認知症予防・治療の世界的権威新井平伊が認知症予防の未来形を探る最前線と題し、最新の試みを紹介認知症に向き合う、にしおかすみこさんも思いを語る

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2023年9月15日、アルツクリニック東京(東京都千代田区:院長 新井平伊)は自身が運営する「健脳カフェ」にて“認知症予防の最前線“と題し、認知症予防の考え方や健脳カフェでの実際の取り組みについて紹介を行いました。また、スペシャルゲストににしおかすみこさんをお迎えし、「認知症の今と未来」をテーマにトークセッションを行いました。トークセッションではお互いの経験などを踏まえつつ、認知症を自分ごと化し、自分に出来ることを考える/始めるきっかけになればという両者の思いが語られました。

■新井平伊×にしおかすみこさんトークセッション「認知症予防の今とこれから」

●認知症に向き合う社会の今の課題感

このテーマに関して新井平伊は「超高齢社会である日本は、認知症対策において世界をリードする存在だ」と語った。また、今年に認知症基本法案が制定されたものの、以前の新オレンジプランをもとに策定されているので、令和元年の認知症施策推進大綱より後戻りの感があることを指摘。一方でにしおかすみこさんは認知症のお母様との生活を振り返り、「実家に戻った当初は、部屋がゴミ屋敷みたいだった。私は母の不安やSOSに気づけなかった。孤立しないで済む社会になればと思う。私自身は独身で、もし認知症になったら、より孤立しやすく、孤独死などを想像し不安になったりする。」と語る。ご自身の認知症予防という意味では、「元気でいるうちに、正しい知識を得て自分にあう認知症予防やケア法を知って対策したい」と語った。

●健脳カフェというコミュニティの存在について

続いて、健脳カフェというコミュニティの存在や取り組みについての話題に。初めて健脳カフェを訪れたにしおかさんは「認知症予防」に重点を置く「健脳カフェ」の存在を知らなかったという。専門医が常駐しており、個別に話せることに魅力を感じるという。また、ご自身の状況に重ねて「母と外に出るのは、かかりつけの病院や歯医者ぐらい。健脳カフェは認知症じゃない人も予防に来ているということで、私も母と一緒に来れる場所だと思う。」と語った。オンライン健脳カフェについても、遠方の人も参加できて良い取り組みだとコメント。にしおかさんの話を受けて新井平伊は「行動範囲が減って、友達と付き合わなくなってきてしまう人もいる。生きがいを持って活動的に生活することが、認知症予防につながる。楽しい日々を送れれば最高。」と語った。

■新井平伊×にしおかすみこさんトークセッション 「これからの社会への期待感」

最後には「これから先、どんな社会になってほしいか」という問いかけにお二人がフリップで回答。新井平伊は「恐れるよりも迎え撃つ!」という力強い言葉を選んだ。この言葉について「認知症を心配する人が多い。これからいろんな予防が出てくるので、社会全体としてポジティブに認知症を迎え撃つという考え方が良いのではないか。」とコメント。

■にしおかすみこさん“健脳カフェプログラム体験”

◆ラクティブ

イベントの最後には健脳カフェで実際に行っている取り組みをにしおかさんが体験した。最初に体験したのは器具を使わずに体を動かす「ラクティブ」。一般利用者の方々と一緒に体験をいただき、約20分間運動に参加した。にしおかさんは終始笑顔で、健脳カフェ一般利用者の方と会話を楽しみながらラクティブを行った。体験の最後には「体を使って程よい汗をかいて、頭を使い簡単にできないものは冷や汗をかいて皆さんと笑った」と感想を述べた。

◆ガンマ波サウンドルーム

続いての体験は、世界で注目される話題の音刺激「ガンマ波サウンド」。健脳カフェの取り組みの中でも最新のものになっており、新しくオープンしたガンマ波サウンドルームを紹介。にしおかさんは実際にガンマ波サウンド独特の音を聞き、あまり気にならなかったとコメント。「好きな音や映像を聞くことで、脳に刺激を与えながら活性化できるのはいいですね」と感想を述べた。新井平伊も同様に音のゆれは気にならないとコメントするが、強弱のモードを変えることで慣らしていくのが良いのではとアドバイス。また、数ある認知症予防の取り組みの中で新しい一つのアプローチとして期待感を語った。

