JR東日本シンガポール事務所が運営するコワーキングスペースOne&Coが、大学発ディープテックを東南アジアで事業化支援する「Adapt」の提供を開始しました。

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JR 東⽇本シンガポール事務所が運営するコワーキングスペースOne&Co Singaporeは、シンガポールのベンチャービルダーであるOriggin Pte Ltd.(以下「Origgin」)と連携し、⼤学を中⼼とした⽇本のDeep-Tech を東南アジアで商⽤化するための事業プラットフォーム、「Adapt」の提供を開始します。⽇本の眠れる技術(Deep-Tech)とシンガポールの政府・企業が⼀体となってベンチャーを創業し、直⾯する社会課題と向き合います。

Adapt のスキームを活⽤することで、海外展開時によく聞く「資⾦や⼈材確保の問題」、「東南アジア⼤企業とのコラボレーション」、「最適な場所での実証実験(POC)」等の課題をクリアし、現地法人設立から株式配分までのフローをスムーズに進めることが可能となります。

​One&CoやJR東日本シンガポール事務所は大学の技術シーズ発掘や事業立ち上げの支援〜拠点の提供などを、Origginは技術の目利きや商用化までの支援を担うことで、日本のDeep-Techが東南アジアで事業化・収益化するために必要なプロセスを網羅していきます。

 

 

1:企画背景と目的

これまで、海外進出を目指す日系企業様のお話を数多く伺ってきましたが、「⽇本で洗練させた事業を海外に輸出する」モデルで海外進出を目指す企業様が多い印象があります。そして、多くの企業様が海外でニーズを把握しきれず、撤退する(進出しない)という現実に直⾯しています。そういった実情から私たちは「Born Globals(創業時から世界展開を⾒据えた事業モデルを構築する企業)」を増やすことが重要であると考えるようになりました。そこで昨年から、シンガポール国内の⼤学関係者、⼤学発スタートアップ、⼤学VC、特許庁などと議論を重ね、徐々にプラットフォームの必要性やあるべき姿が⾒えてきました。同時に、とても有意義で可能性ある取り組みである確信を得られたことから今回、「Adapt」というプロジェクト名で広く公開しつつ、連携に興味を持たれる⼤学(や企業・団体)を募集することに決定しました。

 

*Deep-Tech:深刻な病気や社会課題などのDeep-Issueを解決する技術。年々重要性を増すSDGsに関連した社会課題を解決するイノベーションの源泉としてDeep-Techへの注目度も高まっている。*Deep-Tech:深刻な病気や社会課題などのDeep-Issueを解決する技術。年々重要性を増すSDGsに関連した社会課題を解決するイノベーションの源泉としてDeep-Techへの注目度も高まっている。

 

2:Adapt事業創造プロセス

⽇本のDeep-Tech研究(室/者)は、One&Co もしくは JR東⽇本シンガポール事務所を通じてAdapt に参加いただきます。その後、参加者はOrigginとも連携しながらシンガポールに拠点を構え、技術シーズを育て、東南アジア各国での事業展開を進めていきます。Adaptは、事業化スキーム開始から2 年を⽬安に研究者が研究進化に専念しながら、独立できる環境づくりをサポートしていきます。

 

また、これら事業化プロセスに⽇本の研究者/学⽣/若⼿社会⼈等を参画させることで、経営⼈材の育成も同時に狙えるようにしていきます。

 

 

3:注力領域と今後の展開

まずは世界的にも⾼い競争⼒を維持し、産学官が連携したスタートアップエコシステムを誇るシンガポール政府が注⼒している「①Agri-food」、「②Sustainability」、「③Advanced engineering」領域にフォーカスし、徐々に領域を広げていく予定です。今後のさらなる展開に是⾮ご期待ください。

 

4:プロジェクトメンバーからのコメント
阿部智成|JR東日本シンガポール事務所General Manager
JR東日本グループは、ESG経営を実践し、事業を通じ社会課題を解決することで、地域社会の発展と国際目標「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に取り組んでおります。JR東日本シンガポール事務所は、日本とシンガポールをつなぐビジネスプラットフォームとして、2019年にコワーキングスペースOne&Coの事業を開始し、これまで3年以上シンガポールで運営をしてきました。一連の事業活動を通じて、東南アジア諸国が抱える社会課題に直面するのと同時に、これらの課題に対して日本の大学が有する高い研究開発力の可能性を強く感じており事業創造プラットフォームとも呼べる「Adapt」の立ち上げに至りました。日本の大学発Deep-Techを活用・商業化し、世界の社会課題を解決することで、日本の潜在力の高さを世界に発信したいと思っております。

 

伊藤隆彦|One&Co General Manager / 株式会社CO&CO CDO
One&Coの事業責任者として、今まで多くの日本やシンガポール企業、自治体、政府関係者などといろいろなテーマで議論を重ねてきた中で、Deep-Techスタートアップの果たす社会的な役割、ビジネスとしての可能性に大きな魅力を感じてきました。また、東南アジアは多くの社会課題に直面していますが、すでに日本にある技術はGame Changerになりうる可能性が十分にあります。「骨太方針2022」においてもイノベーション創出の拠点である大学の抜本的強化に着手、世界と伍する研究大学の実現を目指していることから、私たちは日本の大学研究に大きな期待を抱いております(東南アジアは多様な社会課題を有する一方、タイ・インドネシア・マレーシアなどの大学の研究力は高くなく、日本の大学が果たせる役割は大きいと感じています)。Adaptを通じ、大学の「研究成果の商業化実績積上げ」・「大学からの経営層(特にポスドク)輩出」・「特許使用料による収益増加」・「投資家からの資金調達を通じた研究開発費確保」・「(事業拡大時の)雇用拡大」などに貢献していきたいです。今ある日本の研究技術と社会課題を出来るだけ早く繋ぎ合わせ、適用(Adapt)させていくことが、日本の強みとなると信じています。

Clarence Tan|Origgin Pte Ltd Founder
Origgin VenturesはVenture Co-Creationという独自のフレームワークを活用し大学或いは研究機関の東南アジアにおける商業化支援を行う企業です。2017年の創業以降、シンガポール国内外の大学から30社以上のDeep Techスタートアップの立ち上げ支援および投資を行ってまいりました。日本の大学は長年にわたり高い研究力を維持し、とりわけ生命科学、医学、工学、情報技術などの分野において、豊富な研究人材とリソースを有しています。また、現在急速に経済が発展している東南アジアでは、効率性・生産性・Quality of Lifeを向上させる先端技術への需要が大きく、巨大な市場が存在しています。そのため、今後の東南アジアにおいて日本のDeep-Techを活用することで生まれる可能性は非常に高いと考えています。Origgin VenturesはAdaptのパートナーとして、日本の素晴らしい研究者の方々とともに社会変革をもたらしていくことを、心から楽しみにしています。

Adaptのスキームで日本の大学/企業等の研究を東南アジアでビジネス化し、地球規模で課題解決しながら、日本の研究開発力の発信につなげていきます。プロジェクトに参加したい大学(や企業)のご担当者は、下記webサイト内にあるメールアドレス宛までお気軽にご連絡ください。
https://www.oneandco.sg/ja/community/adapt/

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