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調査サマリー
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調査概要
調査概要:保育士のシフトに関する実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2023年10月6日〜同年10月10日
有効回答:常勤保育士104名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
≪利用条件≫
1 情報の出典元として「子ねくとラボ」の名前を明記してください。
2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
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毎月のシフトが出来上がるまでの流れ、8割以上が「知っている」と回答
「Q1.あなたは、毎月のシフトが出来上がるまでの流れを知っていますか。」(n=104)と質問したところ、「詳しく知っている」が52.0%、「大枠を知っているが詳細な説明はできない」が32.7%という回答となりました。
・詳しく知っている:52.0%
・大枠を知っているが詳細な説明はできない:32.7%
・大枠に関してもよく知らない:6.7%
・全く知らない:3.8%
・わからない/答えられない:4.8%
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シフト完成までの流れ、「職員各自が希望を出して主任等の管理職が作成を行う」が51.1%で最多
Q1で「詳しく知っている」「大枠を知っているが詳細な説明はできない」と回答した方に、「Q2.お勤めの保育園での、シフト完成までの流れについて教えてください。」(n=88)と質問したところ、「職員各自が希望を出して主任等の管理職が作成を行う」が51.1%、「希望を募らずに主任等の管理職が作成を行う」が13.6%という回答となりました。
・職員各自が希望を出して主任等の管理職が作成を行う:51.1%
・希望を募らずに主任等の管理職が作成を行う:13.6%
・職員各自が希望を出して園長が作成を行う:11.4%
・管理職が作成するが、その後園長が最終確認・承認を行う:8.0%
・希望を募らずに園長が作成を行う:3.4%
・担当クラスや小グループ内で希望をとりまとめた後、管理職で作成・最終確認・承認を行う:2.3%
・その他:9.1%
ー36歳:有休や代休は対応者を探してから希望を出し、園長がまとめる。
ー38歳:児童発達支援センターな為、早番遅番等もないので基本定時で毎日勤務。パートもいるが基本曜日固定。
ー35歳:希望を募らずに主任が作成した物をみんなに回して、希望を記入してもらう。
ー27歳:シフトはない。
ー30歳:職員が希望を出してシフトの係が作成する。
ー61歳:勤務表の係が作る。
ー28歳:職員各自が希望を出して、正規職員で交代で作成し、副園長が確認する。
・わからない/答えられない:1.1%
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それぞれの希望休を聞いて、遅番や早番などを組み立てて行く」や「パソコンで自動的に作り、再度調整する」などの流れも
Q2で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q3.Q2で回答した以外に、お勤めの保育園でのシフト完成までの流れがあれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=87)と質問したところ、「それぞれの希望休を聞いて、遅番や早番などを組み立てて行く」や「希望調整後、パソコンで自動的に作り、再度調整する」など47の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・38歳:本人が希望を出し、上司が調整しながら取りまとめる。
・31歳:園長、事務員で作成後、都合の悪い箇所は各自で交代するなどの対応をとっている。
・30歳:月末までに希望を出して中旬に完成する。
・33歳:特別な予定がない限り、希望は出せない。副園長がシフトを作成し、園長が承認している。
・27歳:それぞれの希望休を聞いて、遅番や早番などを組み立てて行く。
・29歳:希望を申請した後にシフト作成係の職員が作成。完成までに全職員でチェックする。
・33歳:希望調整後、パソコンで自動的に作り、再度調整する。
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約8割が「シフトが公平に作られている」と実感
「Q4.あなたはお勤め先の保育園の「シフト作成」に関して、職員の間でシフトの組み方に偏りがなく、働く職員全体のシフトが公平に作られていると感じますか。」(n=104)と質問したところ、「非常にそう感じる」が23.1%、「ややそう感じる」が51.9%という回答となりました。
