2022年11月6日よりCOP27(国連気候変動枠組条約 第27回締約国会議)が開催されるなど、気候変動により起こる「損失と被害」を未然に防ぐためにも、脱炭素化への効果的な施策が注目されています。中でも、住宅の断熱性能を高めることは、暖房によって温められた空気が住宅の外へ逃げていくことを防ぎ、「節電」、「節ガス」に直結することから、CO₂排出量削減への大きな貢献が期待されています。さらに、経済産業省、国土交通省及び環境省が連携し、制度面での支援強化の動きも進んでいます。家庭部門の省エネを強力に推進するため、「窓の断熱改修」をはじめとした住宅の断熱性を高める取り組みに対して計2,800億円分の補助制度が新たに盛り込まれました。
加えて、毎年11月以降の寒い時期に多く発生する入浴中の事故による死亡者数は年間19,000人程といわれています(※2)。原因のひとつとされる「住まいの温度差」等が引き起こす「ヒートショック」は、住まいの断熱性能を高め、温度差を少なくすることでリスク低減につながることが分かっています(※3)。
しかしながら、このような効果が期待される一方で、約5,000万戸ある日本の既存住宅の断熱性能をみると、現行基準(高断熱)の住まいは10%にとどまり、残り90%が低い断熱性能、または無断熱であるというのが現状です(※4)。
本調査はこのような状況を踏まえ、全国の都道府県にお住まいの方々の断熱に対しての意識を把握することを目的に、ご自宅における「寒さ」を中心に調査を行いました。
LIXILでは、窓や玄関ドアの断熱リフォームに加え、ひと部屋ごとに対応した「ひとへや断熱リフォーム」や、住宅一棟まるごと改修可能な「まるごと断熱リフォーム」など、お客様のニーズに応じたさまざまなラインアップをご用意しています。お住まいの家を断熱することによって、家族の大切な健康を守るのと同時に、光熱費やCO₂排出量を抑え、“#省エネ住まいで幸せに”を実現します。
ーーーーー
※1 インプラス(9窓)の場合。数値はあくまでも参考です。ご自宅の状況により異なります
※2 出展:厚生労働省「入浴関連事故の実態把握及び予防策に関する研究について」より
※3 出展:一般社団法人日本サステナブル建築協会「「省エネ住宅」を「健康」の関係をご存じですか?」より
※4 出展:国土交通省「社会資本整備審議会 建築分科会 資料(2021年)」より
- 調査結果詳細
① 比較的温暖な西日本エリアで「断熱」の認知が低い結果に。
約7割が冬にリスクが高まるヒートショックを住まいの断熱で低減できる(※3)と知らなかった。
■全体の約6割が「『住宅の断熱』という言葉を聞いたことがあり、どのようなものかも知っている」と回答。「住宅の断熱」の認知が最も低かったのは島根県の55%で、特に西日本エリアは認知が低い傾向に。
住宅の断熱について「知っている」人が59.7%と半数以上である一方、「知らなかった(よく知らない)」、「聞いたことがなかった」人が合わせて40.3%と、住宅の断熱の認知も未だ低いという課題も分かりました。
都道府県別にみると、最も知らない人が多かったのは島根県の55%で、半数以上にものぼりました。上位5位を見てみると、1位の島根県に続き、3位の大阪府、5位の福井県、香川県、佐賀県、宮崎県と西日本エリアに集中する結果になっています。
<比較的温暖な西日本エリアは冬の室温が寒い>
「スマートウェルネス住宅等推進調査委員会 調査解析小委員会(委員長:伊香賀)第5回報告会(2021.1.26)」による冬季の在宅中平均居間室温の調査では、北海道が19.8℃であるのに対し、最も寒かったのが香川県の13℃、大阪府でも16.7℃と、温暖地、特に西日本エリアほど冬の室温が寒い都道府県が多いという結果が出ています。この室温の温度差が心筋梗塞や脳卒中、肺炎での冬の死亡者数と相関しているとされています。
■「心疾患(ヒートショックなど)の健康リスクを低減する」や「アレルギー症状を緩和する」など、「住宅の断熱」による“健康への影響”を知っていた人は、“快適性”や“省エネ性“よりも低いという結果に。
「住宅の断熱性能を高めることの効果」についての認知を問う設問では、「冬は家の中が暖かくなる(76.6%)」や「夏は家の中が涼しくなる(62.3%)」といった“室内の快適性の向上”についての認知が高かったほか、「光熱費を削減できる(74%)」や「エアコンの効きが良くなる(71.9%)」など“省エネ”に関しての効果についての認知も高い結果となりました。一方で、「心疾患(ヒートショックなど)の健康リスクを低減する(30.6%)」、「アレルギー症状を緩和する(8.1%)」など、“健康への影響”に効果の認知は低い結果でした。
② 寒さを感じる場所第1位は「トイレ」、続いて2位「浴室」、3位「洗面所(脱衣所含む)」がランクイン。
ヒートショックの発生にもつながる、住まいの中の「温度差」には注意が必要。
冬(主に11月~2月)の住まいで寒さを感じる場所として最も多く挙がったのが「トイレ(52.2%)」で、次いで「浴室(51.8%)」、「洗面所(脱衣所含む)(48.7%)」でした。一方で、「リビング(33.6%)」や「寝室(37.7%)」と、普段生活をしている場所では、寒さを感じている人が比較的少ない結果になりました。
住まいの中で感じる「温度差」は、ヒートショックの発生を防ぐ上で気をつけたいポイントの1つです。特に、入浴時は注意が必要なタイミングと言われていますが、リビングなど暖房で温まった部屋から寒い脱衣所で衣服を脱ぎ、温かい浴室に入ることなどで血圧が乱高下し心臓に大きな負担がかかり、ヒートショックのリスクを高めてしまうのです。また、夜間、温まった布団からトイレに行く際なども、温度差が大きくなるため注意が必要となります。
