トルコ・シリア大地震 発生から2カ月:ユニセフ、両国で840万人の支援を計画~国際社会へ柔軟な資金を要請【プレスリリース】

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アザズ地区の国内避難民キャンプで暮らす姉妹。(シリア、2023年3月1日撮影) © UNICEF_UN0795119_Englishアザズ地区の国内避難民キャンプで暮らす姉妹。(シリア、2023年3月1日撮影) © UNICEF_UN0795119_English

【2023年4月6日 東京発】

トルコ南部のシリア国境近くで起きた大地震の発生から今日で2カ月が経ちました。ユニセフ(国連児童基金)はシリアとトルコでの緊急支援を行うため、国際社会にそれぞれ1億7,270万米ドル(シリア:2月~5月の必要資金)と1億9,600万米ドル(トルコ:2月~4月の必要資金)を要請しています。以下は、両国におけるユニセフの最新情勢レポートからの抜粋です。

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シリア情勢レポート(3月28日付)
シリアでは370万人の子どもを含む880万人以上が地震の影響を受けています。避難生活が続く中、性的搾取や性的虐待を含むジェンダーに基づく暴力や子どもの保護に関する懸念が広がっています。特に女性と女の子にとって、過密な状態、プライバシーの欠如、および水・衛生施設など性別や年齢に応じた施設の質と量の不足は、重大なリスクとなっています。 

ユニセフの水と衛生に関連する支援は、設計、実施、モニタリングの各段階を通じて、年齢とジェンダーを考慮しています。シリア北西部では、水と衛生の支援の計画において、施設を安全に利用するための改善(歩行距離の短縮など)や、月経衛生管理などの年齢や性別に応じたニーズに対応した施設の設計のため、女性、女の子、男性、男の子の参画を優先しています。 
 

ユニセフ支援物資の衣類を受け取った6歳のジュディさん。(シリア、2023年3月7日撮影) © UNICEF_UN0804562_Hazoriユニセフ支援物資の衣類を受け取った6歳のジュディさん。(シリア、2023年3月7日撮影) © UNICEF_UN0804562_Hazori

ユニセフとそのパートナーは、10万1,975人の子ども(うち女の子5万157人、男の子5万1,818人)が、就学前学習、自己学習、補習授業を含む公式または非公式の教育が受けられるよう支援しました。シリア北西部で、ユニセフのパートナーは、7,186人の子ども(うち女の子4,080人、男の子3,106人)に対して、非公式教育の環境において、学校に基づいた心理社会的支援プログラムも提供しました。 

ユニセフは、アレッポ、ラタキア、ハマの1万9,484人の子ども(障害のある子ども49人を含む)に衣服や毛布を配り、集団避難所での滞在中、子どもたちが遊び道具に触れられるよう、レクリエーション用品を提供しました。

3月28日現在、アレッポとハマの被災地では、6万7,277人の極めて脆弱な立場にいる人々が、基本的なニーズを支え、地震によって生じた経済的ショックを緩和するための緊急現金給付を受けています。さらに、シリア北西部において、妊娠・授乳中の女性や2歳未満の子どもの養育者1,752人を支援しました。アレッポ、ラタキア、ハマの被災地ではさらに14万世帯の被災家族の登録と識別を続けており、現金給付の規模は拡大しつつあります。

ユニセフは260万人の子どもを含む540万人に緊急支援を届けるため、1億7,270万米ドルを国際社会に求めています。要請額の50%は集まりましたが、栄養と保健分野では依然として大幅に資金が不足しています。ユニセフとそのパートナーが、場所を問わずシリア全土の子どもたちにサービスを提供できるようにするため、使途を定めない柔軟な追加資金が必要です。

シリアにおける情勢レポート全文(英語/PDF)
https://www.unicef.org/media/138226/file/Syria-Humanitarian-Situation-Report-No.7-(Earthquake)-28-March-2023.pdf

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トルコ情勢レポート(3月24日付)

一時避難施設にあるユニセフの子どもにやさしい空間で、心理社会的支援を受ける子どもたち。(トルコ、2023年3月17日撮影) © UNICEF_UN0806323_Karacan一時避難施設にあるユニセフの子どもにやさしい空間で、心理社会的支援を受ける子どもたち。(トルコ、2023年3月17日撮影) © UNICEF_UN0806323_Karacan

トルコでは250万人の子どもを含む910万人が支援を必要としています。約270万人が地震による国内避難を続けており、被災地全体で推定230万人が、公式または非公式の居住地に暮らしていることが確認されています。1,915人のおとなの同伴者のいない子どもが確認され、そのうち1,750人は家族と再会させることができました。

シェルター、水・衛生設備、ヘルスケア、メンタルヘルスケアと心理社会的サポートを含む保護に関わる支援、および学習の継続が引き続き優先的に必要です。

トルコ国民教育省は、地震で被害を受けた10県のうち6県で教育を再開し(ディヤルバクル、シャンルウルファ、キリスの3県で3月1日に、アダナ、ガジアンテップ、オスマニエの3県では3月13日に)、これらの県で合計149万5,648人の生徒への教育を再開しました。

また、25万2,000人の生徒が家族と共に被災を免れた県に移り、アンカラ、アンタルヤ、メルシン、イスタンブールにある公立学校に新たに通っています。

3月22日時点で、ユニセフは子ども22万2,560人を含む39万1,420人に不可欠な衛生用品を、また、2万1,983人に毛布や電気ストーブなどの非食料品を届けています。

13万1,113人の子どもと養育者がメンタルヘルスケアと心理社会的サポートを受け、2万660人が複数セクターからの支援を受けるための安全なスペースを利用しました。

3月24日時点で、ユニセフは150万人の子どもを含む300万人に支援を行うために必要な1億9,600万米ドルの資金要請に対し、1億3,800万米ドル以上、約71%の資金不足に陥っています。 ユニセフがトルコ政府主導の対応を補完し、現状および高まりつつある人道的ニーズに迅速に対応できるようにするためには、使途を限定しない、時宜を得た資金が緊急に求められています。

トルコにおける情勢レポート全文(英語/PDF)
https://www.unicef.org/media/138101/file/T%C3%BCrkiye-Humanitarian-SitRep-24-March-2023.pdf
 

 

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ユニセフ「自然災害緊急募金」ご協力のお願い
地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けております。トルコ・シリア国境で発生した地震の影響を受けた子どもを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。

1. クレジットカード/コンビニ/ネットバンクから
https://www.unicef.or.jp/kinkyu/disaster/2010.htm

2. 郵便局(ゆうちょ銀行)から
振替口座:00190-5-31000/口座名義:公益財団法人 日本ユニセフ協会
*通信欄に「自然災害」と明記願います。
*窓口での振り込みの場合は、送金手数料が免除されます。

※公益財団法人 日本ユニセフ協会への寄付金には、特定公益増進法人への寄付として、所得税、相続税、法人税の税制上の優遇措置があります。また一部の自治体では、個人住民税の寄付金控除の対象となります。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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