ビジネス・スウェーデンおよび在日スウェーデン大使館主催、日本テトラパック共催にて『Pioneer the Possible』業界フォーラム開催~サーキュラーエコノミーの実現に向けた官民連携を加速~

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このたび、ビジネス・スウェーデンおよび在日スウェーデン大使館は、日本テトラパック株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:アレハンドロ・カバル、以下、日本テトラパック)共催のもと、2023年9月7日に赤坂インターシティにて、『Pioneer the Possible日本における紙容器のリサイクルと自治体による回収の未来、および資源自律型循環経済への移行に関する業界フォーラム』を開催しました。

本フォーラムにおいては、経済産業省や環境省をはじめ、神奈川県座間市、明治ホールディングス株式会社、コアレックス信栄株式会社、日本テトラパックなどが登壇し、紙容器リサイクル促進に関しての取り組みについてプレゼンテーションやパネルディスカッションを行いました。

(左から)MC:石川和男氏、登壇者:田中将吾氏、大森 悠子氏、佐野 仁氏、近藤 亮太氏、アレハンドロ・カバル氏、中嶋康仁氏、松岡伸次氏 

(左から)アレハンドロ・カバル氏、ヨハンナ・リンドクヴィスト氏、畠山陽二郎氏、田中将吾氏

経済産業省 産業技術環境局長の畠山陽二郎氏は、開会の挨拶において、リニア経済(大量生産、大量消費、大量廃棄の社会システム)からサーキュラーエコノミー(市場ライフサイクル全体での資源の効率的かつ循環的な利用、在庫の効果的な活用を最大化する社会経済システム)への転換が急務であり、そのためには、多様なステークホルダーとの連携によって、日本の国内資源循環システムをより自律化・強靭化し国際市場を獲得していくことが重要であると語りました。

続いて登壇した、日本テトラパック 代表取締役社長アレハンドロ・カバルは、紙容器の繊維は、既存の技術で十分にリサイクルできる重要な潜在資源であるにもかかわらず、日本では約20万トンが十分に回収されていない事実に言及しました。また、同社の循環型経済への取り組みを紹介し、欧州や他の先進国に比べてリサイクル率が低い飲料用紙容器を、より持続可能な社会を実現するための新たな製品を生み出す資源として日本でも活用することが急務であると強調しました。

経済産業省 産業技術環境局 資源循環経済課長の田中将吾氏は、環境の持続性なくして経済の成長はないと述べました。日本は資源の大半を輸入に頼っているが、輸入だけでは世界において競争力を保てないこと、グローバルな気候変動、生物多様性への対応を行うことが非常に重要であることが伝えられました。グリーントランスフォーメーション(GX)への大きな投資施策を政府としても行っていくが、サーキュラーエコノミーというのはものづくり、消費者、自治体、リサイクル事業者それぞれが課題を洗い出して連携していかなくてはならないと締めくくりました。

神奈川県座間市 くらし安全部 リユース推進課 リユース推進係長の中嶋康仁氏は、イオンモール株式会社と再生紙メーカーであるコアレックス信栄株式会社との協業事例を紹介しました。2社の協業によってフードコートの紙ごみの資源化や行政回収における家庭ごみのミックスペーパーの回収品目の大幅緩和が実現したことに触れ、リサイクルをさらに進めていくにあたっての課題やその解決策、リサイクル拡大への提案がなされました。

明治ホールディングス株式会社 執行役員 サステナビリティ推進部長の松岡伸次氏によるプレゼンテーションでは、創業の精神である「栄養報国」とともに、創業以来の国民の健康な生活への貢献について伝えられました。自然資本は大切な経営基盤であり、その維持が重要な経営課題であることに触れられた後、紙容器包装はリサイクル可能であるが、殆どの自治体はリサイクル業者の設備能力不足などにより、焼却や埋立処分になっているという実情が紹介されました。こういった状況から一歩踏み出すべく、さらなる資源循環実現に向けた適切な政策作りを政府に求めたいと締めくくりました。

後半のパネルディスカッションでは、前半に引き続き、本フォーラムのMCを務める石川和男氏(政策アナリスト、経済報道番組アンカー、元経済産業省)が進行役を務め、経済産業省、環境省、コアレックス信栄株式会社、日本テトラパックの登壇者が議論を交わしました。紙パックが日本経済において果たしている役割、また紙パックが繊維として利用可能であるにもかかわらず資源として未開発のままになっていることについて活発な議論がなされ、各登壇者からは以下のようなコメントがありました。

経済産業省 産業技術環境局 資源循環経済課長 田中 将吾 氏

「リサイクル、リユースというものは手間をかければかけるほどコストがかかりますが、天然資源は時間が経てば経つほど価格が上がっていきます。時間とともに資源の価格が上昇するその速度を念頭に置きつつ、技術の開発などで乗り越えていかねばならないと考えています。」

