【登壇レポート】SAP Concur Fusion Exchange 2022 JAPAN – EX向上とガバナンス確保を両立させる承認レス設計の実践知

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9月13日と27日に開催された「SAP Concur Fusion Exchange 2022 JAPAN」に、Ridgelinez株式会社 Senior Manager 菊池貴文が登壇し、「経費精算におけるエンプロイーエクスペリエンス(EX)向上とガバナンス確保を両立させる承認レス設計」について解説しました。セッションの概要を紹介します。
経費精算プロセスにおけるEX向上施策と承認レス導入の課題
昨今EX(従業員が企業や組織の中で体験する価値)向上の重要性は高まっており、各社、経費プロセス向上化の施策として、入力レス、承認レス、キャッシュレス、ペーパーレスなど、様々な取り組みを実施しています。特に承認レスプロセスにおいては、承認工数の削減を追求すると、ガバナンスの強度が維持できない(※図1)課題があり、このトレードオフ関係を解消するカギとなるのが、経費申請内容のチェックの自動化です。

あらかじめ申請内容を自動化してガバナンス強度を底上げし、その上で人による承認を追加するプロセスを設計することで、承認工数削減とガバナンス強度確保の両立が可能となります。しかし、多くの企業は、この理論を理解できても、実際の設計で課題に直面することも少なくありません。そこで、解決策の一例をRidgelinezの取り組みを例に挙げてご説明します。
 

図1 承認レス導入の悩み~承認工数とガバナンス強度の関係~図1 承認レス導入の悩み~承認工数とガバナンス強度の関係~

自動化の全体設事例:Ridgelinezにおける承認レス導入
Ridgelinezは、経費精算の申請レスと承認レスを2022年度中に実現することを掲げ、2021年7月には、SAP Concurの運用を開始しました。同年10月から2022年3月までの6ヶ月で承認レスを設計・実装することで4月からは全社で現場承認を廃止しました。

現場承認ゼロのために、実施した施策は以下の4つです。

(1) 申請時の自動チェック:ミスがあった場合、コミュニケーションツールのSlackで通知され、申請者が修正 
(2) コーポレートチェック高度化 :実務メンバーは、データ分析と自動照合の結果に基づき疑わしい伝票またはリスクが高い伝票を重点的にチェック
(3) 経営層による、経費利用傾向と適切性の俯瞰チェック:経費タイプ毎の合計値や高頻度利用者などの実績を月次でレポートし、経営層が適切性をチェック
(4) 経費利用ポリシーの明確化:自社の行動指針に紐づけて、自律的な経費利用を促すとともに、不正が疑われる場合など必要に応じて説明責任が生じることを明示
 

図2  Ridgelinezにおける承認レス導入全体像図2 Ridgelinezにおける承認レス導入全体像

これら4つの施策を実現するため、SAP Concurを中心に、申請をリアルタイム検知して自動チェックするiPaaSやチェックエンジンを組み込んだBIツールを外付けしてシステムを構成、運用しています。
 

図3  承認レスを支えるシステム構成図3 承認レスを支えるシステム構成

承認レスの設計 ~承認の分解と統制の統合
承認レスの設計は、(1)承認目的(架空申請や入力ミスの検知など)の分解、(2)承認目的に見合った個々の自動チェックの設計、(3)自動チェックと人のチェックの配置・統合という3つのステップで進めます。自動チェックは個々でみると、人による包括的な視点に比べチェック範囲が狭いため、これらを統合しガバナンス強度を確認するプロセスが重要になります。
 

図4 承認レスの設計ステップ図4 承認レスの設計ステップ

下図は交通費の例です。縦軸に承認目的、横軸にチェックのタイミングを並べています。①の入力レスは、入力がないことにより不正・誤謬を防ぐ仕組みであるのでこれを最初のチェックと位置づけ、次に、監査ルール、申請時自動チェックといった形でマネジメントレポートまでのプロセスを定義します。
 

図5 統制の俯瞰チェック(交通費の事例)図5 統制の俯瞰チェック(交通費の事例)

縦軸と横軸の交差点には、自動チェックと人によるチェックをプロットしています。
カラ出張を例に挙げると、コーポレートカードで支払いをしていない交通費は申請できないことで不正・誤謬がされ、③の申請時自動チェックにおいて、予定データや入退室データとの照合により業務に利用したか否かを確認するということを示しています。

本フローを用い、最適なタイミングと手法の組み合わせを設計していくことで、個々に設計された自動チェックが、全体最適を導く仕組みへ組み立てられていきます。

本取り組みにより、Ridgelinezでは現場承認を廃止し、ガバナンス強度を維持しながら経費精算の承認工数85%の工数削減を実現しました。今回ご紹介した経費精算プロセスにおける承認レス化の設計は、他のリスクマネジメント領域にも展開可能です。

Ridgelinezが実施した施策の具体的なステップやチェックフローなどは、本セミナーのアーカイブ視聴でご覧いただけます(視聴可能期間:2022年10月7日~10月21日)。視聴方法については、SAP Concur Fusion Exchange 2022 JAPAN公式サイト(https://www.concur.co.jp/fusion-exchange/virtual-event)をご参照ください。

Ridgelinezでは実践知をもって、承認レス導入による経費精算とリスクマネジメント高度化を支援してまいります。

商標について
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Ridgelinez株式会社 企業情報
社名   :Ridgelinez株式会社
所在地 :東京都千代田区丸の内2丁目6-1丸の内パークビルディング
代表者 :代表取締役CEO 今井俊哉
設立  :2020年4月
代表電話:03-5962-9391
E-MAIL :info@ridgelinez.com
企業URL : https://www.ridgelinez.com

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