リスキリング領域の第一人者 後藤宗明氏 顧問就任記念セミナー「人的資本の最大化に向けた 組織強化のための“リスキリング”とは」事後レポート

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エンゲージメント向上を軸とした組織開発・人材育成コンサルティング支援を行う株式会NEWONE(本社:東京都千代田区 代表取締役:上林周平、https://new-one.co.jp/ 以下、NEWONE)は、顧問としてリスキリング領域の第一人者である後藤宗明氏(所属:一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事)をお迎えしました。それに伴い、後藤氏に加え、弊社のキャリア自律領域の顧問をされている、法政大学教授 田中 研之輔、NEWONE代表の上林の3名によるクロストークを、2023年3月2日に実施いたしました。

▲左上:NEWONE上林、真ん中:法政大学教授 田中氏、右上:ジャパン・リスキリング・イニシアチブ後藤氏
 

  • 当日の内容(※抜粋)

・そもそもリスキリングとは?
 リカレント教育のような個人が主体となって費用と時間の捻出をする生涯学習のを学び直しとは異なり、組織で新しい経営戦略や事業戦略を作っていく際に、職業能力の再開発を行っていくという概念が欧米で定着したもの。よって実はリスキリングは、組織が責任を持つ業務。ただ一方で、私達従業員視点で考えて捉え直すと、リスキリングは新しいことを学び、スキルを身につけ実践し、そして新たな業務や職業に就くことともいえます。

・なぜいまリスキリングが求められているのか?
 テクノロジー分野において、デジタルトランスフォーメーションの人材不足が、業種を超えて小売からメーカーからIT通信、銀行や証券、すべてにおいて足りないという現状、そしてAIの研究者により、いまある仕事の47%あるいは51%が今後無くなり、置き換わっていくという分析も発表され、世界に衝撃が走りました。

今、リスキリングがポジティブなうねりになってきていると感じており、使えなくなった人をどうにかしなければという考えより、一人一人のポテンシャルはもう少し高いので、デジタルテクノロジーを使ってもっと最大化できる。SlackやTeamsなどのコミュニケーションツールなどもあり、10年前、20年前と違いハイブリッドワークが可能になってきたタイミングであり、さらに日本の人口も予想よりも早い大減少社会の中で、今いるプレイヤーはもっと複層的に活躍できそうな現場感があるという話がありました。

元々欧米で2016~17年頃デジタル化の動きの動きが始まり、しかし「デジタル人材」はどこにいるのか、という議論から、デジタル人材を育成していくためにリスキリングが必要である、結局外から取ろうと思っても人材がいないので、中で育成しデジタル化に備えるという動きが急速に進んでいった経緯があるとのこと。

 ・リスキリングの誤解が生まれている!?
 現在のリスキリングは、世間的に誤解されている。組織の新しい事業の方向性に対し就業時間内に従業員のスキルをアップデート=リスキリングを行っていくということが本来の意味である。デジタル競争力ランキングの高い国々は、会社主体でボトムアップでデジタル化し、デジタル人材の育成が進んだという経緯があるという話がありました。
一方、今の日本企業では、リスキリングに取り組む会社は増えているものの、就業時間外に、福利厚生の一環として好きな時間に学ぶやり方が多く、業務外のため強制力がない部分もあり、仕事の時間も減らない中に+αでその時間が増えることで、意志の強い方以外はリスキリングが進まない現象があります。リスキリングの実際の成果がでるまで1年から1年半かかるというデータもあり、経営者の認識も、リスキリング投資には時間がかかるという理解をしていく必要があるという議論もありました。

・社内でできるリスキリング文化の醸成・促進とは?
 1年に1回の形式的なキャリア研修に意味はないという声も。それであれば毎日5分、10分、週1回でも社内のイントラ動画でもいいのでキャリアリテラシー・リスキリング文化を作っていくことが大事という話もあがり、人事からも伝えることを諦めないでほしいという声も。

企業にとっては、キャリアプラトー=停滞が組織の毒となるので、企業を再活性化させたいなら社内副業兼業や、ある種インターンのような形で、20~30%デジタルの部署で仕事をする等の機会を設けるのは分かりやすくおススメとのこと。最近増えてきている事例だと、社内副業もあるという話も。また、GoogleJapanが独自に行っているプログラムで、社外の方が20%Googleのプロジェクトで副業で働くという取り組みを紹介。これは日本の伝統的な組織で働いてる方が20%Googleで働くことにより、デジタル経験を積めたり、ダイバーシティインクルージョンも含めた働き方や、会議の仕方まで吸収して帰ってきて、それを会社の中で推進する責任者になる事例が出てきているとのこと。また、相互副業として、「能力開発をすると本業のパフォーマンスが上がる」という公式のもと、企業が相互に副業し給料も支払われる仕組みなども始まっているとのことでした。

・今後のリスキリング、スキルの可視化について
 現在、日々新しいスキルや職種がどんどん生まれているので、人間がすべてのスキル評価をするのは不可能に近い状況が生まれているとのこと。そこでサポートツールとして、AIを使ってビッグデータからスキル評価を行う事例が進みつつあるそうです。そこでAIなどの力を借り、価値を評価していくということを海外では「スキルステック」というジャンルで広がりつつあるとのこと。