・非常にそう感じる:23.1%
・非常にそう感じる:23.1%
・ややそう感じる:51.9%
・あまりそう感じない:13.5%
・全くそう感じない:7.7%
・わからない/答えられない:3.8%
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半数以上が「残業ありきのシフトになってしまっている」と回答
「Q5.あなたがお勤めの保育園のシフトは、「残業ありき」になってしまっていることがありますか。」(n=104)と質問したところ、「頻繁にある」が21.2%、「ややある」が31.7%という回答となりました。
・頻繁にある:21.2%
・ややある:31.7%
・あまりない:28.8%
・全くない:13.5%
・わからない/答えられない:4.8%
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6割以上がシフトの組み方に「悩み」あり
「Q6.あなたは、保育園でのシフトの組み方に「悩み」を感じたことはありますか。」(n=104)と質問したところ、「何度も感じたことがある」が25.0%、「時々感じたことがある」が38.5%という回答となりました。
・何度も感じたことがある:25.0%
・時々感じたことがある:38.5%
・あまり感じたことはない:22.1%
・全く感じたことはない:7.7%
・わからない:6.7%
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シフトの組み方の悩み、「有給休暇が取りづらい」が57.6%で最多
Q6で「何度も感じたことがある」「時々感じたことがある」と回答した方に、「Q7.現在シフトの組み方に関して抱えている悩みについて教えてください。(複数回答)」(n=66)と質問したところ、「有給休暇が取りづらい」が57.6%、「連休の取得が難しい」が48.5%、「プライベートの予定が立てづらい」が48.5%という回答となりました。
・有給休暇が取りづらい:57.6%
・連休の取得が難しい:48.5%
・プライベートの予定が立てづらい:48.5%
・早番や遅番が不規則なため生活リズムが整わない:34.8%
・連休が少なく体力的・精神的なストレスが多い:21.2%
・シフトの発表が遅い:21.2%
・シフトが細かすぎて疲れる:19.7%
・早番や遅番に偏りがちで公平性がない:18.2%
・シフトの希望が通らないことが多い:16.7%
・その他:9.1%
ー31歳:懇談、個別対応、行事などで時差出勤がしにくい。事務作業や保育準備をする時間が確保しにくい。
ー36歳:人が足りず無理な配置になっている。
ー38歳:保育園勤務の時は子供もまだ小さくシングルマザーだった為、子供の保育園の送迎の手配が大変だった。
ー50歳:希望が多く作成に苦労する。
ー41歳:クラスが回らないような出勤時間の組み方をされる。
ー38歳:子どもがいる人がいつも勤務の交換を頼んでくること。
・わからない/答えられない:0.0%
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「シフトが遅い」や「土曜勤務の回数にかなり差がある」などの困りごとも
Q7で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q8.Q7で回答した以外に、現在シフトについて抱えている困りごとがあれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=66)と質問したところ、「シフトが遅い」や「土曜勤務の回数にかなり差がある」など37の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・38歳:希望を出して他の職員と重なった時、話し合いとなるが、相手が先輩などの場合こちらが我慢せざるを得ない。
・58歳:パートで早く帰る人の穴埋めを、シフトに関係なく急に頼まれること。
・30歳:シフトが遅い。
・34歳:シフトによって子どもの送り迎えが関係するため。
・36歳:仕方のないことですが、不公平さなどを感じる。
・34歳:土曜日が祝日であっても関係なく、隔週出勤のため、どちらの週になるかによって土曜勤務の回数にかなり差がある。
・29歳:自分はシフトを立てる側なので、公平性をとても気をつけているがそうすると自分が犠牲になることが多く心身ともに辛いことがある。
・50歳:休み希望者が重なる日がある、全員の希望を聞きたいが、体制を整える事が困難になる。人数が多い分休みの職員も多い。
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現在のシフトが今後も続いた場合、約4割が「退職・転職を検討する」と回答
「Q9.あなたは、現在のシフトが今後も続いた場合、遅かれ早かれ退職・転職を検討する可能性はありますか。」(n=104)と質問したところ、「非常に検討している」が9.6%、「やや検討している」が26.9%という回答となりました。
