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革新的AI医療機器の開発背景
〈なぜ“心房細動”なのか?〉
当社が着目している心臓の病気である“心房細動”は、あらゆる不整脈の中でも最も患者数が多く、脳梗塞や心不全の主な原因となっています。この心房細動は発作性のものが多く、発作が起きている時に検査を行わなければ診断に至らないため、見逃されやすいことが課題です。そのため、隠れた心房細動の発作の検出が、発作を起こしていない時に可能になれば、より多くの心房細動患者さんを救うことができます。
〈“隠れ心房細動”検出支援AIの開発〉
一見正常のように見える心電図であっても、過去に不整脈が起きた痕跡が残っている場合があることは以前から知られていましたが、微細な兆候であることから専門医であってもそれを見分けることは困難でした。そこで当社は、不整脈が起こっていない正常の心電図波形から微細な痕跡をディープラーニング技術で検出し、発作を起こしている患者さんを正常時にも見つけることができるAIを開発しました。
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治験の概要と結果
当社で開発した治験機器『非発作時の心電図から発作性心房細動の兆候を検出する人工知能による心電図自動解析システム』の臨床現場における性能評価のため、多施設共同(国際医療福祉大学三田病院、藤田医科大学ばんたね病院、小川聡クリニック)で医師主導治験を実施いたしました。本治験はAIを用いた革新的なSaMDの実用化に向け、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医療機器開発推進研究事業の支援に基づき実施されました。
本治験結果は、2023年8月25日~28日に開催された欧州心臓学会議(ESC2023)で発表いたしました。
主要評価項目である心房細動の兆候検出に関して、事前に設定した目標性能を上回る感度・特異度の推定値を確認することができました。なお、本治験機器に起因する有害事象及び不具合は認められませんでした。
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本治験機器が社会に与えるインパクト
国内に留まらず、世界的にみても高齢化に伴い未発見の心房細動による脳梗塞患者さんは増加していると言われています。心房細動に起因する脳梗塞は重症であることが多く、発症予防のためには心房細動の早期診断・治療が重要ですが、現行の技術では十分ではありませんでした。しかし本治験機器が製品として社会実装されれば、この脳梗塞の発症を大きく減らすことが期待され、健康課題に大きく貢献できると考えています。例えば、心房細動を発症するリスクが高い生活習慣病をもつ患者さんに対して本品を使用することで、発作性心房細動の兆候を検出して脳梗塞が予防できる可能性が高まることが期待されます。また脳梗塞を起こしたことがある患者さんの再発予防にも貢献することができます。
本治験結果を受けて、当社は現在本ソフトウェア医療機器の実用化を進めており、本年度中に薬事承認申請を実施する予定です。
■株式会社カルディオインテリジェンスについて
当社は技術革新が起こりにくかった心電図をはじめとする医療検査の領域でディープラーニングを用いることで、飛躍的にAIによる解析サポート能力を高め、世界中の医療従事者に高度な解析技術をもたらすことを目指すヘルステックベンチャーです。創業後、“世界中の人に医療DXと不整脈診断を届ける”を目指し、心電図のAI自動解析支援システムの開発を進めてきました。2022年12月にはソフトウェア医療機器『長時間心電図解析ソフトウェア SmartRobin AI シリーズ』を上市し、長時間心電図における医療機関の業務負担軽減や不整脈患者さんの診断を支援して参りました。
・会社名:株式会社カルディオインテリジェンス
・所在地:東京都港区東麻布1-25-5 VORT麻布イースト 2階
・代表者:代表取締役CEO 田村 雄一
・設立:2019年10月
・会社HP:https://www.cardio-i.com/
■SmartRobin AI シリーズについて
本製品は、長時間心電図検査における心房細動の検出をスピーディーに行う医療機器プログラムです。心電図データをクラウド上にアップロードするだけで、24時間分の心電図波形で約3分と即時に自動解析を行い、心房細動を特定します。また、波形データ上で心房細動/洞調律を色分け表示するため、非専門医でも一目で心房細動がわかる仕様になっています。本製品は、発売後すでに多数の医療機関に導入され、長時間心電図検査における課題解決とともに不整脈診断をサポートしてきました。
・医療機器認証番号:302AHBZX00026Z00
・販売名:長時間心電図解析ソフトウェア SmartRobin AI シリーズ
・製品HP:https://www.smartrobin.info/
■本件に関する連絡先
株式会社カルディオインテリジェンス 担当:山根
E-MAIL:contact-ci-info@cardio-i.com