長周期地震時管制運転とは、エレベータが地震の揺れを感知すると最寄り階でドアを開き、運行を一時休止して利用者の閉じ込めを防止する目的の機能です。従来の機能では、強風など地震以外による揺れの場合でも、運行を一時休止することで利用者の安全を確保してきました。
今回新たに、測域センサーで揺れを測定する機能を追加したことで、従来以上に精緻に揺れを判定できるようになりました。安全面に支障がないと判定できた場合は、エレベータの運行継続が可能です。また、管制運転が作動した場合も、揺れが収まればできるだけ早く運行を再開することができます。これにより、エレベータの休止時間を短縮します。
※別名はレーザースキャナ―。レーザー光で対象物との距離を測る
■測域センサーを昇降路※内の梁2カ所に設置
■センサーでロープの振れ幅を直接監視
■従来の感知器の情報と総合して、
長周期地震時管制運転への切り替えを判定
※エレベータが走行する縦穴状の空間
同機能はすでに実用化を完了しています。高さ120m以上の高層建物を対象とした特別な仕様のため、個別問い合わせにより販売します。
当社では、こうした災害に強いエレベータの技術開発に取り組むとともに、早期復旧体制の一層の拡充を図るなど、今後もエレベータの“安全・安心”を追求してまいります。
【 長周期地震時管制運転の概要 】
長周期地震動とは?
「長周期地震動」とは、通常の短周期の揺れとは異なり、数秒から十数秒の周期で建物がゆっくりとゆれる地震動のことで、数百キロ離れた遠方まで伝わるとされています。規模の大きい地震で発生し、高層の建物は共振しやすい特性があります。2004年の新潟県中越地震や2011年の東日本大震災で、東京や大阪の都市部のエレベータに被害をもたらしました。
エレベータにおいては、長周期地震動や強風による建物の揺れが原因で、ロープやケーブルなどの長尺物に、振幅の大きな振れが生じることがあります。このような場合、ロープ類の引っ掛かりや衝突などにより、昇降路内機器やロープ類が損傷し、エレベータの正常運行に支障をきたすことになります。
長周期地震管制運転とは?
「長周期地震時管制運転」は、従来の地震管制運転で設けられる地震感知器とは別に、専用の感知器を設け、それに応じて管制運転を行います。
これによって、エレベータが非常停止して閉じ込めなどが発生する前に最寄り階に停止し、利用者の安全を確保するとともに、ロープ類の振れによる昇降路内の損傷被害の拡大を防止します。
従来の機械室に設置した感知器をもとにした判定方式は、常に最も振れ幅が大きい状況を想定するため、実際のロープの振れ幅がそれほど大きくなくてもエレベータを停止する必要があると判断してしまう場合がありました。
【 リリース本文はこちら 】
https://www.fujitec.co.jp/announcement/8138
【 本リリースの技術文献 】
一般社団法人日本エレベーター協会 2022年7月号
「測域センサーによるロープ振れ感知、エレベータ管制システム」
https://www.n-elekyo.or.jp/about/elevatorjournal/pdf/Journal39_05.pdf
【 フジテックについて 】
フジテックは、エレベータ・エスカレータ・動く歩道の専業メーカーです。研究開発・製造・販売・据付・保守・リニューアルまで一貫体制で行い、世界23の国と地域に“安全・安心”で“快適”な移動空間を提供しています。
設立:1948年2月9日
上場市場:東京証券取引所 プライム市場
公式HP:https://www.fujitec.co.jp/