◆卓球

また、最後は卓球を健脳カフェのサポートを行う学生(上智大学老年心理学のゼミ生の方々)と一緒に楽しんだ。にしおかさんは最後に「頭を使って楽しみながら皆さんと卓球をすることが出来てよかった。」と語りました。

■「早期発見・治療」から「早期発見・予防」へ 認知症予防の4本柱とは

●認知症は適切な対応をすることで症状を戻せる

まず冒頭、新井平伊は認知症に関する説明を行った。健常者と認知症の間には生活は普通にできるものの物忘れを自分だけが感じている「主観的認知機能低下」や周囲にも気付かれ始める「軽度認知障害」といった段階がある。それらの症状は適切な対応を行うことで認知機能を回復させることが出来るという。さらに認知症予防には①一次予防(発症させない)②二次予防(発症を遅らせる)③三次予防(進行を遅らせる)の三つの考え方があるが、この中でも“発症を遅らせる“二次予防がまさに健脳カフェの取り組みだと語る。

アルツクリニック東京 新井平伊

●認知症予防の最前線「認知症予防の4本柱」とは

講演の後半では認知症予防として健脳カフェなどを通して新井平伊が取り組む4つの活動について解説を行った。

①オンライン健脳カフェ

インターネットを繋いで「いつでも、どこでも」健脳カフェの認知症予防コンテンツが楽しめるようになった。内容としてはラクティブなどの運動コンテンツや新井平伊によるオリジナル講義の動画があるという。生活習慣という観点でも意義のある取り組みだと新井平伊が解説。

②新薬レカネマブの導入

認知症の新薬レカネマブの国内承認は、認知症研究のこれまでの歴史にとって非常に大きな一歩。軽度認知症、軽度認知障害を対象とするもので、認知症予防にとって画期的な未来につながるものだと解説した。新薬の導入によって将来的には一次予防ができるようになるという期待感についても語った。

③脳腸相関に関連するサプリメントの導入

健脳カフェでは国際的にエビデンスが認められているサプリメントの導入を行っている。腸内細菌と免疫系、循環系、迷走神経は脳の中枢神経系とは密接な関係を持っている。軽度認知障害における認知機能改善効果で国際的に唯一認められている特定のビフィズス菌による認知機能への作用や効果は非常に評価出来ると解説した。

④音刺激コンテンツの導入

最後に新井平伊が紹介したのは「音刺激による脳の神経細胞活性化」だ。MITの研究によると40Hzの音を聞くことで脳内のガンマ波という脳波が発生し、認知機能改善の可能性があるとのこと。もともとガンマ波という脳波は認知機能と深いかかわりがあるが、外から刺激を与えることで脳の神経細胞を活性化しアミロイドβを減らすことに繋がる。近年ではヒトでも検討されており、認知機能改善のエビデンスも出始めているという。健脳カフェではガンマ波サウンドを楽しめる部屋があるほか、ラクティブなどの運動コンテンツにも導入をしていると説明した。

登壇者プロフィール

■「健脳カフェ」のご紹介

「健脳カフェ」のプログラムやオリジナル動画をオンラインで視聴体験できる配信プラットフォームです。

・お身体の事情で『健脳カフェ』に足を運べない方

・遠方にお住まいの方

・『健脳カフェ』のプログラムを導入して未病・予防対策をしたい法人や団体様などから「いつでも、自由に『健脳カフェ』の視聴や参加が出来る環境が欲しい」というご要望を頂く中で開設。「健脳カフェ」のプログラムやオリジナルコンテンツをオンラインで視聴可能、また毎週金曜日には特別プログラムとしてライフ配信も行っています。

「オンライン健脳カフェ」WEBサイト https://alz.tokyo/kennocafe-online/

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