【海の豊かさと環境配慮型消費 意識調査】 環境配慮が消費行動に変化を与えているものの、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の達成には認知と行動が不十分

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公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(東京都港区、会長:末吉竹二郎、以下WWFジャパン)は、全国の一般消費者2,876名を対象に「海の豊かさと環境配慮型の消費」に関する意識調査を実施し、SDGs週間に合わせてその結果を発表しました。
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(東京都港区、会長:末吉竹二郎、以下WWFジャパン)は、全国の一般消費者2,876名を対象に「海の豊かさと環境配慮型の消費」に関する意識調査を実施し、SDGs週間に合わせてその結果を発表しました。
 

  • 調査サマリー

・約7割の人が「海の豊かさが失われている」と感じ、その要因に「乱獲などによる海洋資源の枯渇」を挙げた人が半数以上いる一方で、水産物の持続可能性を証明する国際認証の認知度は約1割であり、かつ「海の豊かさを守るために必要な行動」として「持続可能な水産物の商品や購入場所を増やす」を挙げた人は約2割にとどまりました。(調査結果[Q1・Q2・Q4])

・SDGsの目標14のターゲットにも入っているIUU(違法・無報告・無規制)漁業の認知については、約8割が知らないと回答しました。(調査結果[Q1-Q5])

・持続可能な消費に関しては、約3割が環境配慮を理由に「買う頻度が下がった商品がある」と回答し、環境配慮をしていない商品・サービスは「買わない」選択をしていることが明らかになりました。年代別では、特に10代および70代にその傾向が顕著にみられます。(調査結果[Q6-Q7])

・環境に配慮していない行動をとった場合、約半数が「罪悪感」を感じ、環境に配慮された商品を購入すると、約半数が「嬉しい」など、ポジティブな気持ちになっていることが明らかになりました。(調査結果[Q8-Q9])
 

  • WWFの考察およびSDGs達成に向けた行動の必要性

昨今の環境問題への意識の高まりから、環境に配慮された商品・サービスを「購入する」サステナブルな消費が注目を浴びている一方で、本調査結果からは、そうでない物やサービスに対しては「購入しない」という、消費行動が変化している様子が明らかになりました。

 特に、10代の若者世代で、このような「環境に配慮されているかどうか」を、商品・サービスの重要な購入基準とする傾向が顕著に見られました。このことからも、次世代の消費行動が、環境問題への更なる理解と意識の高まりに伴い、その傾向をより強めていくことが予想されます。

調査結果では、プラスチックの廃棄やフードロス、気候変動など、近年その問題が広く認識されるようになってきた問題への対応が関心を集めている傾向が認められましたが、こうした消費行動の変化は、水産物のサステナビリティやIUU漁業のような、SDGsのターゲットに含まれているものの、現状ではまだ認知の低い問題についても、今後拡大してくる可能性があることを示唆しています。

 消費者の意識と行動の変化は、SDGsを達成する上での重要な要素であり、さまざまなビジネスの将来性にも大きく影響を及ぼすものです。特に、IUU漁業のように、国際的にも深刻であるとされながらも、日本では認知や認識が低い問題については、意識を持つ消費者ひとり一人が、単に消費行動を持続可能なものに変えていくだけでなく、自らが社会に働きかけ、環境負荷の大きな製品やサービスの規制や、サステナビリティの実現につながるルールを求め、声を上げていくことが必要です。

 WWFはそうした行動を、SDGs達成を加速させる、消費者に実践可能な強力なのひとつと位置づけ、現在IUU漁業の撲滅に向けた署名活動を展開し、認知の向上とアクションの機会の提供に取り組んでいます。

  •  WWFジャパンが現在公開している署名キャンペーン

IUU漁業撲滅のための署名キャンペーン「奴隷労働や乱獲された魚を私たちは食べている!?対IUU法を強化して、日本の市場からIUU漁業をなくすために、あなたの力を貸してください!」
https://bit.ly/3xHBxpV
 
この署名活動にご参加いただくことで、政府に対し、食用にされる全ての魚種を「水産流通適正化法」(2022年12月に施行)の対象種とするよう求める声を届けることができます。同法の対象となる魚種には、流通に際してのトレーサビリティや、輸入時の漁獲証明が求められるため、いつ、誰が、どこで獲ったものかが明確になり、IUU漁業による水産物の混入を防ぐことが可能になります。これは、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の達成目標14.4に貢献する取り組みです。WWFは、IUU漁業に由来した水産物を日本の市場で流通させないよう、政策の改善を訴えていきます。

【調査概要】
調査内容 :「海の豊かさと環境配慮型の消費」に関する意識調査
調査時期   :2022年6月21日(火)~6月23日(木)
調査方法   :インターネット調査
回答人数   :2,876名(全国の20代~70代の男女)
※本調査結果をご掲載いただく際は、必ず『WWFジャパン調べ』と記載ください。
 

  •  調査結果 詳細

[Q1]「海の豊かさ」の損失について
あなたは、「海の豊かさ」が失われていると感じますか。
・「感じる(感じる、やや感じる)」:65%

[Q2]「海の豊かさ」が失われていると感じる理由
あなたが「海の豊かさ」が失われていると感じる理由は何ですか?
・「乱獲などによる海洋資源の枯渇」:60%

[Q3]持続可能な水産物のエコラベルに対する認知
・MSC  「知っている(知っていて購入経験あり、知っているが購入経験なし)」:9%
・ASC  「知っている(知っていて購入経験あり、知っているが購入経験なし)」:7%

[Q4]海の環境を守るために必要な行動
あなたは、「海の豊かさ」を守るためにどのような行動が必要だと思いますか。
・「持続可能な水産物の商品を増やす」:17%
・「持続可能な水産物の商品を多くの店で購入できるようにする」:16%

[Q5]IUU漁業の認知度
あなたは、「IUU漁業(違法・無報告・無規制)」についてご存知ですか。
・「知っている(知っていて内容まで説明できる、名前は聞いたことがあるが内容はわからない)」:16%

[Q6]環境配慮の観点と購買行動
・環境保全を理由に買う頻度が下がった食品・飲料がある:33%
・環境保全を理由に買う頻度が下がった商品がある:42%
※以下グラフは、環境保全を理由に買う頻度が下がった食品・飲料・商品

[Q7]世代別の環境と買い物に関する意識
あなたは、普段の買い物をする際に「環境に配慮されている」かどうかをどの程度重視していますか。
・「重視している(重視している、やや重視している)」10代:35%(全体:29%)

[Q8]環境配慮の消費をした後の気持ちの変化
あなたが、環境に配慮された商品を買った際にどのような気持ちになりましたか。
・「満足した気持ちになる(あてはまる、ややあてはまる)」:49%
・「嬉しい気持ちになる(あてはまる、ややあてはまる)」:47%

[Q9]環境に負荷を与える行動をしたときに、罪悪感を感じる行動

 

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