・非常に検討している:9.6%
・やや検討している:26.9%
・あまり検討していない:29.8%
・全く検討していない:26.0%
・わからない/答えられない:7.7%
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まとめ
今回は、常勤保育士104名を対象に、保育士のシフトに関する実態調査を実施しました。
まず、常勤保育士はお勤め先の保育園での毎月のシフトが出来上がるまでの流れを、8割以上が「知っている」ということが分かりました。シフト完成までの流れとしては、「職員各自が希望を出して主任等の管理職が作成を行う」が51.1%で最多の結果に。約8割が「シフトは公平に作られている」と感じていながらも、半数以上の園で「残業ありき」のシフトになっている実態が明らかになり、6割以上がシフトの組み方に「悩みがある」ことも判明しました。悩みとしては、「有給休暇が取りづらい」(57.6%)や、「連休の取得が難しい」(48.5%)、「プライベートの予定が立てづらい」(48.5%)などが上位に挙がり、現在のシフトが今後も続いた場合、遅かれ早かれ「退職・転職」を「検討している」保育士は約4割にのぼります。
今回の調査では、常勤保育士のシフトの組み方について、多くの保育士は「公平に作られている」と感じているものの、様々な「悩み」があることが判明しました。残業ありきのシフトには当然保育士の不満が募ることが想像でき、気軽に有給休暇が取れない勤務体制や人間関係は、離職の可能性を高めます。そして、こういった保育士のシフトにまで影響を与えているのが、慢性的に続く人材不足です。政府は人材確保の目的で、常勤保育士の定義を変更し、働き方の多様性に応えようとしていますが※、配置基準の改善やさらなる保育の質向上を図るためには保育士の増員は不可欠であり、より直接的で即効性のある人材確保策がさらに求められるでしょう。
※こども家庭庁成育局長|保育所等における常勤保育士及び短時間保育士の定義について(通知)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/2d238764/20230401_policies_hoiku_13.pdf
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「子ねくとラボ」所長|末廣剛からの見解コメント
今回の調査では、シフトを作成する側の悩みも見えてきました。「公平性をとても気をつけているがそうすると自分が犠牲になることが多く心身ともに辛いことがある」という回答の通り、一般職員を管理・教育する側の管理職員も厳しい環境に晒されれば、人材育成が十分に行き届かず、これまた離職のリスクとなり得ます。
さらなる保育の質向上に向け、人材確保の好循環を早急に築かなければいけませんが、ICTシステムのような保育現場を後押しするアイデアや支援が、自治体や関係者だけでなく、業界・業種を超えて集まることに期待したいところです。
末廣 剛(すえひろ つよし)
子ねくとラボ 所長
選ばれる園づくりコンサルタント
Advanced Marketer(公益社団法人日本マーケティング協会公認)心理カウンセラー
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「子ねくとラボ」について
「子ねくとラボ」は、「子ども+Nursery(保育)+Education(教育)・Entertainment(エンターテインメント)+Creation(創造)+Trend(トレンド)」の要素から構成された、子どもと未来、そしてすべての人がConnect(繋がり、結びつき)する保育研究プロジェクトです。子育てや保育に関する「調査レポート」や「ニュース/記事」、また「子ねくとラボ」が提供しているサービスについて発信しております。
事業名 :子ねくとラボ
事業責任者 :末廣 剛
サービス内容:・選ばれる園づくりコンサルティングサービス
・保育施設向け研修&巡回サービス
・保育専門実証実験 コーディネートサービス
・スタートアップ支援サービス
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会社概要
会社名 :株式会社 明日香
設立 :1994年8月30日
代表取締役:萩野 吉俗
所在地 :東京都文京区小石川5丁目2番2号 明日香ビル3F
事業内容 :■保育室の設置・運営(院内保育室、企業内保育室、認可保育所)
■自治体と連携した子育て支援事業
(児童館、放課後児童クラブ、子育て支援拠点、こども広場等の運営)
■保育に関わる人材の派遣・紹介(保育士・幼稚園教諭・看護師・栄養士など)
■居宅訪問型子育て支援
(ベビー・キッズシッターサービス、家事代行サービス、自治体の委託業務)
■臨時保育室の設置・運営(イベント時保育サービス)
■保育に関わる人材の教育(研修会、講演会、各種セミナーの開催)
■新規保育事業の開発及びコンサルティング