当社はこれまで、京都大学の研究所をはじめとする日本国内の複数の研究施設において、フュージョンエネルギープラントの周辺領域に関わる研究開発を装置やシステムごとに行ってきました。今後それぞれの機器やシステムを組み合わせ、統合的な研究開発や実証試験を行うフェーズを迎えるにあたり、適切な環境を整えるべく、自社の研究開発拠点を設置することとなりました。
今回の研究開発拠点の開設に際し、これまで候補地としていくつかの地域を検討していましたが、京都リサーチセンターは当社が研究開発に必要とする諸条件を満たす建屋があることに加え、京都という当社創業の地というご縁もあることから、開設を最終決定しました。
京都リサーチセンターでは、主に核融合反応により発生するエネルギーから熱を取り出し発電につなげていく熱サイクルシステム(Thermal Cycle System)の研究開発を推進するとともに、炉心プラズマへの安定かつ安全な燃料供給を行う燃料サイクルシステム(Fuel Cycle System)の研究開発も行います。これらは、フュージョンエネルギープラントを構成する重要な役割を担っており、フュージョンエネルギーの実現には欠かせない今後の実験プラント市場や、商用化後にも高い需要が見込まれるものであり、当社事業の主軸として位置付けています。
また、昨年7月に発表して計画を進めていたフュージョンエネルギー発電試験プラント「UNITY-1」を京都リサーチセンター内に建設し※1、発電の実証試験を行うべく準備を進めます。UNITY-1には、核融合炉から熱を取り出す「ブランケット」、取り出した熱を輸送する「液体金属ループ」、「先進熱交換器」および「発電システム」、「水素同位体回収循環装置」を備え、放射性物質を用いることなくフュージョンエネルギープラントと同等の高温・強磁場の環境を構築し、一連の発電システムを実証します。なお、燃料サイクルシステム(水素同位体ガスを核融合炉心から排気・分離・循環させる技術)の実証については、カナダ原子力研究所(CNL)との共同プロジェクト「UNITY-2」※2において引き続き技術成熟度の向上に取り組んでいます。
当社は今後もフュージョンエネルギーの早期実現に向けた取り組みを進めていきます。
■研究開発拠点概要
名称:京都リサーチセンター(英語標記:Kyoto Research Centre)
所在地:京都府久世郡久御山町
総床面積:657.75㎡
入居開始日:2023年9月1日
※1:京都フュージョニアリング、世界初の核融合発電試験プラント建設
※2:京都フュージョニアリング、カナダ原子力研究所(CNL)と戦略的業務提携契約を締結 新たなプロジェクト「UNITY2」を通じて共同開発を推進し、商業機会も開拓
【京都フュージョニアリング株式会社について】
当社は、京都大学の長年にわたる核融合研究の成果に基づき2019年に設立された、フュージョンエネルギープラント機器の開発に特色を持つエンジニアリング企業です。
プラズマ加熱装置、熱取り出しブランケット、高性能熱交換器、水素同位体移送ポンプを始めとした先端核融合工学分野において世界有数の技術力を有しており、英国原子力公社を始め全世界の核融合研究開発機関・企業を顧客に持ちます。
日本のものづくり力を結集し、革新的なエンジニアリングソリューションを世界に提供することで、人類に究極のクリーンエネルギーを提供し、フュージョンエネルギーという新たな世界市場の創出を目指しています。
<会社概要>
会社名 京都フュージョニアリング株式会社
設立 2019年10月
事業内容 フュージョンエネルギープラント関連装置・システムの研究開発およびプラントエンジニアリング
代表者 代表取締役 長尾 昂(ながお たか)
社員数 96名 (2023年7月1日時点、派遣・業務委託・海外子会社含む)
所在地 東京都千代田区大手町(本社)
・京都府宇治市五ケ庄(研究拠点・京都大学宇治キャンパス内)
・英国バークシャー州レディング(英国子会社オフィス)
・米国ワシントン州シアトル(米国子会社オフィス)
HP https://kyotofusioneering.com/