2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて、再生可能エネルギーや蓄電池、電気自動車といった分散型エネルギーリソース(Distributed Energy Resources、以下 DER※2)の最大限の活用、およびそれを支える送配電設備の形成が必要となっています。
今後の送配電設備計画には、DER普及や人口動態等の地域差をきめ細かく反映することが必要です。その際、政策・技術・地域特性といったさまざまな要因の影響を受けるDER導入量や電力潮流を地域単位で予測できれば、より精緻で合理的な設備形成が可能になります。
これまでMRIと中部電力パワーグリッドは、日本におけるDFESの在り方検討やDFESプロトタイプ構築を進めてきました。その結果、DFES構築・運用の有効性に一定のめどが立ったため、日本初の取り組みとして、日本の一般送配電事業者の送配電設備計画業務に適用可能なDFESの本格開発に着手します。
概要・特徴
今回の開発では、中部電力パワーグリッドの電力需要予測ノウハウと、MRIの送配電分野における政策・制度に関する知見および独自の予測アルゴリズムを組み合わせ、主に次の機能の実現を目指します。
- エネルギー政策・技術動向、経済指標・人口動態等の地域特性に基づく需要成長・DER普及を考慮した、きめ細かい供給エリア・時間単位の将来需要予測機能
- 予測に用いるインプットデータの更新や、需要予測結果の確認・評価・改善を柔軟・容易に行えるユーザーインターフェース機能(イメージ図参照)
[中部電力パワーグリッドとMRIのDFES開発イメージ]
今後の予定
両社は、2023年度の中部電力パワーグリッドエリアを対象としたDFESの運用開始を目指し、予測機能やユーザーインターフェースなどの開発を進め、運用開始後は中部電力パワーグリッドにおいて、需要予測の高度化を図るとともに、把握したDERのポテンシャルを活用した合理的な設備形成・運用を目指します。また、本取り組みを通じて、MRIは、全国に対応したDFESを展開することにより、一般送配電事業者のカーボンニュートラルを支える送配電設備形成を支援するとともに、政策提言等を通じて日本におけるDFES普及を目指してまいります。
※1:地域別需要予測(Distribution Future Energy Scenario):数十年先の将来を対象に、配電線の電力供給エリア程度の地域粒度および1時間程度の時間粒度でDER導入量、電力潮流を予測する機能。
※2:分散型エネルギーリソース(Distributed Energy Resources):需要家の受電点以下に接続されているエネルギーリソース(発電設備、蓄電設備、需要設備)、および系統に直接接続される発電設備、蓄電設備を総称するもの。
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