そのため、「家をまるごと断熱する」、浴室や洗面所、トイレなど「寒いと感じる場所を部分的に断熱する」、熱の出入りが大きい窓やドアなどの「開口部を断熱する」、といった対策を行い、住まいの室温を一定に保ち「温度差」を減らすことは、ヒートショックなどのリスク軽減から見ても効果的と言えます。
<リビングとトイレで最大12.1℃の差がある場合も。温度差を減らし、ヒートショックのリスクを軽減。>
住宅の断熱性能の違いを体感出来る、「住まいStudio」には同じ冬の時期の温度条件下(0℃)で異なる断熱性能の基準で作られた3つの部屋があります。3つの部屋を比較すると、リビングとトイレの温度差は昔の家になるほど大きくなることが分かります。
昔の家(昭和55年基準)の場合、居間(暖房室)とトイレ(非暖房室)の温度差は12.1℃、今の家(平成28年基準)では9.6℃と、いずれも10℃近い温度差があるのです。
一方で、断熱性能を高めたこれからの家(HEAT20 G2)では、その温度差が5.3℃と2つの基準の家と比較すると半分近くになっていることが分かります。部屋ごとの温度差が少なくなるということは、その分、部屋間を移動する際の身体への負担が小さくなることにも繋がりますので、結果的にヒートショック発症リスク軽減などにも影響をおよぼすことが出来るとされています。
③ 冬の住まいの寒さ対策は、「暖房機器の2台つかい」が「フローリングでのスリッパ」に次いで第2位。
断熱リフォームで省エネ性能を向上することで、「節電」・「節ガス」しながら住まいの快適も向上させる。
冬(主に11月~2月)に住まいで寒い時にとっている行動や対策を聞く設問では、「フローリングの上ではスリッパを履くようにしている(35.2%)」に次いで、「エアコンとストーブ、こたつとストーブなど複数の暖房を同時に使用する(33%)」が、3番目に多い「ひざ掛けを頻繁に使っている(20.9%)」と10%以上の差を開く結果となりました。
“暖房機器の2台つかい”をしている場合、断熱リフォームなどで省エネ性能を向上させることで、暖房機器の使用を抑えられ、節電・節ガスにつながります。外壁や床、屋根など、熱の出入りがある場所をしっかりと断熱し、気密性を高めることにより、暖房で空気を温めるエネルギーを無駄にせず、同時に快適な室温も保つことが出来ます。
<節電のポイントは窓など「開口部」。1日で設置ができる内窓で年間20,000円(※1)の冷暖房費節約にも>
冬の暖房時の場合、58%の熱が窓やドアといった開口部から出入りしています。そのため、窓の部分的な断熱も非常に効果的とされています。
そのひとつとして内窓を設置することも非常に有効です。内窓を設置することで、既にある窓との間に空気の層がうまれ、断熱材の役割を果たすことができます。例えば、9カ所の窓に内窓(インプラス)を設置した場合、748kwh(※1)もの節電になり、年間冷暖房費にして約20,000円(※1)も節約することが可能です。取付けは、1窓あたり約60分ほど(※2)で出来るので、近年、手軽に出来る断熱リフォームとして行う人が増えています。
※1インプラス(9窓)の場合。数値はあくまでも参考です。ご自宅の状況により異なります。
※2現場の状況により施工に必要な時間は異なりますので、目安とお考えください。
④約8割が冬(主に11月~2月)に、現在の住まいでの寒さを感じながら過ごす一方で、断熱リフォームをしたことがある、検討したい人は約1割と、住まいの寒さを我慢している結果。
普段生活している住まいで冬(主に11月~2月)に「寒いと感じる」または「一部の部屋では寒く感じる」と現在の住まいで寒さを感じている人が79.4%と高かったのに対し、「検討したことがあるがリフォームはしていない」または「検討したこともない」人が約9割と、自宅での寒さを感じながらも断熱リフォームには至っていないという実態も分かりました。
【調査概要】
LIXIL「住まいの断熱と健康に関する調査」
■調査方法:インターネット調査
■調査期間:2022年9月実施
■調査地域:全国
■調査対象:4,700人(各都道府県100人)
20~50代男女、既婚
■業務委託先:楽天インサイト
<断熱に関する様々な情報を発信しています>
LIXIL公式note「断熱先生のダンネツノート」:https://note.com/dannetsu_note
LIXILの断熱リフォーム:https://www.lixil.co.jp/shoenesumai/dannetsu/
About LIXIL
LIXILは、世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいを実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。ものづくりの伝統を礎に、INAX、GROHE、American Standard、TOSTEMをはじめとする数々の製品ブランドを通して、世界をリードする技術やイノベーションで、人びとのより良い暮らしに貢献しています。現在約55,000人の従業員を擁し、世界150カ国以上で事業を展開するLIXILは、生活者の視点に立った製品を提供することで、毎日世界で10億人以上の人びとの暮らしを支えています。
株式会社LIXIL(証券コード: 5938)は、2022年3月期に1兆4,286億円の連結売上高を計上しています。
LIXILグローバルサイト:https://www.lixil.com/jp/
LIXIL Facebook(グローバル向け):https://ja-jp.facebook.com/lixilglobal/
LIXIL Facebook(日本国内向け):https://www.facebook.com/lixilcorporation