- 共同研究の背景・目的
超高齢化の急伸を背景に多様なニーズに対応する非薬理的な認知機能低下抑制プログラムの開発が益々求められています。認知的活動による介入の有効性は、脳機能の維持を目指した認知的予備力および脳予備力の向上に基づいており、新規技術の習得が記憶機能の向上に寄与することが報告されています。
そのような中、ハンドメイド講座の開発や全国約1万3千人の認定講師を組織化し、生涯学習事業を展開する株式会社オールアバウトライフワークス(本社:東京都台東区、代表取締役社長:菱倉 英一、以下「ライフワークス」)をグループ会社に持つオールアバウトと健康長寿医療センター・京都橘大学は、2020年度より共同研究を開始しております。2021年度は「MCI・軽度認知症の人に対する趣味教室の効果検証:交互法無作為化比較試験」を実施し、その結果を「第17回日本応用老年学会大会」にて発表いたしました。
- 研究概要
大和市、京都市、新潟市、湯沢市、福岡市を実証フィールドとしてMCI/軽度な認知症の高齢者69名を対象に、ライフワークスが開発した趣味教材を使い、専用の寄り添い講座を履修した「楽習フォーラム」の認定講師が趣味教室を実施しました。講座の開始と終了後に介入群と対象群の両群に対して個別面接式のインタビューを実施し、多種にわたる定量的なデータや定性的なデータを収集し分析を行いました。
- ライフワークスが開発したMCI/軽度な認知症の人向けオリジナル教材例
- 研究結果
「令和3年度MCI/軽度な認知症の人に対する無作為化比較試験による趣味講座の効果検証」
1.本人の心理効果への介入効果
・失敗に対する不安において有意な群間差が見られた。
・自尊感情への好影響が見られ、自尊感情の維持・向上には一定期間の関与が必要であることが示唆された。
2.認知機能への介入効果
・言語機能に介入効果がみられ、講師や家族との交流の増加が寄与している可能性が示された。
3.QOLを向上する機会の創出
・講座への参加により、本人および家族の語りからメンタルヘルス改善の可能性が示唆され、今後の新たな教材開発やプログラム活用に関する展望的な知見が得られた。
以上の研究結果から、ものづくりを題材とする趣味講座への参加は、認知症の共生と予防の両面を満たす介入方法となる可能性があることが示されました。
- 今後の展開
今回の実証により、認知症共生に関する特別な講習を受けたインストラクターによる専門教材を用いた指導を連続して行う趣味講座は、認知機能への好影響や自己効力感の向上、自尊感情の維持につながる可能性があることがわかりました。2022年度は、趣味講座を有償で提供した場合の講座参加希望率・参加率および、長期的な講座の実施による本人及び介護者のQOLや介護負担感・認知機能に及ぼす影響を検証し、この研究で得られた知見に対してさらなる実証を重ねて、2023年度の社会実装を目指してまいります。我々の取り組みに興味をお持ちいただきました企業や団体の皆様がいらっしゃいましたら、是非お声掛けください。
■お問い合わせ先
高齢者向けの趣味教室の導入をご検討もしくは、本実証事業の進捗・成果についてご興味のある、企業・自治体・各種団体の皆様、お気軽にお問合せください。
株式会社オールアバウトライフワークス 新領域推進室:ウェルネス担当
https://allaboutlifeworks.co.jp/form_wel.php
【株式式会社オールアバウト 会社概要】
■所在地 : 東京都渋谷区恵比寿南1-15-1 A-PLACE恵比寿南3F
■代表者名: 江幡 哲也
■設立年月日 : 1993年3月25日
■事業内容 : 専門ガイドによる総合情報サイトの運営、インターネット広告事業
■資本金 : 12.85億円(2022年9月末現在)
■URL : https://corp.allabout.co.jp/
【株式会社オールアバウトライフワークス 会社概要】
■所在地 : 東京都台東区浅草橋3-1-1 TJビル4F
■代表者名 : 菱倉 英一
■事業開始 : 1997年7月
■事業内容 : 生涯学習事業
■資本金 : 7,600万円
■URL : https://allaboutlifeworks.co.jp/