環境省 環境再生・資源循環局 総務課 リサイクル推進室長兼循環型社会推進室長 近藤 亮太 氏

「あるべき資源循環を実現していく上で、足下の各者のコスト負担額の増減という視点だけではなく、あるべき資源循環を実現するために本来負担されるべきコストがこれまで負担されていなかったのではないかという視点も大切です。この15年の中で、政府により気候変動対策をはじめとする環境対策をすすめる中、企業による参画やZ世代からの興味関心も高まりつつある今、この力を追い風にしてシステムを構築していきたいと考えています。」

コアレックス信栄(株) 取締役専務執行役員 佐野 仁 氏

「リサイクルというのは産官学と言うよりまずは民が大事と考えています。アルミ付き紙パックというのはリサイクルとして禁忌品になっている場合も多いのでガイドラインを変えていただきたいと思っています。」

日本テトラパック(株) サステナビリティディレクター 大森 悠子

「アルミ付き紙容器は3.4%しかリサイクルされておらず、そのほとんどが燃えるゴミとして焼却されているのが現状です。今後ペーパーレス化が進み、古紙のひっ迫が継続すると予測される中で、すでにリサイクル技術が整備されているアルミ付き紙容器の資源化は非常に重要であり、その価値は見出されてくると考えています。アルミ付き紙容器は賞味期限の延長や常温流通を可能にし、CO2や食品ロス削減を実現できるメリットをもちながらも、リサイクルにおいては禁忌品として扱われている背景があるため回収ルート構築が進まないのが課題です。今後、リサイクルへのアクセスを増やすための店頭や行政回収といった回収ルートの構築が不可欠と考えています。」

なお、本フォーラムの開催意義について、在日スウェーデン大使館 ヨハンナ・リンドクヴィスト公使参事官は、以下のように述べています。

「スウェーデンと日本はそれぞれ、2045年、2050年までに経済と社会をカーボンニュートラルにするという目標を持っています。この目標を期限までに達成するためには、バリューチェーン構築の方法、資金調達モデル、セクターやエコシステムを越えたコラボレーションの必要性があり、日本とスウェーデンの協力を通して可能性を開拓する(英: Pioneer the possible)ために、このプラットフォームを立ち上げました。」

また、本フォーラムの今後の展望について、日本テトラパック サステナビリティディレクターの大森悠子は、以下のように述べています。

「本フォーラムを起点として、今後、日本における紙容器のリサイクルを加速させ、脱炭素やサーキュラーエコノミーへの移行を実現させることを目指し、自治体、小売業、食品飲料製造業、リサイクル業、包装業、業界団体、NGO、政府など、官民連携を通してバリューチェーン全体で取り組みを推進してまいります。テトラパックは、その活動をリードし、各ステークホルダーとの協業を通じて、循環型経済の実現に向けて前進してまいります。」

※本プレスリリースにおいて、全部・一部を問わず、画像の無断転載を禁じます。

Pioneer the possibleについて

Pioneer the possibleプラットフォームは、2022年にスウェーデン大使館とビジネス・スウェーデンに立ち上げられました。このプラットフォームは、スウェーデンと日本の企業、政府機関、研究機関の各セクターのステークホルダーを社会課題に共同で取り組むサステナビリティ協働プラットフォームです。プラットフォームでは、三つの重要なテーマであるサーキュラリティ、エネルギー、モビリティに焦点がおかれています。それぞれのテーマで具体的な課題が定義されており、パートナーと一致団結して影響力のあるソリューションとイニシアチブを共につくりあげることを呼びかけています。

ビジネススウェーデンについて

スウェーデン大使館商務部/ビジネススウェーデンは、スウェーデン政府の使命として、スウェーデン企業の国際化を支援し、日本企業とスウェーデン企業のパートナーシップを構築し、ビジネス展開を図ることを目的として掲げています。

在日スウェーデン大使館について

在日スウェーデン大使館は日本においてスウェーデンとスウェーデン政府を代表しています。

テトラパックについて

テトラパックは、食品加工処理と紙容器充填包装システムの世界的なリーディング・カンパニーです。世界160カ国以上のお客様のニーズを満たすため、安全かつ革新的で、環境に配慮した製品を提供しています。世界に約25,000名の従業員を擁し、業界での責任あるリーダーシップを果たすべく、持続的な事業経営に努めています。  「大切なものを包んでいます(PROTECTS WHAT’S GOOD)™」というモットーは、「私たちは、いつでもどこでも安全な食品を入手できることを約束します」というテトラパックのビジョンを反映しています。更に詳しい情報につきましては、下記をご覧ください。 

ウェブサイト  https://www.tetrapak.com/ja-jp

Pioneer the possibleに関するお問い合わせ

スウェーデン大使館商務部/ビジネス スウェーデン (担当: ハンナ) 

tokyo@business-sweden.se

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