清原工業団地スマエネ事業における更なる省エネ・省CO2の取り組み ~4社連携した蒸気供給余力の予測・可視化と活用推進~

この記事は約4分で読めます。
カルビー株式会社(代表取締役社長 兼 CEO 伊藤 秀二、以下「カルビー」)、キヤノン株式会社(代表取締役会長兼社長 CEO 御手洗 冨士夫、以下「キヤノン」)、久光製薬株式会社(代表取締役社長 中冨 一榮、以下「久光製薬」)、東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(代表取締役社長 小西 康弘、以下「TGES」)は、このたび、清原工業団地スマエネ事業(*1)(以下「本事業」)において、更なる省エネ・省CO2に向けた取り組み(以下「本取り組み」)を開始しました。

本取り組みの全体像本取り組みの全体像

本事業は、2019年度に開始し、清原スマートエネルギーセンター(以下「清原SEC」)に設置されたコージェネレーションシステム(以下「CGS」)で発電した電気と、発電時に発生した廃熱で製造した蒸気や温水を3社7事業所(*2)にて面的利用をすること等により、単独事業所では難しい約20%(*3)の省エネと省CO2を実現しています。
一方、電気と熱の需要のバランスは、時間、季節、生産状況により異なるため、CGSから発生する廃熱を活用しきれない時間が存在します。本取り組みは、廃熱由来の蒸気供給余力を予測・可視化し、蒸気利用設備の導入や設備の運用改善により有効活用することで、従来から2ポイント以上の省エネと省CO2を実現するものです。
 

これまでの3社7事業所の電気・蒸気需要と供給のイメージこれまでの3社7事業所の電気・蒸気需要と供給のイメージ

<具体的な取り組み>
①新開発「蒸気供給余力予測ロジック」(TGES清原SEC)
エネルギーマネジメントシステム「SENEMSⓇ」(*4)に蓄積した清原SECの設備稼働データ、気象データ、各事業所のエネルギー負荷データを分析し、新たに開発した「蒸気供給余力予測ロジック」を「SENEMSⓇ」の機能に追加しました。一週間先までの蒸気供給余力を予測し、各事業所で可視化することで、蒸気利用設備の効率的な運転を目指します。

各事業所で確認可能な蒸気供給余力および利用可能量の予測イメージ各事業所で確認可能な蒸気供給余力および利用可能量の予測イメージ

②廃熱由来の蒸気を活用した食品加工用蒸気の製造(カルビー新宇都宮工場)
カルビー新宇都宮工場では、これまで食品に直接触れる蒸気を都市ガス焚きの専用ボイラで製造し使用していました。このたび、廃熱由来の蒸気を活用して食品加工用蒸気を製造するリボイラ(*5)を清原SECに導入することで、都市ガスの使用量を削減します。

供給フロー図(カルビー 新宇都宮工場)供給フロー図(カルビー 新宇都宮工場)

③冷凍機の運転パターン変更による蒸気供給余力の活用(キヤノン光学技術研究所・久光製薬宇都宮工場)
キヤノン光学技術研究所、および久光製薬宇都宮工場には、空調等に利用する冷水製造の熱源として、電気を使用するターボ冷凍機と、蒸気を使用する吸収式冷凍機が設置されています。通常、ターボ冷凍機を中心に運用していますが、主に夏場の蒸気供給余力がある時間帯に、ターボ冷凍機から蒸気吸収式冷凍機へ運転を切り替えることで、電力使用量を削減します。

供給フロー図(キヤノン 光学技術研究所 久光製薬 宇都宮工場)供給フロー図(キヤノン 光学技術研究所 久光製薬 宇都宮工場)

 4社は継続的に事業者間で連携しながら、エネルギー高度利用による環境負荷の低減に取り組み、政府が掲げる2050年の脱炭素社会の達成に貢献してまいります。

*1:清原工業団地で実現したスマートエネルギーネットワーク事業。
*2:7事業所の内訳
カルビー:新宇都宮工場、清原工場、R&Dセンターの3事業所
キヤノン:宇都宮工場、宇都宮光学機器事業所、光学技術研究所の3事業所
久光製薬:宇都宮工場の1事業所
*3:清原SECから送られる電力と熱(蒸気・温水)を対象とした本事業開始前の2015年度と比べた削減率。2021年度実績:原油換算▲約10,400kL/年、CO2削減量▲約21,000t/年。
*4:エネルギー使用量を可視化し、電力・熱負荷傾向を予測することで、CGS等エネルギー設備の最適運転制御を行うエネルギーマネジメントシステム。
*5:蒸気を熱源として蒸気を製造する熱交換設備。カルビー新宇都宮工場の給水を加熱し、廃熱蒸気で食品加工用の蒸気を製造します。

タイトルとURLをコピーしました