・クロストークの締めに3名からメッセージ
 日本の今の現状を見ると、ある種の強制力を持ってリスキリングをやっている会社は未だほぼない。この一つの理由は、会社や経営側から、新しい事業・会社の方向性の具体的なプランがないので実際にリスキリングを進めることができないことに起因します。
日本でもデジタル化が本格的に始まったものの、進め方が遅いため、コロナ禍で日本が成長した分の何倍もアメリカヨーロッパは成長したことで益々差が開き、相対的に我々は落ちていってしまっている現実があります。今年のデジタル競争ランキングは29位になり、アジアパシフィック地域でも14カ国中9位になりました。このリスキリングをやるかやらないか、できるのかできないのかが、今、日本に残された最後のチャンスだと思っています。

環境が今常態化しているので、成長事業を作って、企業も個人も成長して給与も上がりハッピーになるためには、もうリスキリングは避けて通れない話です。若い方たちの働く動機を聞くと、「自分を成長させてくれる会社で働きたい」がここ数年間1位です。会社は個人の成長を支援するためにリスキリングを支援するのがあたりまえ、もし機会が提供できないとなると優秀な人が今後入ってこなくなる現実があります。

今はいろんな意味で過渡期です。特にデジタル分野のリスキリングは避けて通れないでしょう。社内の座組みや新しい取り組みなど等、社内でまず仲間を見つけるのが無理でお困りでしたら我々にお気軽にご相談ください。
キャリア・人事領域・リスキリング・キャリア自律・人的資本というのは、これからの日本を変えていくエンジンです。だからこそ、人材開発・人事、CHROや経営者が一緒に組織を上手に作り変えていって欲しいですね。

以上、当日は300名を超える方にご参加いただき、質疑応答でも多数の質問が出る中で、今後の日本の成長、リスキリングについて考える機会となりました。
 

  • 「人的資本の最大化に向けた 組織強化のための“リスキリング”とは」セミナー詳細

●名称:人的資本の最大化に向けた 組織強化のための“リスキリング”とは
●トークテーマ:
・労働力不足に対する現状の捉え方は?
・日本のリスキリング度合と現状の課題は?
・意識改革:キャリア自律向上と踏み出す支援は?
・人事としてまずはやるべきことは?
●開催日時:2023年3月2日(木)13:00~14:30
●参加費:無料
●パネリスト:
・後藤 宗明氏(一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事、SkyHive Technologies日本代表 )
・田中 研之輔氏(法政大学キャリアデザイン学部教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事)
・上林 周平(株式会社NEWONE 代表取締役社長)

  • NEWONEが提供するサービスご紹介

①リスキリングのヒントになる「キャリアクラフト診断」
 人生100年時代ともいわれ、終身雇用の崩壊も叫ばれる現代においては、「こういうキャリアが正解」といった共通の指標がなく、より多様なキャリアを築くことができるようになってきました。
しかし、多様なキャリアを築けるがゆえに、「何をすればよいか分からない」という悩みの声も世代を問わず聞かれるのが現状です。NEWONEでは、リスキリングのヒントになる「キャリアクラフト診断」サービスを提供しています。

本サービスは「キャリアそのものは多様であったとしても、キャリアを豊かにする行動は共通した指標を定義できる」という思想のもと、弊社の顧問でもある法政大学キャリアデザイン学部の田中 研之輔教授と「キャリアを豊かにするための60の行動」を定義して開発した、行動をセルフチェックするための診断です。
▼プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000047.000038467.html
▼お問合せ
https://new-one.co.jp/careercraft-survey/

②戦略人事の学校
 人事に期待が高まる一方で、人事という役割が大きな転換を迎えており、難易度が上がることで、誰もがどこまでやればよいのか、何が大事なのか、見えにくくなってきています。そこで、我々は人事の面白さと複雑さ・そして今後のあるべき姿について、理論的な学びだけでなく、他者とのディスカッションを通して気づきを得る場を作り、経営と人事をブリッジし戦略・実行を推進できる『人的資本を活かすための戦略人事の学校』を開校いたしました。
本アカデミーでは、企業の人事部の皆さまを対象に、人事自体の実行力向上を第一の目的に掲げ、個人の変革と職場での実践支援を行います。

●学校名称:『人的資本を活かすための戦略人事の学校』
●開催日時:2023年5月18日(木)より全6回
●応募条件:
・人事領域から組織を強くしたいという強い想いがあり、自分自身を変革させたいと思っている
・CHRO等の役員や人事部長から、将来の人事の主要ポジション候補として期待して任命された方
※自薦/他薦は問いません
●実施形式:オンライン(Zoomで実施予定)

▼プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000038467.html
▼お申込み
https://new-one.co.jp/seminar/hr-academy/
 

  • 株式会社NEWONE 会社概要

「他にはない、新しい(new one)価値を生み出す」を社名に掲げ、エンゲージメントをテーマに、「個人の意識変革」と「関係性の向上」を中心とした企業向けコンサルティング、人材育成・組織開発を提供。Softbank、カゴメ、三菱地所ホームをはじめ、多数の企業様の支援を実施しています。

*2022年7月に企業経営者や人事担当者、マネジメント層と接してきた経験をもとに、これからのリーダーに必要なマネジメントのノウハウ本『人的資本の活かしかた』発売しました。
URL:https://www.amazon.co.jp/dp/477621217X

・所在地:東京都千代田区隼町2-19-4F
・設立日:2017年9月1日
・代表者:上林周平
・事業内容:コンサルティング、企業研修・組織開発等
・URL:https://new-one.co.jp/

【本件に関する企業様からのお問い合わせ先】
https://new-one.co.jp/contact/
 

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