社は、科学的な専門知識と勇気を持って、臨床的に有意義な治療薬を患者さんにお届けします。当社は、科学技術と思いやりの心が一体となることで、人々の生活を変えることができると信じています。人々の生活をより良くするための当社のこれまでの長期的な努力については、https://www.horizontherapeutics.co.jp/ 、Twitter( https://twitter.com/HorizonNews ) 、LinkedIn( https://www.linkedin.com/company/horizontherapeutics/ )、Instagram( https://www.instagram.com/horizontherapeutics/ )、Facebook( https://www.facebook.com/HorizonTherapeutics/ )をご覧ください。
将来の見通しに関する記述
本プレスリリースには、治験の見込み範囲や設計、史実ではない記述など、TED治療としてのテプロツムマブの潜在的利益に関する記述が含まれますが、それらに限られず、将来の見通しに関する記述が含まれます。これらの将来の見通しに関する記述は、Horizonの現在の想定に基づくもので、本質的に重大なリスクと不確実性を伴います。実際の結果や事象の時期は、そういったリスクや不確定性のため将来の見通しに関する記述内の見込みと著しく異なる可能性があります。これには、治験完了の遅延の可能性や、以前の結果によって今後の治験の成果が予測され得ない事実といった治験に関連するリスク、規制当局の承認に関わるリスク、コロナウイルスのパンデミックやその拡大遅延を目的とした措置による影響、Horizonが活動する法的環境および規制環境の変化や、「リスク要因」の名の下その時々に具体化されるそれらのリスク、またその他HorizonのSECへの提出や報告などといった規制義務および監視、あるいはそれ以外も含まれます。Horizonは、新情報に伴い本プレスリリースに記載の将来の見通しに関する記述を更新する責任又は義務を負いません。
参考文献
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Barrio-Barrio J, et al.Graves’ Ophthalmopathy(甲状腺眼症): VISA versus EUGOGO Classification, Assessment, and Management(VISA対EUGOGO、分類、評価、及び管理).Journal of Ophthalmopathy.2015;2015:249125.
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Weightman DR, et al.Autoantibodies to IGF-1 Binding Sites in Thyroid Associated Ophthalmopathy(甲状腺眼症におけるIGF-1結合部位への自己抗体).Autoimmunity.1993;16(4):251–257.
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Pritchard J, et al.Immunoglobulin Activation of T Cell Chemoattractant Expression in Fibroblasts from Patients with Graves’ Disease Is Mediated Through the Insulin-Like Growth Factor 1 Receptor Pathway(グレーブス病患者の線維芽細胞内のT細胞化学誘引物質発現の免疫グロブリン活性化は、インスリン様成長因子1受容体経路を介して媒介される).J Immunol.2003;170:6348-6354.
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McKeag D, et al.Clinical features of dysthyroid optic neuropathy: a European Group on Graves’ Orbitopathy (EUGOGO ) survey(甲状腺異常視神経症の臨床的特徴:甲状腺眼症に関する欧州グループ(EUGOGO)調査).Br J Ophthalmol.2007;91:455-458.
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Bartalena L, Kahaly GJ, Baldeschi L, et al.The 2021 European Group on Graves’ Orbitopathy (EUGOGO) Clinical Practice Guidelines for the Medical Management of Graves’ Orbitopathy(甲状腺眼症に関する2021年欧州グループ(EUGOGO)甲状腺眼症の医療管理用臨床診療ガイドライン).Eur J Endocrinol.2021;185(4):G43-G67.
*本資料は、2023年5月1日にアイルランドで発表されたプレスリリースの抄訳版です。