帝国データバンクのデータベースでは、卯年に創業した企業は全国11万6434社が確認された。最も多いのは48周年(1975年/昭和50年創業)で2万2359社となり、人間でいう「還暦」で60周年(1963年/昭和38年)を迎えるのは1万6062社となった。また、業歴100年を超える老舗企業は1834社で全体の1.6%を占め、120周年の「大還暦」は415社が判明した。ピョンピョンと跳ねるうさぎのような成長が期待される「卯年企業」には、どのような特徴があるのだろうか。
- <売上高別> 9割以上が「10億円未満」、「1000億円以上」は全体のわずか0.1%
- <社長年齢別> 周年を追うごとに社長は高齢化、特に48周年は半数弱が70歳以上
- <還暦企業> 60、120…「周年×卯年」企業は1万6512社 記念イベントの開催も?
- 243社が判明 漢字やひらがなのほか、Rabbit/Bunny/Lapinなどさまざま
- 企業名だけではない?商品のモチーフなどにも数多く登用、各社こぞって使用!
<売上高別> 9割以上が「10億円未満」、「1000億円以上」は全体のわずか0.1%
「卯年」企業を売上高別にみると、56.0%が「1億円未満」となった。次いで「1~10億円未満」が35.8%と多く、10億円以上の企業は8.2%となった。
わずか0.1%となった「1000億円以上」の140社の内訳をみると、関西電力(72周年)などエネルギー系企業が数多く並ぶ。また、東京海上日動火災保険(144周年)など保険業も多く、髙島屋(192周年)など知名度の高い小売業もみられる。
<社長年齢別> 周年を追うごとに社長は高齢化、特に48周年は半数弱が70歳以上
社長年齢別でみると、12周年・24周年では50代がそれぞれ3割台で最も割合が高い。周年を重ねると、36周年では7割が60歳以上となり、48周年では70歳以上が半数に迫るなど社長の高齢化が進む。一方で、60周年、72周年となると小幅ながらも「若返り」がみられる。後継者への事業承継が行われるタイミングであることが背景にあると考えられる。
<還暦企業> 60、120…「周年×卯年」企業は1万6512社 記念イベントの開催も?
60年で干支が一回りして「還暦」を迎える企業は、周年も同時に迎える大きな節目となる。そうした還暦企業は最長420年の5社を含めて1万6512社が確認された。還暦(60周年)が最多の1万6062社となり、大還暦(120周年)は415社だった。
2022年は東京ドームシティ内にある「後楽園ホール」が開場60周年を迎え、記念イベントが開催されるなど祝賀ムードに包まれた。こうした催しは2023年も各所で行われるかもしれない。
「うさぎ」にちなんだ名を冠する企業
243社が判明 漢字やひらがなのほか、Rabbit/Bunny/Lapinなどさまざま
社名に「うさぎ」に関連する社名を冠する企業は243社確認された。最も多いのは漢字表記の「兎/卯」が99社で、全体の40.7%と最多となった。なかでも代表的なのは、外食チェーンとして全国に400店舗以上を構えるなか卯(東京都港区)。「卯」の文字が観音開きを連想させること、うさぎのように飛躍し繁盛できるようにという縁起を担いだ由来がある。また、看板商品「うどんすき」を軸に関西圏に展開する美々卯(大阪市中央区)は創業から100年近くとなる。
次いで「ラビット」など外国語を取り入れているのは82社(構成比33.7%)で、車買取店「ラビット」を展開するラビット・カーネットワーク(東京都千代田区)が代表的。他にも、子うさぎを表す英語の「Bunny」、フランス語の「Lapin」などを冠する企業も確認された。ひらがな・カタカナ表記の「うさぎ/ウサギ」では62社(同25.5%)を数え、東海・関東地方で薬局や介護関連事業などを手掛けているうさぎ薬局(静岡県伊東市)などがある。
企業名だけではない?商品のモチーフなどにも数多く登用、各社こぞって使用!
「うさぎ」を重用するのは企業名だけではない。お菓子やキャラクターなどのモチーフとして数多く使用されており、例えばプロ野球・讀賣巨人軍のマスコット「ジャビット」はその代表例。また、東証プライム上場の日本曹達(東京都千代田区)では企業ロゴマークにうさぎが用いられており、創業間もない頃のエピソードにうさぎが登場することや、「山を駆け上がることに長け、下ることを苦手とする」(同社HPより)ことを理由としている。
2023年は、十干と十二支で60通りある「六十干支」のなかで「癸卯」にあたり、「癸」は十干で最後となることから、終わりとともに生命が誕生する状態を意味しているともいわれる。新たな芽吹きとともに、うさぎのごとくジャンプアップする企業が数多く表れることに期待したい。